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- [DOAJシールの基準](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp3/): DOAJシールの基準 DOAJシールを取得するためには、7つの条件を満たす必要があります。これらは、長期保存、永続的識別子の使用、発見性、再利用のポリシー、著者の権利に関するベストプラクティスに関するものです。 基準 ジャーナルがシールを授与されるためには、7つの条件をすべて満たす必要があります。これらの条件に記載されているベストプラクティスや水準を維持できない場合は、シールを取り消されることがあります。 1. デジタル保存 ジャーナルのコンテンツは、以下のアーカイブのいずれかに継続的にデポジットされている必要があります。 The Keepers Registryに含まれているアーカイブ機関 Internet Archive PubMed Central 2. 永続的な論文の識別子 記事は恒久的な論文識別子を使用しなければなりません。DOI、ARK、またはHandleが最も一般的に使用されています。 すべての永続的なリンクは正しくリゾルブされている必要があります。 3. DOAJへのメタデータ提供...
- [一部のジャーナルタイプの追加基準](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp2/): 一部のジャーナルタイプの追加基準 人文学系のジャーナル これらの分野(10-16ページ)については,DOAJではピアレビュー(peer review)ではなく編集委員による査読(editorial review)を行うジャーナルを受け付けることができます。編集委員による査読は最低2名の編集委員で行わなければなりません。 臨床症例報告誌 DOAJでは、症例報告が3例以上の臨床例のレトロスペクティブ分析及び/もしくは文献レビューを含む場合に限り、研究とみなしています。申請する前に、ジャーナルがこの定義を満たす論文を年間5本以上掲載していることを確認してください。 会議のプロシーディングスジャーナル 会議録を出版するジャーナルは、ISSNを持ち、常設の編集委員または諮問委員が必要です。出版された各会議の論文は、DOAJの基準に従って査読されていなければなりません。すべての会議論文のフルテキストが利用可能でなければなりません。単独の会議録はDOAJに収録されません。 データジャーナル DOAJでは、データやデータセットに関する研究論文を掲載するジャーナルを受け付けますが、単にデータセットにリンクしているだけのジャーナルや、データセットが利用可能であると公表しているだけのジャーナルは受け付けていません。 オーバーレイジャーナル DOAJでは、プレプリントサーバーなどでホストされている論文を選別して査読するジャーナルを受け付けます。 学生が発行する雑誌 ジャーナルが学生団体によって運営されている場合は、少なくとも2名の委員が博士号またはそれに相当する資格を有する顧問委員会が設置されていなければなりません。 オープンアクセスに移行したジャーナル 以前は購読型またはハイブリッドジャーナルとして発行されていたジャーナルが、完全なオープンアクセスモデルに移行した場合、下記の情報は明確に表示しなければなりません。 完全にオープンアクセスに移行した日 アーカイブされたコンテンツの利用可能性(オープンアクセス、無料、有料)について アーカイブされたコンテンツの再利用に関する権利(著作権者による全権利の留保またはオープンライセンス)...
- [DOAJ収録のための必要最低限の条件](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp1/): DOAJ収録のための必要最低限の条件 申請できるジャーナルの種類 あらゆる言語で発行されたオープンアクセスジャーナルが申請可能です。 申請するジャーナルは、現在刊行中で、学術研究を発表するジャーナルでなければなりません。 あらゆる研究分野のジャーナルの申請を受け付けます。 年間5本以上の研究論文を掲載している必要があります。 ジャーナルの主な対象読者は研究者または実務家であることが必要です。 新たに刊行されたジャーナル 新たに刊行されたジャーナルは、DOAJへの申請前に1年以上の刊行の実績、もしくは少なくとも10本以上の論文を掲載していることが必要です。 これは、年間少なくとも5本の論文を掲載する、という必要条件に加え求められる条件です。 オープンアクセスの種類 DOAJでは、オープンアクセスジャーナルのみを受け付けています。 DOAJでは、オープンアクセスジャーナルを、学術著作物の著作権者が、オープンライセンス(クリエイティブ・コモンズまたはそれと同等のもの)を使用して他者に使用権を付与し、その著作物への即時の無料アクセスを可能にし、あらゆるユーザーが論文の全文を読むこと、ダウンロードすること、複製すること、配布すること、印刷すること、検索すること、または論文の全文にリンクすること、インデックス作成のためにクロールすること、それらをデータとしてソフトウェアに渡すこと、またはその他の合法的な目的で利用することを許可しているジャーナルと定義しています。 ジャーナルは、DOAJのオープンアクセスの定義を満たしていることを示すオープンアクセスステートメントを提示しなければなりません。 すべてのコンテンツの全文が、刊行と同時に、無料でオープンアクセスにされなければなりません。 エンバーゴ期間があってはなりません。 コンテンツを読むためにユーザー登録を必要とすることは受け入れられません。 ジャーナルの印刷版については、有料であっても構いません。 ジャーナルのウェブサイト ジャーナルは、どこからでもアクセスできるジャーナル専用のURLとホームページを持つ必要があります。...
- [DOAJ収録申請支援](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/): 紀要編集者ネットワークはDOAJ(Directory of Open Access Journals)への収録申請を支援しています。 DOAJとは DOAJは、2003年にスタートした査読付きオープンアクセスジャーナルの索引です。その使命は、専門分野、地域、言語に関係なく、質の高い査読付きオープンアクセスジャーナルを収録し、各誌の認知度、アクセス性、評判、利用度、影響度を世界的に高めることにあります。スタート当時は、300誌の収録でしたが、現在では、自然科学、工学、医学、社会科学、人文学、芸術のあらゆる分野から、約17,500誌が収録されています。 日本からは、近年J-STAGEの収録誌を中心に収録が進んでおり、2022年2月現在62誌が収録されています。 DOAJへの収録 収録には、DOAJのウェブサイト上で申請書を作成し、提出する必要があります。提出後、審査を経て採択されると、DOAJへ収録されます。また、収録誌のうちDOAJの定めるベストプラクティスを遵守していると評価されたジャーナルには、DOAJシールが付与されます。 なお、DOAJは英語に限らず様々な言語のジャーナルを受け付けており、ウェブサイトが英語である必要もありません。 DOAJウェブサイト:Directory of Open Access Journals – DOAJ DOAJ申請書:Login to...
- [top](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/):
- [活動内容](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/activity/): セミナー情報セミナー報告
- [連絡先](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/contact-us/):
- [概要](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/outline/): 「紀要編集者ネットワーク」では、大学や研究機関の刊行する雑誌を広く紀要と定義し、それらの編集関係者同士を、また編集関係者と図書館関係者、学術出版関係者、リサーチ・アドミニストレーター等を結び、業務上のノウハウの共有や意見交換を通し、雑誌の活性化やその支援体制の充実へとつなげることを目指しています。
- [エッセイ](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/essay/):
- [メンバー](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/member/): 設楽成実(京都大学東南アジア地域研究研究所) 天野絵里子(京都大学学術研究展開センター) 神谷俊郎(京都産業大学 研究機構 URA) 森下明子(立命館大学国際関係学部)
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- [【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(3) 2024/7/25 (木)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/08/seminar2024-07-25/): 日時:2024年7月25日(木)15:00—16:00 (オンライン開催)
- [Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に(質疑応答・コメントつき)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/08/shitara/): 大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(3) 〈講演〉設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)
- [【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(2) 2024/6/27 (木)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/07/seminar2024-06-27/): 日時:2024年6月27日(木)15:00—16:00 (オンライン開催) Logo background © Jéssica Beatriz Tosta
- [Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に(質疑応答・コメントつき)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/07/kamm/): 大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(2) 〈講演〉ビョーン=オーレ・カム(京都大学大学院文学研究科)
- [【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(1) 2024/5/30 (木)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/06/seminar2024-05-30/): 日時:2024年5月30日(木)14:00—15:00 (オンライン開催)
- [大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端(質疑応答・コメントつき)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/06/maeda/): 大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(1) 〈講演〉前田 隼(北海道大学附属図書館)
- [【開催案内】研究者の歩きかたセミナー 「大学発ジャーナルの DX に向けた連続セミナー」](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/04/seminar20240530_20240725/): 第1回「大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端」 日時:2024年5月30日 (木) 14:00-15:00 第2回「Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に」 日時:2024年6月27 日(木) 15:00-16:00 第3回「Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に」 日時:2024年7月25日(木) 15:00-16:00
- [【開催案内】「大学が学術出版をする意義と方向性(4)」新オープンアクセス方針に対応する出版オプションとしてのJIG 2024/3/13(水)18:00-19:00(オンライン)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/20230927-3/): 「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」 日時:2023年09月27日 18:30-19:30
- [【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(3) 2023/9/27 (水)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/seminar2023-09-27/): 日時:2023年9月27日(水)18:30—19:30 (オンライン開催)
- [大学が学術出版をする意義と方向性(3)(質疑応答・コメントつき)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/namba/): 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 〈講演〉難波美帆(グロービス経営大学院/株式会社グロービス ファカルティー本部)
- [【報告】「学術コミュニケーションと出版」研究・イノベーション学会第38回 年次学術大会 企画セッション 2023/10/23 (月)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/seminar2023-10-23/): 日時:2023年10月23日(月)18:30—20:00 (現地およびオンライン開催)
- [【開催案内】「学術コミュニケーションと出版」研究・イノベーション学会第38回年次学術大会企画セッション 2023年10月23日(月)18:30〜20:00 ](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/10/20230927-2/): 「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」 日時:2023年09月27日 18:30-19:30
- [【開催案内】オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」2023年9月27日(水)18:30-19:30 グロービス経営大学院 難波 美帆 氏](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/09/20230927/): 「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」 日時:2023年09月27日 18:30-19:30
- [《システム》としての学術コミュニケーション](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/07/nobuko-miyairi/): 執筆者:宮入暢子 学術情報流通に関する技術や議論が目まぐるしく進化・変化する中、そうした情報のアップデートは紀要編集者にとっての課題の一つとなっていると考えます。そこで、紀要編集者ネットワークでは、『学術コミュニケーション入門』を翻訳出版された宮入暢子様より、学術コミュニケーションの現状を知るうえで参考になる資料をまとめていただきました。
- [【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(2) 2023/4/20 (木)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/05/seminar2023-04-20/): 日時:2023年4月20日(木)18:30—19:30 (オンライン開催)
- [大学が学術出版をする意義と方向性(2)(+研究会趣旨説明・質疑応答・コメント)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/05/suzuki/): 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 〈講演〉鈴木晃志郎(富山大学 学術研究部 人文科学系)
- [【開催案内】オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(2)」2023/4/20(木) 18:30‐19:30 講演者:鈴木晃志郎氏(富山大学大学)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/04/annnai/): 「大学が学術出版をする意義と方向性(2)」2023/4/20(木) 18:30‐19:30(オンライン開催) 主催:研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 共催:紀要編集者ネットワーク 研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」では定期的に大学が出版機能を担う意義について考える研究会を開催しております。第2回目は、機関リポジトリを利用した電子ジャーナル「地域生活学研究」を題材にして ・国際ジャーナルに偏重した評価が大学、研究者に与える影響 ・学術コミュニケーションのあり方 ・学術論文のオープンアクセス化の意義と大学、研究者コミュニティに期待される役割 について参加者とディスカッションします。 1.開催日時 2023/4/20(木) 18:30‐19:30 オンライン開催 2.講演者 富山大学 学術研究部 人文科学系 准教授 鈴木晃志郎氏 3. 参加申込...
- [【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(1) 2023/2/3 (金)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/03/seminar2023-02-03/): 日時:2023年2月3日(金)18:30—19:30 (オンライン開催)
- [『一橋ビジネスレビュー』の今(+研究会趣旨説明・質疑応答)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/03/yoshioka/): オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/02/03 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 〈講演〉吉岡(小林)徹(一橋大学 イノベーション研究センター)
- [【開催案内】研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/2/3(金) 18:30‐19:30 講演者:吉岡(小林)徹 氏(一橋大学)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/01/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%80%8c%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%81%a7%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%82%92%e8%b6%85-2/): 【開催案内】研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/2/3(金) 18:30‐19:30 講演者:吉岡(小林)徹 氏(一橋大学) 詳細は下記よりご参照ください。 https://www. jsrpim-daigakukeiei. jp/post/【開催案内】2-3-オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」 1.開催日時 2023/2/3(金) 18:30‐19:30 オンライン開催 2.講演者 吉岡(小林)徹 氏 一橋大学大学院経営管理研究科 経営管理専攻 専任講師 一橋大学イノベーション研究センター 専任講師 3. 参加申込...
- [【開催案内】「ネットワークで実現する組織を超えた研究支援」2022/8/28(日)オンライン](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/08/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%80%8c%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%81%a7%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%82%92%e8%b6%85/): 【開催案内】研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会「ネットワークで実現する組織を超えた研究支援」 日時:2022年8月28日(日)14時00分~15時30分(オンライン開催) 詳細は下記よりご参照ください。 https://www. jsrpim-daigakukeiei. jp/post/2022-8-28-event 紀要編集者ネットワークからは、今年度より始めたDOAJ(Directory of Open Access Journals)への登録支援活動について紹介させていただく予定でおります。
- [テーマ討論および質疑応答](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/2021-10-29-discussion/): セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 北田智久、伊藤貴之、梅⽥拓也、今関裕太、宮野公樹、林和弘、原田隆、天野絵里子
- [クラウドファンディングを利用した学術誌の創刊と運営 ——学術雑誌『メディウム』を例に——](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/umeda-imazaki/): セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 講演3 梅⽥拓也(同志社⼥⼦⼤学 学芸学部メディア創造学科 助教) 今関裕太(江⼾川⼤学 基礎・教養教育センター 助教)
- [フルオープンアクセスかつペーパーレスな学会誌・論文誌の発展に向けて ——芸術科学会での事例——](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/ito/): セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 講演2 伊藤貴之(お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授)
- [追試研究に特化した専門雑誌『会計科学』](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/kitada/): セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 講演1 北田智久(近畿大学 講師/『会計科学』副編集委員長)
- [研究者、研究機関の評価対象としての論文](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/harada/): セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 背景説明 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター)
- [【報告】セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 (金)オンライン](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/02/seminar2021-10-29/): 日時:2021年10月29日 18:30-20:30 (Zoomによるオンライン開催)
- [【開催案内】研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 (10/29オンライン)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/09/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%80%8c%e6%8c%91%e6%88%a6%e3%81%99%e3%82%8b%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%aa%8c%e3%80%8d10-29-%e9%87%91%ef%bc%89/): 「挑戦する学術誌」 日時:2021年10月29日 18:30-20:30 (Zoomによるオンライン開催)
- [【報告】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー(1/19, 1/28オンライン)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/01/20210119/): 日時:2021年1月19日 14:00-15:30 2021年1月28日 14:00-15:30 (Zoomによるオンライン開催)
- [【報告】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション「紀要の魅力と大学の役割」](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/01/20201031-2-2/): 研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション 「紀要の魅力と大学の役割」 日時:2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催)
- [【開催案内】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー(1/19, 1/28オンライン)](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/12/20201031-2/): 「ジャーナルをたちあげる&ジャーナルを可視化する」 日時:2021年1月19日 14:00-15:30 2021年1月28日 14:00-15:30 日時:2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催)
- [【報告】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/12/report20201031/): 研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション 公開セッション 「紀要の魅力と大学の役割」 (共催:紀要編集者ネットワーク) 日時: 2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催)
- [【開催案内】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション ](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/10/20201031/): 「紀要の魅力と大学の役割」 日時:2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催)
- [【報告】第2回 紀要編集者ネットワークセミナー](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/03/report20180226/): 第2回 紀要編集者ネットワークセミナー 日時: 2018年2月26日(金)14:30-15:50 会場: 京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
- [【報告】紀要編集者ネットワーク キックオフセミナー](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/report20170324/): 『紀要』の可能性 日時: 2017年3月24日(金)14:00ー17:00 会場: 京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ (京都市左京区 吉田下阿達町46)
- [【開催案内】第2回 紀要編集者ネットワークセミナー](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/02seminar/): 学術情報の国際発信力強化ー学術刊行物・紀要を中心にー 日時:2018年2月26日(月) 14:30-15:50 場所:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
- [【開催案内】紀要編集者ネットワーク キックオフセミナー](https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/seminar20170324/): 『紀要』の可能性 日時:2017年3月24日(金)14時ー17時 場所:京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ (京都市左京区 吉田下阿達町46)
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### AI Sitemap (LLMs.txt)
- Published: 2025-04-04
- Modified: 2025-04-04
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### DOAJシールの基準
- Published: 2022-02-12
- Modified: 2022-02-12
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp3/
DOAJシールの基準 DOAJシールを取得するためには、7つの条件を満たす必要があります。これらは、長期保存、永続的識別子の使用、発見性、再利用のポリシー、著者の権利に関するベストプラクティスに関するものです。 基準 ジャーナルがシールを授与されるためには、7つの条件をすべて満たす必要があります。これらの条件に記載されているベストプラクティスや水準を維持できない場合は、シールを取り消されることがあります。 1. デジタル保存 ジャーナルのコンテンツは、以下のアーカイブのいずれかに継続的にデポジットされている必要があります。 The Keepers Registryに含まれているアーカイブ機関 Internet Archive PubMed Central 2. 永続的な論文の識別子 記事は恒久的な論文識別子を使用しなければなりません。DOI、ARK、またはHandleが最も一般的に使用されています。 すべての永続的なリンクは正しくリゾルブされている必要があります。 3. DOAJへのメタデータ提供 論文のメタデータが定期的にDOAJにアップロードされる必要があります。 4. ライセンスの種類 ジャーナルは、二次的著作物の作成を可能にするクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの使用を許可しなければなりません。 CC BY CC BY-SA CC BY-NC CC BY-NC-SA 5. 論文中のライセンス情報 クリエイティブ・コモンズのライセンス情報は、すべてのフルテキスト論文に表示する必要があります。 6. 著作権・出版権 ジャーナルにより許可されたライセンスのもとで出版する場合であっても、著者は無制限の著作権とすべての出版権を保持されなければなりません。 7. セルフアーカイビングポリシー 著者は、自分の論文については下記のような全てのバージョンを機関リポジトリまたは主題リポジトリにデポジットすることを許可されなければなりません。 プレプリント アクセプトされた著者原稿 出版された論文(Version of Record) エンバーゴは適用されません。
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### 一部のジャーナルタイプの追加基準
- Published: 2022-02-12
- Modified: 2022-02-12
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp2/
一部のジャーナルタイプの追加基準 人文学系のジャーナル これらの分野(10-16ページ)については,DOAJではピアレビュー(peer review)ではなく編集委員による査読(editorial review)を行うジャーナルを受け付けることができます。編集委員による査読は最低2名の編集委員で行わなければなりません。 臨床症例報告誌 DOAJでは、症例報告が3例以上の臨床例のレトロスペクティブ分析及び/もしくは文献レビューを含む場合に限り、研究とみなしています。申請する前に、ジャーナルがこの定義を満たす論文を年間5本以上掲載していることを確認してください。 会議のプロシーディングスジャーナル 会議録を出版するジャーナルは、ISSNを持ち、常設の編集委員または諮問委員が必要です。出版された各会議の論文は、DOAJの基準に従って査読されていなければなりません。すべての会議論文のフルテキストが利用可能でなければなりません。単独の会議録はDOAJに収録されません。 データジャーナル DOAJでは、データやデータセットに関する研究論文を掲載するジャーナルを受け付けますが、単にデータセットにリンクしているだけのジャーナルや、データセットが利用可能であると公表しているだけのジャーナルは受け付けていません。 オーバーレイジャーナル DOAJでは、プレプリントサーバーなどでホストされている論文を選別して査読するジャーナルを受け付けます。 学生が発行する雑誌 ジャーナルが学生団体によって運営されている場合は、少なくとも2名の委員が博士号またはそれに相当する資格を有する顧問委員会が設置されていなければなりません。 オープンアクセスに移行したジャーナル 以前は購読型またはハイブリッドジャーナルとして発行されていたジャーナルが、完全なオープンアクセスモデルに移行した場合、下記の情報は明確に表示しなければなりません。 完全にオープンアクセスに移行した日 アーカイブされたコンテンツの利用可能性(オープンアクセス、無料、有料)について アーカイブされたコンテンツの再利用に関する権利(著作権者による全権利の留保またはオープンライセンス) DOAJに収録されるためには、ジャーナルがオープンアクセスへ移行後に発行されたすべてのコンテンツが完全にオープンアクセスでなければなりません。 ミラージャーナル ミラージャーナルとは、既存の定期購読型ジャーナルの完全オープンアクセス版であり、目的と領域、査読プロセスとポリシーが同じで、編集委員会も50%以上が同じメンバーで構成されているものです。ミラージャーナルは、定期購読型ジャーナルと同様のタイトルを持つことができますが、ISSNは異なるものでなければなりません。DOAJでは現在、通常の基本的な収録基準を満たしていれば、ミラージャーナルを受け付けています。 書評誌 書評のみから構成されるジャーナルは受け付けません。
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### DOAJ収録のための必要最低限の条件
- Published: 2022-02-12
- Modified: 2022-02-12
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/jp1/
DOAJ収録のための必要最低限の条件 申請できるジャーナルの種類 あらゆる言語で発行されたオープンアクセスジャーナルが申請可能です。 申請するジャーナルは、現在刊行中で、学術研究を発表するジャーナルでなければなりません。 あらゆる研究分野のジャーナルの申請を受け付けます。 年間5本以上の研究論文を掲載している必要があります。 ジャーナルの主な対象読者は研究者または実務家であることが必要です。 新たに刊行されたジャーナル 新たに刊行されたジャーナルは、DOAJへの申請前に1年以上の刊行の実績、もしくは少なくとも10本以上の論文を掲載していることが必要です。 これは、年間少なくとも5本の論文を掲載する、という必要条件に加え求められる条件です。 オープンアクセスの種類 DOAJでは、オープンアクセスジャーナルのみを受け付けています。 DOAJでは、オープンアクセスジャーナルを、学術著作物の著作権者が、オープンライセンス(クリエイティブ・コモンズまたはそれと同等のもの)を使用して他者に使用権を付与し、その著作物への即時の無料アクセスを可能にし、あらゆるユーザーが論文の全文を読むこと、ダウンロードすること、複製すること、配布すること、印刷すること、検索すること、または論文の全文にリンクすること、インデックス作成のためにクロールすること、それらをデータとしてソフトウェアに渡すこと、またはその他の合法的な目的で利用することを許可しているジャーナルと定義しています。 ジャーナルは、DOAJのオープンアクセスの定義を満たしていることを示すオープンアクセスステートメントを提示しなければなりません。 すべてのコンテンツの全文が、刊行と同時に、無料でオープンアクセスにされなければなりません。 エンバーゴ期間があってはなりません。 コンテンツを読むためにユーザー登録を必要とすることは受け入れられません。 ジャーナルの印刷版については、有料であっても構いません。 ジャーナルのウェブサイト ジャーナルは、どこからでもアクセスできるジャーナル専用のURLとホームページを持つ必要があります。 ウェブサイトは、明確で閲覧しやすいものでなければなりません。 「学術出版における透明性の原則とベストプラクティス」に記載されているガイドラインを遵守しなければなりません。 各論文は、個別のフルテキスト論文として利用可能なものでなければなりません。 論文ごとに固有のURLが必要です。 最低でもHTMLまたはPDFで公開されている必要があります。 押しつけがましい広告を含めるジャーナルは採択されません。広告に関するベストプラクティス推奨事項を参照ください。 DOAJは、各種インパクトファクターの利用を認めていません。しかし、クラリベイトが作成したインパクトファクターが唯一の公式なインパクトファクターであると認めます。ジャーナルは、他のサービスによる各種インパクトファクターや類似のランキングを表示してはなりません。 ウェブサイトは英語である必要はありません。多言語によるウェブサイトの場合は、提供される情報はすべての言語で同じである必要があります。 以下の情報がオンラインで入手でき、ジャーナルのホームページから容易にアクセスできることが必要です。 オープンアクセスポリシー 目的と領域(Aims and scope) 編集委員(全委員の所属機関も明記) 投稿規定 編集プロセス(ピアレビュー) ライセンス(使用許諾条項) 著作権条項 著者から徴収される料金 料金を徴収しない場合は、その旨を記載しなければなりません。 投稿から出版まで、著者から徴収する可能性のある下記のようなすべての料金を含みます。 投稿料(submission fees) 編集料(editorial processing charges) 論文掲載料(article processing charges) ページチャージ(page charge) カラー印刷の料金(colour charges) 連絡先 連絡先には、ジャーナル発行元の正式名称とジャーナル専用のメールアドレスを記載する必要があります。 申請書におよびジャーナルのウェブサイトに記載されている国は、出版社(出版者)が登録され、事業活動を行っている国でなければなりません。 ISSN ジャーナルは、issn. orgで登録・承認されたISSN(国際標準逐次刊行物番号)を1つ以上有していなければなりません。 ISSNは、ウェブサイト上で表示する必要があります。 申請書およびウェブサイトに記載されているジャーナル名は、issn. orgに記載されているものと一致している必要があります。 ジャーナルの質の管理プロセス ジャーナルには編集者と編集委員会が必要です。 編集委員会がウェブサイトに掲載されていることが必要です。 すべての編集者と編集委員の名前と所属が記載されていなければなりません。 ジャーナルが学生団体によって運営されている場合は、少なくとも2名の委員が博士号またはそれに相当する資格を有する顧問委員会が設置されていなければなりません。 編集委員会は、少なくとも5名で構成されることが必要です。編集委員会は、全員が同じ機関の出身ではないことが推奨されます。 すべての論文は、出版前に品質管理システム(ピアレビュー)を通過していなければなりません。 査読プロセスの種類や詳細については、ウェブサイトに明記しなければなりません。 剽窃チェックサービスの利用を推奨しますが、DOAJに掲載されるために必要ではありません。 ジャーナルの関係者による論文の掲載(endogeny)は最小限にとどめるべきです。 著者のうち少なくとも1人が編集者、編集委員、査読者である掲載論文の割合は、最新2号において20%以下である必要があります。 ライセンス 公開されたコンテンツの利用・再利用の許諾条項がウェブサイト上に明記されていなければなりません。 DOAJでは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの利用を推奨しています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを使用しない場合は、同様の条件を適用する必要があります。 この場合は、特に注意して条件を明確に述べなければなりません。 ライセンス情報を全文記事に表示または埋め込むことが推奨されますが、DOAJへの収録の必須条件ではありません。 著作権 公開されているコンテンツに適用される著作権条項は、明記する必要があり、またウェブサイトに適用される著作権条項とは区別されているものである必要があります。 著作権条項は、ライセンス条項やオープンアクセスポリシーの条項と矛盾してはなりません。 "All rights reserved"(著作権者にあらゆる権利が留保される状態)はオープンアクセスコンテンツには決して適切ではありません。
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### DOAJ収録申請支援
- Published: 2022-02-12
- Modified: 2024-11-22
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/doaj/
紀要編集者ネットワークはDOAJ(Directory of Open Access Journals)への収録申請を支援しています。 DOAJとは DOAJは、2003年にスタートした査読付きオープンアクセスジャーナルの索引です。その使命は、専門分野、地域、言語に関係なく、質の高い査読付きオープンアクセスジャーナルを収録し、各誌の認知度、アクセス性、評判、利用度、影響度を世界的に高めることにあります。スタート当時は、300誌の収録でしたが、現在では、自然科学、工学、医学、社会科学、人文学、芸術のあらゆる分野から、約17,500誌が収録されています。 日本からは、近年J-STAGEの収録誌を中心に収録が進んでおり、2022年2月現在62誌が収録されています。 DOAJへの収録 収録には、DOAJのウェブサイト上で申請書を作成し、提出する必要があります。提出後、審査を経て採択されると、DOAJへ収録されます。また、収録誌のうちDOAJの定めるベストプラクティスを遵守していると評価されたジャーナルには、DOAJシールが付与されます。 なお、DOAJは英語に限らず様々な言語のジャーナルを受け付けており、ウェブサイトが英語である必要もありません。 DOAJウェブサイト:Directory of Open Access Journals – DOAJ DOAJ申請書:Login to apply – DOAJ DOAJに収録されるメリットと申請支援 DOAJへの収録は世界的な基準を満たしたオープンアクセス誌であるという評価の獲得の機会となるうえ、ビジビリティを高めることにもつながります。また、申請要件を整えることで世界基準のジャーナルの体裁を整えることができる点も有益です。 紀要編集者ネットワークは、DOAJへの収録は国内のジャーナルにとって重要であると考え、収録申請の支援をおこなっております。登録申請の検討や申請書の記入にあたり、疑問点や相談されたいことなどありましたら、お気軽に下記担当者までご相談ください。 天野絵里子(京都大学学術研究支援室/元DOAJアンバサダー) 設楽成実(京都大学東南アジア地域研究研究所/元DOAJアンバサダー shitara(アットマーク)cseas. kyoto-u. ac. jo) 翻訳資料 なお、一部、資料を翻訳しましたので是非ご利用ください。 Basic criteria for inclusion DOAJ収録のための必要最低限の条件 Additional criteria for some journal types 一部のジャーナルタイプの追加基準 The Process of application 申請のプロセス The DOAJ Seal DOAJシールの基準 ◆以上の和訳のPDF版 ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... Transparency & best practice 透明性とベストプラクティス ◆和訳のPDF版 ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... Licensing & copyright ライセンスと著作権 ◆和訳のPDF版 参考文献 また、申請に当たっての参考文献等を紹介いたします。 国内雑誌の収録申請の経験談/DOAJへの登録方法の説明 南山 泰之. 2021. 「信頼されるOAジャーナルとしての評価を目指す! ―DOAJへの登録の効果と方法―」京都大学 KURA「研究者の歩きかた」セミナー;L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー「ジャーナルを可視化する」2021年1月28日 発表スライド|動画 ジャーナルへのクリエイティブ・コモンズの採用に関する留意点 水野 祐. 2016. 「オープンアクセスとクリエイティブ・コモンズ採用における注意点:開かれた研究成果の利活用のために」『情報管理』 59 巻, 7 号, p. 433-440. https://doi. org/10. 1241/johokanri. 59. 433 ジャーナルへのクリエイティブ・コモンズの導入事例 「横幹」会誌編集委員会. 2017. 「会誌「横幹」のクリエイティブ・コモンズ・ライセンス導入について」『横幹』 11 巻, 1 号, p. 66-67 https://doi. org/10. 11487/trafst. 11. 1_66 DOAJに関連する翻訳資料 『出版者向け情報』 『学術出版における透明性とベストプラクティスの原則』 『ジャーナル収録申請フォーム記入の手引き』(2019年のもの) いずれも科学技術振興機構J-STAGEのウェブサイト上で、J-STAGE登録機関用コンテンツ―オープンアクセス関連資料として公開されています。
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### top
- Published: 2018-02-26
- Modified: 2018-02-26
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/
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### 活動内容
- Published: 2018-02-25
- Modified: 2024-02-10
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/activity/
セミナー情報 セミナー報告
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### 連絡先
- Published: 2018-02-24
- Modified: 2018-06-07
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/contact-us/
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### 概要
- Published: 2018-02-24
- Modified: 2018-03-16
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/outline/
「紀要編集者ネットワーク」では、大学や研究機関の刊行する雑誌を広く紀要と定義し、それらの編集関係者同士を、また編集関係者と図書館関係者、学術出版関係者、リサーチ・アドミニストレーター等を結び、業務上のノウハウの共有や意見交換を通し、雑誌の活性化やその支援体制の充実へとつなげることを目指しています。
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### エッセイ
- Published: 2018-02-24
- Modified: 2018-02-27
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/essay/
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### メンバー
- Published: 2018-02-24
- Modified: 2023-10-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/member/
設楽成実(京都大学東南アジア地域研究研究所) 天野絵里子(京都大学学術研究展開センター) 神谷俊郎(京都産業大学 研究機構 URA) 森下明子(立命館大学国際関係学部)
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## Posts
### 【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(3) 2024/7/25 (木)
- Published: 2024-08-22
- Modified: 2024-08-22
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/08/seminar2024-07-25/
- Categories: セミナー報告
日時:2024年7月25日(木)15:00—16:00
(オンライン開催)
研究者の歩きかたセミナー 共催:紀要編集者ネットワーク;京都大学図書館機構;京都大学学術研究展開センター(KURA);研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 協力:オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR) イベント開催案内 >> 日時:2024年7月25日(木)15:00—16:00【オンライン開催】 Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に 講演:設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所) 講演スライド Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に by 設樂成実 is licensed under CC BY-SA 4. 0 講演と質疑応答・コメントの記録 講演と質疑応答・コメントの記録(HTML) 司会:天野絵里子(京都大学学術研究展開センター)
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### Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に(質疑応答・コメントつき)
- Published: 2024-08-22
- Modified: 2024-08-22
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/08/shitara/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(3)
〈講演〉設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)
研究者の歩きかたセミナー「大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(3)」2024/07/25 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2024/08/seminar2024-07-25/ 〈講演〉 Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に 設樂成実 (京都大学東南アジア地域研究研究所) 本日は、オープンアクセスジャーナルの世界的なインデックスであるDirectory of Open Access Journals、通称DOAJの紹介をさせていただきます。まずDOAJの概要と収録の意義を説明し、続いて審査プロセス、収録の要件を説明させていただきます。 Directory of Open Access Journals(DOAJ)の概要と収録の意義 初めに、DOAJとは何かです。“DOAJ”で検索して、ウェブサイト(https://doaj. org/)にアクセスしながら聞いていただくとわかりやすいかと思います。DOAJは、英国で登録されてデンマークに支社を持つコミュニティ・インタレスト・カンパニー(イギリスの法人形態の一つで社会的な目的によるビジネスを行う)のIS4OA (Infrastructure Services for Open Access)が運営するオープンアクセスジャーナルのインデックスです。昨年20周年を迎えました。 [DOAJの概要]DOAJは、多様な査読付きのオープンアクセスジャーナルをインデックスしています。専門分野や地域、言語に関係なく、全ての質の高いOAジャーナルの知名度、認知度、影響力を世界的に高めることを使命としています。その収録基準は非公式ながらもオープンアクセスジャーナルのゴールドスタンダードとなっている、学術コミュニティーからの信頼も厚いスタンダードとなっていると、私たちDOAJ——私と司会の天野さんは、DOAJでの日本アンバサダーとして活動しています——は自負しています。また、DOAJのサービスやメタデータは無料で提供されています。ジャーナルのインデックスとしてはWeb of ScienceやScopusが有名で、どちらからも様々なサービスが提供されていますが、サービスを提供するにあたってはいろいろなコストが発生しますので有料です。DOAJではメタデータやサービスを無料で提供している点も、特徴のひとつです。 [オープンアクセスの定義]DOAJにおけるオープンアクセスの定義を確認したいと思います。オープンアクセスとは、学術著作物の著作権者が、オープンライセンス(クリエイティブ・コモンズ、またはそれに相当するもの)を用いて、著作物への即時無料アクセスを許可し、——途中省略しますが——利用権を利用者に与える状態のことであると定義しています(https://doaj. org/apply/をご参照ください)。日本ではすでにオープンアクセスという概念が広く浸透していると思いますが、オープンライセンスを用いるという点はまだ欠けていることが多いかと思います。世界では、2002年に策定されたブタペストオープンアクセスの宣言以降、オープンライセンスを用いることがオープンアクセスの定義として一般化しています。DOAJでは、オープンライセンスを用いていない場合には、論文に無料で制限なくアクセスできてもフリーアクセスと定義し、オープンアクセスと認めないことになっています。ここは気をつけていただきたいところです。 [DOAJ収録誌の数]現在、DOAJには2万誌を超えるジャーナルがインデックスされています。このうちAPCのない、つまり論文掲載料を課さないジャーナルは1万3000誌を超えます。言語は80、出版社の国は134か国にのぼります。本日ご参加いただいている方の中には紀要の編集に関わっていらっしゃる方も多いかと思いますが、大学の部局や研究所が発行しているジャーナルの中には、論文掲載料を取らずに部局や研究所の予算で出版しているジャーナルも多いと思います。大きなパブリッシャーに属していない、中小規模のジャーナルもDOAJには多く収録されており、その認知度やビジビリティを上げることもDOAJの使命の一つとなっています。 [DOAJ収録誌の分布]こちらはDOAJにインデックスされたジャーナルの出版国の分布を表したものです。国別の収録誌数ランキングでは、インドネシア、英国、ブラジル、アメリカ、スペインがトップ 5に入っています。日本は現在90誌程度でまだ少ないのですが、科学技術振興機構のジャーナルプラットフォームJ-STAGEが収録申請の支援活動をされており、着実に収録数が増えています。 [DOAJが選ばれる理由]このセクションの最後に、DOAJが選ばれる理由、DOAJに収録される意義を考えておきたいと思います。まずは、次のセクションからみていく収録要件を満たすことによって、ジャーナルが優れた出版基準を満たしている証明になるという点です。そして、DOAJに収録され、検索エンジンや索引サービスに紐付けられることによって、ジャーナルの発見性の向上が期待される点も挙げられます。これらによって、国内、海外から投稿が増える、そして読者が増える、そしてジャーナルの評価、社会的インパクトが高まっていくと考えています。ジャーナルの評価やインパクトが高まり、信頼性が高まるということは、著者やジャーナルにとって新たな資金の獲得につながる可能性もあるでしょう。もう一つDOAJの意義として、現地語ジャーナルが収録される点も大きいと考えています。 審査プロセス それでは、審査プロセスの説明に移ります。出版社もしくは編集者の方から申請があると、まずイニシャル審査が行われます。これはジャーナルでいうところのプレ査読のようなものです。これをクリアしますと、次は個別審査に移ります。ジャーナルでいうところの本査読のようなものです。個別審査の結果を基に、DOAJのマネージングエディターによって最終決定が行われ、結果が申請者にフィードバックされます。 [イニシャル審査]イニシャル審査のチェック項目として、それぞれの雑誌に付けられる識別子ISSNが登録されていることがあります。ISSNの登録に関しては、ISSNの日本センターである国立国会図書館のサイト(https://www. ndl. go. jp/jp/data/issn/registration. html)を参照いただければと思います。それから、ジャーナルのウェブサイトが用意されていて、きちんと機能していること。出版から遅延なく、また特別な登録をすることなく記事の全文にアクセスができること。著作権及びライセンスに関する情報がウェブサイトに記載されていること。最後の二つは、DOAJの定義するオープンアクセスに則っているかの確認です。 [個別審査]イニシャル審査を通過したら、個別審査に移ります。ここではDOAJのボランティアやスタッフによるジャーナルの個別審査が行われます。ジャーナルのウェブサイトと申請書の内容がきちんと合っているかを一件一件確認していく作業です。質問がある場合には、申請をした方に直接コンタクトを取ります。気をつけていただきたいのは、必ずしも @DOAJというメールアドレスから問い合わせが送られない点です。ボランティアが申請の確認をする場合、ボランティア個人のメールアドレスから問い合わせが行われることがあります。審査期間は申請してから3か月程度なので、その間はメールの見落としがないようにどうぞご注意ください。個別審査を行なったDOAJのボランティアやスタッフは採択または不採択のレコメンデーションをします。 [最終決定]レコメンデーションをDOAJのマネージングエディターが受け取って、申請書と個別審査におけるレコメンデーションの内容を確認します。必要に応じて、さらに審査もしくは問い合わせを行い、採択または不採択の最終決定を行います。 [フィードバック]最終決定が行われると、申請者の出版社や編集者にEメールが送られます。採択になった場合は自動送信で、DOAJには即掲載されます。不採択になった場合は自動の場合もありますし、手動の場合もありますが、コメントがつきますので、ジャーナルをより良くしていただくための情報として、ぜひご活用いただきたいと考えています。コメントを基にウェブサイトの修正やポリシーの再検討などをしましたら、6か月間は再申請不可なんですが、それ以降に再度申請ができます。異議の申し立ても受け付けていますので、ウェブサイトを参照してください。 [査読期間]平均の審査期間は3か月です。申請されてから3か月間は問い合わせ等を受け付けることができません。まだ結果が出ないのかなと気になることがあるかもしれませんが、3か月間は申し訳ありませんがお待ちください。 [採択率]採択率をみておきたいと思います。2023年は7926件の申請があって、1926誌が採択となりました。採択率は24%です。日本からの昨年の採択率は38%です。 [イニシャル審査のリジェクション理由]イニシャル審査でどういったリジェクションの理由があるかを聞いていますのでご紹介します。著作権やライセンスの説明が不完全である、そのポリシーが明らかでないといったところが一つの大きなリジェクションの理由になっています。もう一つは、英語と日本語や多言語でウェブサイトを作っている場合に、それぞれの言語で記載されている内容が合致しないこともリジェクションの理由として上位だと聞いています。申請を準備される場合には注意いただければと思います。 DOAJの収録申請——申請前の確認—— それでは、DOAJの収録申請では、どういう項目が審査され、どういう情報を申請時に記入していくのかをみていきたいと思います。 [OAの定義確認]まずは申請をされる前に確認していただきたいことがあります。DOAJの定義に沿ったオープンアクセスになっているかです。フリーアクセスではなくて、オープンライセンスを用いることが必要です(Training resources (slides, presentations, tools) - Google ドライブも参照)。全てのコンテンツの全文が遅延なく公開され、無料で、オープンアクセスであること。これが一つの基準です。遅延なく公開されるとは、エンバーゴなしで読めることです。学会誌では学会員の利益を守るためにジャーナルが刊行されてから1年間はオープンアクセスにしないといったことがよくあるかと思いますが、これは認められません。ユーザーにコンテンツを読むために何らかの登録作業を要求することも認められません。そして、オープンライセンスを使用していることが必要です。よくある質問に、ジャーナルの印刷版は有料でもいいですかというのがありますが、これは問題ありません。 [内容確認]学術研究論文を掲載しているかという点も確認してください。分野は問いませんが、年間5本以上の研究論文が掲載されている必要があります。また、主な読者として研究者や実務家を対象としていることが求められます。創刊したばかりのジャーナルや、オープンアクセスジャーナルに移行したばかりのジャーナルは、創刊もしくは移行後1年が経過しているか、オープンアクセス論文をすでに10本以上刊行していることが必要です。 [記載事項確認]オープンアクセスジャーナルですから、ウェブサイトが必要です。ウェブサイトの基本的な記載事項をみていきたいと思います。まずはオープンアクセスポリシーですね。DOAJの定義するオープンアクセスに則ったポリシーが明記されていることが必要です。Aims and Scope、ジャーナルがどのようなものを掲載するかに関する説明。そして、編集委員会、投稿規定、査読の編集プロセスに関する説明が必要です。オープンアクセスに関わるところでは、ライセンスに関する情報、著作権に関する情報を掲載してください。それから、著者が請求される料金にどのようなものがあるか。投稿料や編集加工料、ページ料金、カラーチャージ、いろいろあると思いますが、どのようなものがあって、いくらなのかを明記する必要があります。そして、連絡先となる方、例えばマネージングエディターといった方になるかと思うのですけれど、質問を受け付ける窓口となる方の氏名とメールアドレスを記載する必要があります。最後に、ISSN番号ですね。これらをウェブサイトに記載してください。 [URL確認]ジャーナル専用のURLが必要です。学部や研究所のサイトの中で結構ですが、ジャーナル独自のページが必要です。そして、論文ごとにHTMLまたはPDFでアクセスできることを確認してください。例えば、機関リポジトリで公開していて、一本ずつ論文にアクセスできるというのでも構いません。 [HTML・PDF]いま挙げたような項目をできればウェブページの本文に含めることをDOAJは求めています。各項目をPDFに記載して公開するのでも結構ですが、利用者からするとウェブサイトの(HTMLで書かれた)ページのほうがアクセスしやすく、読みやすいので、DOAJとしてはそちらを基本的には求めています。PDFにそれぞれの情報を含める場合には、ジャーナルのウェブサイトからすぐ飛べるようにしておいてください。 DOAJの収録申請——申請書作成—— [申請の流れ]それでは、申請書作成のステップをみていきたいと思います。アプリケーションフォームでは、大項目ごとにページがあって各項目を埋めていく形になります。まずジャーナルのアカウントを作成してから、情報を入力していきます。一時保存ができますので、入力していく過程で、まだ十分に検討できていなかったとか、ウェブサイトに十分掲載できていなかったというところが出てきましたら、いったん一時保存をして、修正してからまた申請を続けることが可能です。 [Step 1]ここから、実際に申請フォームを見ながら説明していきたいと思います。情報を入れていないと次のページに進めませんでしたので、ダミーで情報を入れています。まずは、DOAJのdefinition、定義に沿っているか。もちろんこれは申請する際には準備されていると思いますので、Yesを選びます。オープンアクセスに関するジャーナルの宣言はどこに記載されているか。そのページのリンクをここに入力します。全てのコンテンツをDOAJのいうオープンアクセスの形で公開し始めたのがいつか。ここにはその年を入れてください。途中からオープンアクセスに移行したジャーナルの場合は、ジャーナルの創刊年ではなく、完全なオープンアクセスに移行した年を入れてください。 [OA宣言の例]オープンアクセスステートメントの例が、DOAJのウェブサイトにありますので(https://doaj. org/static/doaj/docs/DOAJquestions-for-reference-only. pdf)、ここに示しました。私たちはオープンアクセスをこういう意味で使っています、ということを書きます。もちろん日本語でウェブサイトを作成しても結構ですので、その場合は日本語で作成したものを公開してください。 [Step 2]About the journalには、ジャーナルの説明を入れていきます。ジャーナルのタイトル、ウェブサイトのアドレス、ISSN番号を入れます。ISSNの規定上、オンライン版とプリント版では別々の識別子が必要です。オープンアクセスの場合は、少なくともオンライン版のISSNを取得してください。次に、6個以内のキーワードを入れます。日本語でしかウェブサイトを持っていない日本語のジャーナルであっても、英語以外の言語のジャーナルであっても、審査の過程で必要なので英語でキーワードを入れてください。ジャーナルの主要なトピックを表す単語、もしくは短いフレーズ、2単語から3単語程度のものを入れます。説明的な文章等は使用しないでください。言語は、多くの言語の論文を受け付けている紀要などの場合は、一つ選択してからボタンで追加していってください。最後に、出版者の名称等を入れると、次のページに飛ぶことができます。 [Step 3]ステップ3で、ライセンスに関する情報を入れます。DOAJは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス、いわゆるCCライセンスの利用を推奨していますので、CCライセンスの6つの中から選ぶ、もしくはCC0(全ての権利の放棄)やパブリックドメイン(著作権が発生していない、もしくは保護期間が終了している)を選びます。出版者独自のライセンスのあり方を決めている場合は、それを選びます。それはウェブページに明記されている必要がありますから、リンクを入れます。ライセンス情報を各論文に埋め込めば利用者にわかりやすくて便利だろうということで、DOAJはこれを推奨していますが、必須ではありません。著作権は著者が持つことを推奨していますが、もちろん出版者が持っても結構です。どちらかを選んでください。こうした情報がわかりやすい形でウェブページに掲載されていることが必要ですので、ここにそのアドレスを入れます。 [CCライセンス]クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、表示・非営利・改変禁止・継承の4つのマークを組み合わせて、利用者がどう利用できるかを示すマークです。DOAJでは、CC BY——作品のクレジットを表示すれば自由に再利用が可能——、もしくはCC BY-SA——元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開するなら自由に再利用が可能——の二つを推奨していますが、みなさんのジャーナルでよく検討して選んでいただければと思います。 [CCライセンスの選定]CCライセンスを選定する際の参考になるフローチャートをDOAJが公開していますので(ウェブサイトでは公開していないので講演スライドをご参照ください)、参考にここに示しました。私もCCライセンスを選ぶのは難しいと感じていますが、一度ライセンスを設定すると取り消しが効きません。ここに留意して、いろいろな方面から慎重に検討していただく必要があると思います。助成金によっては、成果の発表の際に付与するライセンスに関する規定を決めているものもあると思います。自分のジャーナルがどのような著者から論文の投稿を受け付けたいかを考える必要があるかと思います。最近では、複数のライセンスの選択の余地を残しておいて、著者に助成金等の状況に応じて選んでもらうジャーナルも増えているのではという印象があります。 [Step 4]ステップ4でeditorial、編集委員会や査読に関する情報を入れます。まず、査読はどういう形態をとっているか。そして、その査読ポリシーへのリンクを入れます。DOAJが示している査読の形態は後ほど紹介します。剽窃チェックツールの利用を強く推奨していますが、これは必須ではありません。それから、編集委員会に関することです。Aims and Scopeへのリンク、編集委員会の情報へのリンク、投稿規程へのリンクを入れます。最後に、投稿から出版まで平均でどの程度の期間かを入れます。短すぎるのは査読をきちんとしていないハゲタカジャーナルの可能性があるので聞いていると私は理解しています。 [査読の形態]査読の形態についてのDOAJの定義を説明します。Editorial reviewは編集委員会のメンバーによる査読です。人文学分野のジャーナルでのみ認められています。Peer reviewは、著者・編集者・査読者がお互いに誰かわかる形の査読。Anonymous peer reviewは、著者は査読者が誰かわからないけれど、査読者と編集委員は著者が誰かわかる形でする。Double anonymous peer reviewは、著者・査読者がお互い誰かわからない形で、一番フェアな形といわれます。ここまでの査読の場合は、編集委員会外部から少なくとも2名の査読者を立てることを求めています。いわゆる伝統的な査読とは異なる形も二つあります。Post-publication peer reviewでは出版前に査読を行いません。ジャーナルは公開で査読が行われるためのプラットフォームを提供して、コミュニティーが査読者として機能してコメントを付ける形です。Open peer reviewは透明性を重視して様々な方法でオープンに行われる査読を指し、例えば著者・編集者・査読者によるオープンな議論です。これらのどれにも当てはまらない場合にはその他を選んで、ウェブサイトできちんと説明することが必要です。 [査読ポリシー]査読の形態と詳細をウェブサイトに記載してください。特集号を掲載するジャーナルの場合は、特集号に関する査読も明記する必要があります。原則として査読者は少なくとも2名必要です。ただし、人文学分野は別です。このことを含めて、分野によってadditional criteriaがありますので(https://doaj. org/apply/guide#additional-criteria-for-some-journal-types)、参照してください。著者の少なくとも一人が編集者、編集委員、査読者である研究論文の割合は、最新2号のいずれにおいても25%を超えてはいけません。この点、少し注意していただければと思います。 [編集委員会]編集委員会に関する情報として、編集委員の氏名と所属先をウェブサイトに明記する必要があります。適切な資格と専門知識を持つ5人以上の編集者で構成された編集委員会にしてください。全員が同一機関の方でも問題ありませんが、そうでないことをDOAJでは推奨しています。 [Step 5]ビジネスモデルとして、著者から料金を徴収するか、するならどういった料金を徴収する可能性があるかをウェブサイトに明記して、ここで入力します。Publication fee waiverは、例えば学会誌では所得の低い国からの投稿の場合には料金を割り引くといったことが多いかと思いますが、そういう規定があればYesを選択してください。 [Step 6]Best practiceというページがあります。DOAJでは、オープンアクセス出版のベストプラクティスを実施したジャーナルに対して、DOAJシールというものを付与しています。インデックスされたジャーナルの10%程度がこのDOAJシールを持っています。ここでは、アーカイブのポリシー、著者が機関リポジトリ等にデポジットする際にどういうことを認めているか、また論文にどういう識別子を使っているかといった情報を入れます。ここの項目は収録の要件ではありませんので、情報を入れていただく必要はありますが、収録の可否に関わることではありません。ここが終わりましたら、回答を確認して終了です。 [アカウント・項目一覧]アカウントはここ(https://doaj. org/account/register)で作成できます。そしてこちら(https://doaj. org/static/doaj/docs/DOAJquestions-for-reference-only. pdf)ではいままでみてきた項目をまとめています。アドバイスも含めた一覧なので、このファイルをダウンロードして回答を準備したうえで、ウェブサイトのフォームを入力していただくのをお勧めします。 [日本の状況]出版国が日本のジャーナルの概要を少しみておくと、現在91誌が収録されています。英語論文を掲載しているものが79誌、日本語論文を掲載しているものが16誌です。ライセンスは、CC BY、CC BY-NC-ND——これはかなり厳し目のライセンスだと思います——を選んでいるものが多いですね。査読ではブラインドレビューが多くなっています。DOAJのトップ画面のsearchでjournalを選んでいただくと、ジャーナルの絞り込み機能が出てきます。Country of publisherを選んでJapanで検索すると、日本から収録されているジャーナルを参照することができます。この機能を使って、他のジャーナルがどのようなウェブサイトを用意しているかを見ていただければと思います。 [参考資料]DOAJは、OA出版のためのリソースの作成に協力していますのでご紹介します。この三つ(The OA Journals Toolkit、PLACE、Think. Check. Submit. )がこれまで作成に協力しているものです。The OA Journals Toolkitは、私自身が編集者の立場から情報が豊富で使いやすいサイトだなと思っています。編集作業や編集委員会の運営をしていると、わからないことがいろいろでてきます。最新の情報にアップデートされたハンドブックはなかなか見つかりにくいのですが、このキットには、ジャーナル運営に関わるさまざまな情報がまとめられています。英語のものですが、自動翻訳機能を使えば日本語でサクサク読めますので、ぜひ参照していただければと思います。どれも使い勝手がいいリソースですので、ぜひ役立てください。 [質問受付]みなさんが収録申請の準備をしていて細かな質問が出てきたときは、DOAJのアンバサダーをしている天野さんと私に聞いていただければ、すべて回答できるかはわかりませんが、必要に応じてDOAJの事務局に問い合わせながら、丁寧にお答えしていきたいと考えています。質問等ありましたらいつでもご連絡いただけますと幸いです。 〈質疑応答・コメント〉 学術誌の評価と多様性の維持 天野(司会):事前にいただいていた質問です。「本学でも多数の紀要を発行しています。発行業務の支援を行う図書館員としては、ダイヤモンドオープンアクセスとしてそれら紀要の地位を高めていきたいとの思いがあります。一方で、DOAJの収録など、いわゆる学術雑誌としての評価を高めようとすると、scopeの明確化や査読の厳格化等が求められて学問的多様性や編集の迅速さといった紀要の利点を損なうことになるのではとの危惧を抱いています。この点について、講師やオーガナイザーの先生方の意見を伺いたいです。」 設樂:とても難しい質問ですが、みなさんの関心があるところだと思います。月並な答えになりますが、ジャーナルをどう位置づけたいか、どう利用していきたいかという出版者側の考えによると思います。発表の場というところに重点を置くなら、DOAJのクライテリアの厳しい細かいところをクリアするのではなくて、いろいろな自由度があるままにしておくのがいいと思います。査読誌としての場を作りたい場合には、DOAJのクライテリアを一つずつクリアして、DOAJへの収録を考えるのがよいかと思います。 必ずしもDOAJに申請される必要はないと思います。ただ、収録要件には今まで気づかなかった視点もあると思います。要件を確認して、自分のジャーナルはどこを満たしていて、どこが足りてないかを考えていただくといった、チェックリストとして参照していただくことも、より良いジャーナル運営へとつながる有用な使い方かなと考えています。 再申請について 天野:チャットでいただいた質問です。「DOAJの審査決定で、不採択の場合は6か月間は再申請ができないそうですが、最初に提出した論文の訂正等をして再申請をすることができるということでしょうか?」 設樂:DOAJの申請に関しては、論文ではなくて、ジャーナルごとに申請をしますので、質問の「論文」を「ジャーナル」に読み替えて回答させていただきます。不採択だった場合、返ってきたコメントを基に、ウェブサイトやジャーナルのポリシーなどを編集委員会で再検討して、ウェブサイトの不備があった場合はそこを直して、6か月後に再申請することになります。 採択率について 天野:もう一ついただいています。「DOAJの審査を通過する率は低い気がしますが、審査に通りそうか事前に見当がつかないものでしょうか? 大まかな審査基準は公表されていないのでしょうか? 申請してみないとわからないのでしょうか?」 設樂:たしかに、審査に通る率は高くないですね。事前にわからないのかというところですが、最後の方のスライドで紹介した通り、DOAJの審査項目とDOAJチームからの参考になるアドバイスをまとめた一覧表が公開されていますので、それを一つ一つ見ていただくと、ある程度は自分たちが足りていないところがわかります。審査に通りそうかはわからないかもしれませんが、万全の準備はできると思います。収録されているジャーナルがどのようなウェブサイトを作っているのか、どのような情報の明記の仕方をしているのかを確認して、それに合わせてやっていくと採択につながる率は高くなるのではないかと考えています。 出版体制、分野について 質問者:研究者や大学としては研究成果を広く読んで知ってもらうのは大事なことだと思うので、こういう取り組みは大事だと思います。一方で、申請するときに、出版母体の体制がどう判断されるのか気がかりです。例えば、紀要でも大学ではなく、〇〇会といったバーチャルな組織が出版母体になっているケースがあると思います。学会でも任意団体のことが結構ありますよね。出版体制や責任体制も含めて、その辺りはどう判断されるんでしょうか? そういう体制ではなく、出版の継続性や質で判断されるのかということがまず一点。 もう一点、人文系については編集委員会による査読も認めるということですけど、大学の紀要は学問分野というより部局から出ていて、最近は学際的な部局もたくさんあるので、人文系の論文でも、データサイエンス学部のようなところから出る可能性もあります。何をもって人文系のジャーナルと判断されるんでしょうか? この2点、確認させてください。 設樂:初めの質問*に関しては、DOAJの申請フォームにパブリッシャーに関する情報を入れるところがありますので、ここをDOAJのチームが確認していると思います。かつ、編集委員会に関しては詳細なルールがあります。ですので、きちんとした団体、発行母体になっているかはDOAJなりに確認していると思います。 二つ目の質問に関しては、今まで考えたことはなかったのですが、DOAJのチームで、人文系と考えていいかを一つ一つ確認していくと思います。非常に細かにウェブサイト等を確認して審査していきますので、人文系と自分たちが銘打っていても、DOAJで認められない場合には、この査読体制ではダメですっていう回答がくると思います。そういう審査がされると認識しています。 *の回答への補足 セミナー後、DOAJに確認したところ「出版機関には、専門出版社、学術機関、任意団体など、さまざまなタイプの組織があります。私たちがジャーナルを審査する際には、出版機関の存在とその信頼性を確認するための情報を参照します。これには、ウェブサイト、所在地、連絡先、組織構造、運営陣などの情報が含まれます。出版社(者)に関する情報は透明性が高く、簡単に見つけられるようにしてください。」とのことでした。 社会科学分野の査読について 天野:チャットにきた質問です。「STM分野とSSH分野では査読等の慣行が大きく異なると認識しております。DOAJのクライテリアをもってArts and Humanities分野ではエディトリアルレビューを認めているというのは、そうした現状を反映しているのでしょうか? この場合、Social Scienceは対象外でしょうか?」 設樂:まさにそのとおりだと思います。分野によって査読に関する考え方や体制は違うことをDOAJでは十分理解していますので、Arts and Humanities(人文学)ではエディトリアルレビューを認めるということになっていると認識しています。Social Science(社会科学)では、2名以上の編集委員会外の査読者による査読が現在必要とされています。ただ、通常のトラディショナルなレビューではなく、オープンピアレビューといった可能性も残していますので、考えてみてもよいかもしれません。時代によって査読が変わる、分野によって変わるとDOAJは考えて、いろいろなパターンを提示しています。 天野:まだまだ質問はあると思います。スライドの最後にあるアドレスまでお送りいただけましたら、なるべく対応したいと思います。編集委員会の担当者として関わっているジャーナルをDOAJに登録したいときなどに何かご不明点がありましたら、設樂さんもしくは私のメールアドレスにご連絡ください。 これにて、大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー全3回を終了いたします。このセミナーシリーズが、紀要や研究室の雑誌といった大学発のジャーナルの発展とジャーナルを通じた多様な研究の発展に少しでもお役に立てましたら、企画者としても嬉しく存じます。本日はどうもありがとうございました。
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### 【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(2) 2024/6/27 (木)
- Published: 2024-07-19
- Modified: 2024-07-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/07/seminar2024-06-27/
- Categories: セミナー報告
日時:2024年6月27日(木)15:00—16:00
(オンライン開催)
Logo background © Jéssica Beatriz Tosta
研究者の歩きかたセミナー 共催:紀要編集者ネットワーク;京都大学図書館機構;京都大学学術研究展開センター(KURA);研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 協力:オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR) イベント開催案内 >> 日時:2024年6月27日(木)15:00—16:00【オンライン開催】 Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に 講演:ビョーン=オーレ・カム(京都大学大学院文学研究科) 講演スライド Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に by ビョーン=オーレ・カム is licensed under CC BY-NC-SA 4. 0 講演と質疑応答・コメントの記録 講演と質疑応答・コメントの記録(HTML) 司会:北村由美(京都大学附属図書館研究開発室)
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### Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に(質疑応答・コメントつき)
- Published: 2024-07-19
- Modified: 2024-07-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/07/kamm/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(2)
〈講演〉ビョーン=オーレ・カム(京都大学大学院文学研究科)
研究者の歩きかたセミナー「大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(2)」2024/06/27 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2024/07/seminar2024-06-27/ 〈講演〉 Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に ビョーン=オーレ・カム (京都大学大学院文学研究科) 本日は『RPG学研究』とOpen Journal Systems(OJS)について話をする機会をいただき、誠にありがとうございます。また、関心を持ってセミナーに参加してくださる皆様に感謝申し上げます。 今日は三つのトピックについて話したいと思います。まず、僕たちの学術誌である『RPG学研究』の概要について簡単に説明します。次に、OJSを使用する理由と方法について少し説明したいと思います。最後に、OJSの実践デモンストレーションを行い、投稿から編集者の決定までのワークフローをお見せします。 『RPG学研究』と自己紹介 『RPG学研究』は、アナログロールプレイングゲームの研究とデザインに関する英語圏と日本語圏の言説を橋渡しするために2019年に設立されました。創刊編集委員会は東京学芸大学、横浜国立大学、そしてドイツのミュンスター大学と京都大学の研究者で構成されていました。設立以来、僕は編集主幹を務めています。 僕は2015年から京都大学で働いており、2017年からハイデルベルク大学との共同学位プログラムをコーディネートしています。僕個人の専門はもともと日本研究とメディア研究で、主にマスメディアにおけるステレオタイプとサブカルチャーのプラクティスに焦点を当てていました。最近の研究テーマは、エンターテインメントおよび教育におけるアナログロールプレイングゲームです。ゲームに関する包括的な研究を行いながら、社会的ひきこもりや神経学的多様性についての意識を高めるために教育的なゲームをデザインすることにも取り組んでいます。 アナログロールプレイングゲーム 非デジタルまたはアナログロールプレイングゲームという言葉を聞いたことのない方のために、例を挙げましょう。ファイナルファンタジーは商業的に非常に成功しているデジタルロールプレイングゲームですが、その基礎は米国の「Dungeons & Dragons」や日本の「ソード・ワールドRPG」といったテーブルトークロールプレイングゲームにあります。プレイヤーはテーブルを囲んで座り、それぞれのキャラクターを口頭で演じます。ゲームマスターがプレイを進行し、ルールを仲裁します。非常にコミュニケーションが重視されるゲームで、物語はプレイヤーの相互作用を通じて展開されます。『RPG学研究』の共同編集者の東京学芸大学の加藤浩平先生は、自閉症の子どもたちが楽しくコミュニケーションを取るためのゲームを共同でデザインし、大成功を収めています。 また、ライブアクションのロールプレイ、LARPというものもあります。キャラクターの衣装を着て、数時間から数日間、そのキャラクターを全身で演じます。最も一般的で人気のあるジャンルはファンタジーで、「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」のようなものです。大多数のイベントの参加者は15人から30人ですが、毎年5日間で1万人のプレイヤーが参加するようなイベントもあります。 僕が個人的に最も興味を持ち、積極的に取り組んでいる分野は教育的ライブアクションロールプレイ、いわゆるedu-larpです。これは参加者にとって楽しいものでありながら、プレイの前後にワークショップを行い、ゲーム体験を日常生活に転用する手助けをします。例えば、伊賀市では三重大学が忍びLARPを提供しており、その歴史的背景を教えています。差別のような社会問題や他のインテンシブな体験などを取り込むLARPが世界中でいくつか挙げられます。 『RPG学研究』の内容と巻号 『RPG学研究』では、趣味として行われるこのようなゲームについて、プレイヤーとキャラクターの相互作用、安全なプレイスペースなどの研究課題に関する寄稿を求めています。また、芸術的、政治的、教育的アプローチに関する研究も関心がある領域です。研究論文だけではなく、ベストプラクティスレポート、エンターテインメントや教育用のロープリングツールやテクニックも公開しています。例えば過去には、プレイヤーが難しいトピックやトリガーに対処するための安全カードの日本語訳を公開しました。 2019年の創刊号以降、特定のテーマを持たない創刊号を除いて、これまでに4号を発行しており、今年は第5号の準備を進めています。各号の発行と共に国際シンポジウムも行い、著者が自分の研究を発表し、通訳を介して言語の壁を越えて議論する機会を提供しています。 類似ジャーナルと『RPG学研究』の使命 僕たちの主な使命の一つは、日本と他の地域の研究者やゲームデザイナーの間で対話、ダイアログを可能にすることです。英語圏にはすでにInternational Journal of Role-PlayingやAnalog Game Studiesなどの学術誌があります。また、Simulation & Gamingというジャーナルも教育的アプローチに近い内容を扱っており、日本語の姉妹誌もあります。しかし、僕たちの関心のある多くのトピックはシミュレーション・ゲーミング分野では扱われていません。ですから、類似のジャーナルが存在してはいますが、2言語対応でオープンアクセスのものが国際対話を促進するために必要だと考えました。 なぜオープンアクセスにしたか 最初からオープンアクセスにすることを決めていました。例えば、Simulation & Gamingは最近一部の論文を限定的にオープンアクセスで提供していますが、それ以外の論文にはアクセスしにくい状態です。教育的ロールプレイヤーやLARPの実施者がシミュレーションゲーム分野を長い間知らなかったのは、有料の壁が知識の流れを阻害していたからです。また、僕たちの分野の関係者は学術機関ではなく、NGOやNPO、そしてもちろんゲーム会社に所属していることもよくあります。関心を持つ全ての人々が無料で知識にアクセスできるようにしたかったのです。そして、国際的な交流と協力のためのノードポイント、コミュニティーを作りたかったのです。 得られた反響 これまでのところ、僕たちの選択は正しかったと考えています。投稿数は年々増加し、ダウンロード数も増える傾向にあります。全ての寄稿を著者のORCiDにリンクさせることで引用数も容易に追跡できますが、それもかなりの数に上っています。 一つの例として、日本の著者の中には、初めて英語圏で認知され、これまで以上に幅広い読者層にアクセスできて、海外でもネットワーキングができた方々がいます。また、関連する年次国際シンポジウムの参加者数も増加しています。学術誌の出版で最も難しい側面の一つである査読者を見つけることにはもちろん時間がかかりますが、信頼できる査読者のベースができたので、本プロジェクトを推進し続けています。 『RPG学研究』のウェブサイト 『RPG学研究』のフロントページには、現在の募集要項を掲載しています。最新号のランディングページとしても機能しています。ウェブサイトはもちろん日本語と英語で提供しています。ボランティアで運営されているダイヤモンドオープンアクセスの学術誌です。ボランティアで運営されているのですので資金は限られており、全ての論文を両言語で提供することはできませんが、英語または日本語の読者にとって興味深いと思われる論文を適切に翻訳するよう努めています。 こちらは個別論文のページで、タイトル、要旨、HTML及びPDF形式の本文へのリンク、ダウンロード数の情報などが含まれています。 『RPG学研究』の全ての論文をHTMLとPDFの二つのバージョンで提供しています。PDFは標準的な研究論文の体裁で、投稿の主な言語に関係なく日本語と英語の要旨が含まれています。しかし、僕自身の教育経験から、多くの学生がスマートフォンで研究論文を読むため、PDFではテキストの表示が小さすぎて読むのを諦めることが多いと気がつきました。その経験から『RPG学研究』の全ての論文を画面サイズで動的に調整されるHTMLページとしても提供しています。また、HTMLテキストの引用は難しいため、HTMLバージョンには段落番号を使用して引用を可能にしています。さらに、HTML版なら自動翻訳サイトを使って読むことができますので、翻訳されていない論文のアクセシビリティも高めることができます。 なぜOpen Journal Systems? OJSは様々な形式での論文配布を容易にします。それが、このプラットフォームを選んだ理由の一つです。ウェブサイトのフロントだけを考慮すれば、WordPressを選ぶことも可能だと思いますが、査読プロセスを支援し、DOIやORCiDなどの識別子にリンクするためのバックエンドがOJSを選ぶ決め手となりました。 僕自身の研究を通じてOJSを知りました。2012年にTransformative Works and Culturesという学術誌に論文を投稿し、受理されました。その時の利用者としての使いやすさを記憶しており、自分たちの学術誌にOJSを試してみることを提案しました。 初号発刊までの設定 僕はWordPress、Moodle、PHP、HTML、CSSなどの経験が豊富だったので、テストサーバにOJSを設定し、その後プロダクションサーバに移行するのに困難はありませんでした。2019年にはすでにセットアップウィザードがインストールプロセスを案内してくれていましたが、現在はそのウィザードがさらに改善されていることを確認しました。 WordPressのブログを設定したことのある方があるなら、OJSのジャーナルを設定する手順はそれほど難しくないと思います。しかし、メンテナンスにはWordPressの更新よりも多くの知識が必要です。既存のデータをバックアップし、更新スクリプトを実行するためには、コマンドラインアクセスが必要です。 これは誰でもできるわけではないので、図書館と連絡を取り、OJSの設定とメンテナンスについて協力できないかを確認することを強くお勧めします。OJSはマルチジャーナルシステムであり、図書館が一つの中央インストールを設定し、複数の学術誌を作成することができます。そうすれば、システムのメンテナンスを集中化しながら、各ジャーナルに必要な柔軟性と自律性を提供することができます。でも、これは全学的な戦略の話なんですけど。 『RPG学研究』では、設定、メンテナンスを全部自分で行いました。その理由の一つは、学術誌をオープンにすることでどんな課題が出てくるか全くわかっていなかったからです。創刊編集者の誰もが、論文の投稿や査読などの経験があったんですけど、学術誌編集経験はありませんでした。京都大学図書館との連絡が遅れた原因です。 DOIと京都大学図書館KURENAIリポジトリ 図書館に連絡した理由は、論文にDOIを付けたかったからです。ISSNへの登録方法は簡単に見つかり申請しましたが、DOIはより複雑でした。そのため、京都大学図書館に連絡し、KURENAIリポジトリを介して論文を提供すればDOIを取得できることを学びました。このオプションを選んだのは、HTMLとPDFの二つのバージョンのアプローチに利用できるからです。全てのPDFバージョンが京大のリポジトリにあるため、ジャーナルウェブサイトのメンテナンス中でも読者がPDFにアクセスできます。また、長期的なアクセスを保証することにもなります。 Open Journal Systemsの日本語訳 ISSNやDOIの問題が解決された後、ジャーナルを始めるうえで最大の障害に直面しました。それは、OJSソフトウェアの日本語訳がないことでした。バイリンガルジャーナルは投稿者にも査読者にも母国語でのアクセスを提供して全てのプロセスをナビゲートする必要がありますので、これは大きな問題として浮上しました。ちょっと驚きだったのは、OJSを利用している日本語のジャーナルをいくつか見ていたからです。問題は、それらの学術誌がOJS2番という旧バージョンを使用していたのに対し、僕たちは一番新しいOJS3番をインストールしていたことでした。新しいコード構造のため、まだ日本語訳がありませんでした。 最終的には自分たちでその翻訳を作成しなければなりませんでした。これは多くの作業を意味しましたが、OJSのようなオープンソースソフトウェアの利点でもあります。商用ソフトウェアでは翻訳を行うことができず、ソフトウェアを所有する会社が翻訳を行うまで待つしかないですよね。 0からの翻訳ではなく、OJS2番の翻訳を利用して、OJS3番の翻訳を作成することができました。また、例えば有料購読に関連する機能は使用するつもりがなかったため翻訳せず、自分たちの学術誌運営に必要な部分だけ翻訳しました。それに、翻訳していなくても英語は表示されるので、ユーザは少なくとも何をすればよいか推測できると思います。 最初の日本語訳を行った後、OJSを開発しているPublic Knowledge Project(PKP)社は、翻訳の扱い方を何回も変更しました。現在は、コミュニティ翻訳プラットフォームWeblateを使用し、日本語はja_JPからjaのみのラベルに変更されました。このため、再び翻訳作業を始めなければならない部分もありましたが、仲間が加わり、現在は僕と、直接には知らない日本人の同僚がほとんどの翻訳を行っています。ちょっと変な日本語に遭遇した場合、それは全部僕のせいです。そしてこれがオープンソースの素晴らしいところで、翻訳に不満があればWeblateに登録して誰でも簡単に修正することができます。 OJSの最新リリースで、また新しい設定やオプション、メールテンプレートがでました。それで、今日のセミナーでこれからお見せするデモのために、またいろんなところの翻訳を行いました。それから、著者や査読者は気づかないでしょうが、編集の視点を今日お見せするので、その部分の追加翻訳が必要でした。まとめると、現在日本ではOJSを日本語で使用できる準備が整っているといえます。 Open Journal Systemsのデモにあたって 初期の作業と設定が終われば、実際の作業は簡単でスムーズです。投稿および査読のプロセスの一部をお見せしたいと思いますが、デモに入る前にお知らせしたいことがあります。 去年5周年を記念して、ウェブサイト(フロントエンド)を完全にリデザインしました。創刊当初は学術誌を配布するためのプラットフォームを探していただけで、ウェブサイトのデザインについてはあまり考えていませんでした。OJSはカナダのSimon Fraser大学と関連のあるPKP社から提供されています。OJSの他にOpen Monograph PressとOpen Preprint Systemsというソフトウェアもあります。京都大学図書館でのこのPKP社とのコラボレーションミーティングで代表のJohn Willinsky先生に出会い、フロントエンドデザインの多くのオプションを試すよう提案され、実際にそうしました。これらの変更はサンドボックステストサーバで行いました。 バックエンドの操作方法を見せるために、このサーバを使用したいと思います。なぜなら、現在は最新号のために査読中ですので、ライブバックエンドをお見せすると著者と査読者の匿名性が損なわれる可能性があるためです。 では、投稿および査読のプロセスに関与する3人、つまり編集者と著者そして査読者が何を見て何をするかを紹介します。 Open Journal Systemsのデモ:著者 著者から始めたいと思います。著者はアカウントを作成する必要がありますが、今回はこのステップを省略します。すでに登録している著者は、フロントページから「投稿を提出」をクリックして新しい投稿を開始できます。そうすると投稿ガイドライン(執筆要項)で、ジャーナルのセクション、つまり投稿の種類や何を用意する必要があるのかを確認できます。(同じ画面の「投稿」という見出しの下に「新規投稿」へのリンクあり) その後、「新規投稿」に入って、この画面になります。『RPG学研究』は日本語と英語で投稿できます。数名の著者は同時に両方の言語で原稿を提出しましたが、通常は母国語を主な投稿言語として選ぶようにお願いしています。デモでは日本語を選択します。次のステップはもちろん投稿のタイトルの入力です。その次に、どのような投稿であるかを示すために、セクションのカテゴリを選択する必要があります。研究論文、理論論文、実践報告、教育・実践資料などいくつかのセクションがあります。デモでは研究論文にします。最後に投稿チェックリストを確認して、個人情報の扱いについてのステートメント(個人情報保護方針)に同意し、投稿を開始します。 タイトルは先ほど入力したものがすでに記入されているのでここにもう一度入力する必要ではないのですが、もう一つの言語でもタイトルを入力したければここで(画面上部の言語タブで表示を切り替えて)できます。キーワードは、基本的に著者による指定をお願いしています。キーワードを入力すると、すでに使われているキーワードが表示されるので、これだと思うものがあれば選択できます。300字程度の要旨をジャーナルからお願いしていますが、少し短くても構いません。 著者はいつでもこのプロセスを中断できます。「一時保存」をクリックして、後でここに戻ることができます。例えば、要旨の準備を忘れた場合、一時保存して、後で要旨を追加できます。 次のステップはたぶん一番大事だと思うのですが、投稿ファイルのアップロードです。(本文ファイルを)アップロードしたら、(ファイルの内容の選択肢から)「投稿原本」を指定します。他のファイル、例えば表や画像があれば、それもここでアップロードします(ファイルの内容は「その他」)。 次は、寄稿者をリストアップするステップです。論文の作成を手伝った他の方がいたり、共同研究者がいたりすれば、寄稿者をここで追加できます。提出する著者が主な連絡先になります。今回のデモでは、単著の論文として扱いますので、寄稿者を追加しません。 最後に、もし編集者に伝えたいことがあれば、コメントを入力することができます。例えば、「提供された画像は150dpiですが、後でより高品質のバージョンを提供します」とか。 投稿内容を最終確認して問題がなければ、著作権の条件について同意して、(画面下部の「実行」をクリックして)提出します。 ダッシュボードに戻ると、投稿物の「キュー」にその投稿が表示され、ここで簡単に今どのステータスにあるかを確認できます。今は「投稿済み」ですね。 Open Journal Systemsのデモ:編集者 次は、編集者の作業に入りたいと思います。編集者の画面にはもう少し設定オプションが多くあります。「投稿物」の画面に新しい投稿(=処理中の投稿物)があるという情報が示されていれば、まず担当の編集者を決めないといけません(=編集者の任命)。デモのために編集者のアカウントを設定しています。編集者にメッセージを送ることもできます。 (処理中の投稿物を閲覧すると)「参加者」というところに、どの編集者が担当しているかが表示されます。最初の課題は、ファイルをダウンロードして投稿を確認することです。そして、ジャーナルの最低限の要求を満たすかどうかを確認することです。著者がよく忘れるのは自分の名前をWordファイルの概要タブから消すことなので確認します。他のファイルもちろん確認します。コメントも確認します。 最低限の要求を満たしていると判断すれば、査読に送ります。OJSでは、そういうときのための様々なテンプレートを用意していますので、基本的には何も追加で書かずにそのまま著者に査読を行うという決定を送ることができます。 決定後は査読者の追加(選択)です。自動的に作成されるメッセージを査読者に送ります。全てのリンクがメールに入っています。僕たちの基本的な査読期限は約4週間です(査読期限日を設定)。二重盲検査読、ダブルブラインドピアレビューを実施しています(査読タイプで「匿名の査読者/匿名の著者」を選択)。ですが、査読者と著者がより簡単に交流ができるように査読フォームを使用しています。今回のデモでは一人の査読者だけにしますが、普段は最低二人の査読者にお願いします。 Open Journal Systemsのデモ:査読者 査読者Aには査読のお願いが届きます。論文のタイトル、要旨、査読ファイルにアクセスして、はい・いいえ(受諾・謝絶)を選択する前に、どのような論文であるかを確認することができます。もしよければ、査読を受諾して次のステップに進みます。『RPG学研究』の査読者ガイドライン、そして何についての評価が欲しいかがここに書いてあります。査読フォームでは評価の重要なところが質問になっており、(これを使ってもらうことで)ある程度査読プロセスを簡単にしたいと思っています。このフォームを使わず、例えば、自分でテキストを書いてそれをアップロードすることも、論文のWordファイルに直接コメントを入れてそれを提供することももちろん可能です。 査読の一番重要なステップは総合的な判断・評価(=査読結果)ですね。少し修正したらいいかと思ったら、その通り(「改訂を要求」を選んで)編集者に伝えることになります。 Open Journal Systemsのデモ:再度、編集者〜採択 また編集者画面に戻ります。ここ(査読タブ>ラウンド1タブ>査読者欄の査読者Aの「査読結果を読む」)で査読者の意見が読めますし、査読者の評価もできます。この査読者は早く丁寧に査読したから星を5つ付けましょう、とか。査読者の判断と考えが一致したら、著者に修正版を求めます。ここでもまたシステムが自動的に文面を作成してくれます。査読者のコメントが著者へのメールに自動的に入り、次に査読者へのお礼のメールも送ることができます。 著者にはその決定の情報がメールやシステム内で提供されて、修正が終われば著者はシステムからリビジョン(修正版)ファイルをアップロードできます。 編集者がまたそれを確認して、もう一度査読者にお願いして新しい査読ラウンドを開始し、もし問題がなければ採用して、原稿処理のステージに入ります。このステップは主にシステム外で行いますので省略します。それもできたら完成した原稿原本をアップロードして、次の段階に入るんですけど、主なプロセスはこれでわかると思いますので、ここで終了いたします。 以上です。ご清聴ありがとうございました。 (質疑応答・コメント) 字数制限 北村(司会):どうもありがとうございました。この連続セミナーのテーマであるOA化の意義も言語化していただいて、地域、言語を超えていく、学術分野を超えていくだけではなくて、業界を超えていくことができると改めて実感を伴って感じることができました。 チャットでご質問をいただいています。「『RPG学研究』への論文などの投稿に字数制限はないのでしょうか? 最低何文字、最大何文字などありますでしょうか?」 カム:はい。投稿の種類によって文字数や語数が変わりますが、研究論文・理論論文は和文が12,000字から15,000字、英文が6000ワードぐらいです。他の投稿はそれより短いです。 AI翻訳 北村:続いての質問です。「日本語への翻訳は発展著しいAIを使えないのでしょうか?」 カム:10年前と比べると自動翻訳サイトはだいぶ良くなった気がしますが、やっぱりまだわからないところも多いですし、AIがわからないところを翻訳しないこともあります。HTMLとして提供されている論文はGoogle Translateなどでまずまず読めると思いますが、国際シンポジウムのときに、通訳でやっと論文の内容がわかりましたといった反応がいくつかありました。シンポジウムには素晴らしい通訳者がいますので。AIはまだまだだと思います。まだ人間が必要です。 査読者への評価 北村:次の質問です。「査読者の評価は誰かと共有されるのでしょうか? 査読を断られることが増えているのかと思いますが、査読者への評価は査読者にとって査読を引き受けるモチベーションにつながりそうだと思いました。」 カム:編集者の権限を持つユーザーしか評価が見えません。外部の誰も見られない評価です。僕らはあまり使わないんですけど、この査読者は早く対応してくれるとか、この査読者は何回もリマインドをしないといけないとかの評価として使えるんじゃないかと思います。 たまにゲストエディターにもお願いしますので、そのゲストエディターとして誰に最初に声をかけるといいといったことを見えるようにできると思いますが、今までは実際には評価を使ってないので役に立つかどうかわかりません。 WordからHTMLへ 北村:では次の質問です。「投稿されたWord原稿からHTMLファイルを作成するにはどれくらいのコストがかかっているのでしょうか?」 カム:『RPG学研究』はボランティアで運営しているもので、自分の時間をやりくりしてやっています(ので、省力化しています)。MultiMarkDownとpandoc、そしてZoteroといった文献ソフトのエクスポートの組み合わせで、HTML版やPDF版をワンクリックで作ることができます。全ての原稿はまずMarkDownで準備して、その他のバーションにコンパイルしています。 最初にコーディングとか、ちょっとプログラムの準備が必要ですが、一度設定したらそれから毎回ワンクリックです。 大学図書館とOpen Journal Systems 北村:「大学の図書館でOJSをホスティングすることも可能でしょうか」という質問が出ているんですけれども、これについて先生のご意見はいかがでしょうか? カム:これはやっぱり大学図書館の戦略的な話になると思います。そうする大学もいくつかあると思います。僕はハイデルベルク大学との共同学位プログラムを担当していますので、ハイデルベルク大学の動きも知っています。ハイデルベルク大学では、図書館に自分のジャーナルを立ち上げたいと伝えると、すでに準備されているOJSインストールにそのジャーナル追加できます。でも、中央サーバーでOJSを提供するかどうは、図書館の戦略的なものです。基本的には可能ですけど、OJSインストールを世話する方は必要ですね。 北村:今、北米の図書館でもパブリッシングライブラリアンというようなポストが一般的になってきたりしている事例もあります。それぞれの状況やオープンアクセスに対する戦略が関係してくるんだと思いますが、ハイデルベルク大学の事例を共有していただいて大変勉強になりました。 関連論文発見AI 北村:続いての質問です。「ウェブに掲載される論文などを読み上げてくれる機能があったら、自力で読む負担が減り、研究テーマなどのヒントを得やすくなり、研究が進むといったことはありませんか?」 カム:(読み上げ機能ではないけれども論文調査をサポートする)AIプロジェクトがいくつかあると思います。一つはElicitで、最初は無料でしたけど、有料になりました。ResearchRabbitは、日本語で提供されているかどうかわかりませんが、ソフトウェアがアクセスできるデータベースにあるいろんな論文を読んでまとめてくれます。どの論文がどの論文を引用しているとか、そういうネットワークグラフも提供してくれますので、自分で読む負担を減らせるかもしれません。ただし、AIが信頼できるかどうか、ハルシネーションになっていないかどうかを確認しないといけませんけど。
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### 【報告】大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(1) 2024/5/30 (木)
- Published: 2024-06-17
- Modified: 2024-06-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/06/seminar2024-05-30/
- Categories: セミナー報告
日時:2024年5月30日(木)14:00—15:00
(オンライン開催)
研究者の歩きかたセミナー 共催:紀要編集者ネットワーク;京都大学図書館機構;京都大学学術研究展開センター(KURA);研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 協力:オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR) イベント開催案内 >> 日時:2024年5月30日(木)14:00—15:00【オンライン開催】 大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端 講演:前田 隼(北海道大学附属図書館) 講演スライド 大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端 by 前田隼 is licensed under CC BY 4. 0 講演と質疑応答・コメントの記録 講演と質疑応答・コメントの記録(HTML) 司会:設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)
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### 大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端(質疑応答・コメントつき)
- Published: 2024-06-17
- Modified: 2024-06-17
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/06/maeda/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(1)
〈講演〉前田 隼(北海道大学附属図書館)
研究者の歩きかたセミナー「大学発ジャーナルのDXに向けた連続セミナー(1)」2024/05/30 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2024/06/seminar2024-05-30/ 〈講演〉 大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端 前田 隼 (北海道大学附属図書館) 今日の発表では、1)ダイヤモンドオープンアクセス(OA)に関する論のまとめ、2)ダイヤモンドOAの国際会議、Global Summit on Diamond Open Access 2023の内容紹介、3)北海道大学の機関出版例の紹介、4)私見について話していきたいと思います。 本題に入る前に自己紹介をさせていただきます。オープンアクセスに関連した経験では、論文掲載料、APC(Article Processing Charge)として、北海道大学の博士課程在学中の2014年にWileyに20万円払いました。といっても、研究室の先生が払ってくれたものです。2015年にはSpringerに20万円払わなければならないはずが、invited扱いになりゼロ円で済みました。2015年3月に大学院を修了して、4月に北海道大学附属図書館事務職員となりました。2016年にはWileyに私の給料から自腹で10万円払いました。調べてみたところ、2024年5月の価格は45万円に上がっていました。APCを支払ってきた一方で、数えきれないほど引き受けてきた査読はすべてボランティアです。そんな私のスタンスですが、オープンアクセスの熱狂的推進者というわけではなく、必要な手段が必要な時に必要な人に選択してもらえればよいと思っています。また、研究者の業績評価を考慮しないオープンアクセス推進は効果が薄い、とくにSTEM分野での推進は現状では難しいと考えています。 オープンアクセスの現状 [オープンアクセスの種類]オープンアクセスの種類は三つに分けられています。APC不要でオープンになるダイヤモンド、APCを支払ってオープンにするゴールド、著者最終稿等をリポジトリに登録するグリーンです。 [高騰するAPC]ゴールドオープンアクセスのために支払うAPCは高騰しています。Morrison et al. 2022によると、1論文の平均APCは2011年の904ドルから2021年には1,626ドルに上がっています。 [即時OA]その一方で、研究助成を受ける条件として、世界的に即時OA、出版と同時に論文等をインターネットで公開することが求められるようになっています。日本でも最近、2025年度新規公募開始分の競争的研究費の受給者に、論文とその根拠データの即時OAを義務づける国の方針が発表されました。アメリカではOSTP memo、イギリスではUKRI、ヨーロッパではHorizon Europeが即時OAの方針を打ち出しています。 [OAの潮流?]OAの潮流が来ているようにもみえますが、ゴールドOAには、APCが高いという問題があります。グリーンOAは、論文の出版に合わせて機関リポジトリへも登録する手間がかかります。インパクトファクター(IF)よりも論文数という考え方をする場合は、投稿先の決定に際して、APCが安ければハイブリッドジャーナルでいいとなったりして、オープンアクセスの波が来ているともなかなか言えません。これは主に理系の話です。 [大学発のジャーナル]では、文系はどうなんだろうというのが今日の話で、キーワードとして「大学発のジャーナル」があります。紀要がその代表的なものです。紀要という言葉が付いていないものもたくさんあります。年報などですね。年報でも紀要でもない独自のタイトルを冠しているものもあります。大学などの機関が発行している論文集をここでは紀要と呼びたいと思います。読者と著者に購読料も出版費用もかからない場合は、出版の方式の視点から見ると、その紀要はダイヤモンドOA出版と理解できます。 ダイヤモンドOA——特徴・利点・課題—— [定義]そのダイヤモンドOAの特徴や利点、課題を説明します。ここで定義をしておきます。ダイヤモンドオープンアクセスとは、「著者にも読者にも料金を請求することなく、研究成果をオープンに利用できるコミュニケーションモデルのこと」とします。実はダイヤモンドOAには確固たる定義がないので、ここで皆さんの認識を合わせておきたいなと思います。 [特徴]こちらに、西川2023を引用しています。原典はBosman et al. 2021です。赤線部の一つ目、APC型のゴールドOA誌と比べて、ダイヤモンドOA誌には人文学・社会科学分野のものが多い。二つ目、ダイヤモンドOA誌は英語で書かれているものが相対的に少なく、かつ複数の言語で書かれているものが多い。三つ目、ダイアモンドOA誌の著者は当該ジャーナルの出版国出身が多い傾向にあるが、ダイヤモンドOA誌の主な読者層は自国内に限定されず、国外からも多く読まれる傾向にある。どうでしょうか、これは紀要にあてはまるんじゃないでしょうか。 [ブランディング]では、ダイヤモンドOAとわざわざ言うのはなぜなのか、Simard et al. 2024が書いています。赤線のところですけども、読者にも著者にも費用がかからないモデルは昔から存在していた。ただ、最近になってオープンアクセスを推薦する人たちから、ダイヤモンドOAとして改めてブランディングされるようになった、と。つまり、紀要という一つの変わらないものに対して、最先端のダイヤモンドOAだという理解の仕方が増えて見方が変わった状況にあります。 [単行書への広がり]ダイヤモンドOAは、論文に限らずに、今では人文学・社会科学系では単行書も対象になっています。 [EU]ヨーロッパに目を向けてみると、2023年5月にEU Councilで、著者がお金を払うのはおかしい、非営利の学術コミュニケーションモデルが支持されるべきだと結論づけられています。これを受けて、ヨーロッパでは非営利で学術界主導、つまり商業出版に頼らないOA出版を加速する動きが一部で出てきています。 [特徴と課題]ダイヤモンドOAジャーナルの特徴は、小規模であること、多言語であること、世界中に散在していることです。これを結びつけて大きな力にする必要があるとヨーロッパやアメリカでは言われています。キーワードとして、平等である(equity)、透明性が高い(transparency)、持続可能である(sustainability)、コミュニティ主導である(community-led)などと言われています。 [投稿先の選定]では、投稿先のジャーナルの選定で何が条件として優先されるのか。オープンアクセスなのか、ハイブリッドなのか、クローズなのかといった出版方式で選ばれるのか、それとも業績評価を意識して選ばれるのか、あるいは出版費用を意識して選ばれるのか、何が一番のファクターなのかを考える必要があります。 [インデックス]ダイヤモンドOA誌はScopusやWeb of Scienceに掲載されていない場合が多く、それが発見性の低さとしてよく議論されます。ただ、私は、著者や読者が本当にScopusやWeb of Scienceで読む論文や投稿する雑誌を検索するんだろうかと疑問に思っています。もっと問題になるのは、Citation Index、被引用回数です。インデックスの計算はWeb of Scienceベースでやってくださいなどと求人などに書いてあって、そういうところの方が問題になるんじゃないのかなと思っています。これは主に理系での話です。 [研究者評価]こういったことは他の方も言っていて、3月に西川さんが、研究者評価について、評価方法は研究者の行動を制約すると書いていますが、全くその通りだと思います。IFを高いところを重視するとフルOAを回避したり、引用回数重視するとオープンアクセスの雑誌を選んだり。評価はジャーナルを選ぶ際の上流にあるもので、それが影響を与えているのだろうと思います。 [選択の可能性]暗い話の流れになってしまいましたが、もしScopusもWeb of Scienceも使わず、Citation Indexを計算する必要もなく、かつジャーナルのIFを気にすることがなければどうでしょうか。そうすると、ダイヤモンドOAという出版方式はすごく有効だろうと思います。 [素地]素地が大事だと思います。例えば、高エネルギー物理学という理系の分野があります。この分野では、主にアーカイヴ(arXiv)というプレプリント(preprint)で研究成果を発表していくオープンアクセスの文化が強く根づいています。この分野の人たちに、「なんでこんなに進んでるの?」と理由を聞くと、「別に進んでないよ、もとからこうだったんだ」と言うんです。同じように、文系の方に、「なんで紀要文化なんですか?」と聞くと、「もとからこういうもんだった」ってきっと答えると思うんです。出版形態という切り口で見ると、紀要文化はダイヤモンドオープンアクセスといえますが、もともとそうだったというのは強みだと思います。 [広める]素地のないところにダイヤモンドOAという出版形式をアピールして広めようとしても難しいことが多いと思うんです。でも、素地が整っているところで、ダイヤモンドOAという新しい見方があって、それが紀要の強みなんだと理解してもらえれば、紀要のブランディングとして広まっていく可能性があると思います。 [日本の外]日本の外では、ユネスコ(UNESCO)が推進をしています。ダイヤモンドOAという言葉は使っていないんですけども、オープンなインフラによるコミュニティー主導の出版をエクイティーの名の下、APCを課さない出版をしてくださいと言っています。ユネスコの人たちと話をすると、エクイティーという言葉が本当によく出てきます。インフラはオープンソースを使うのが主流です。また、ヨーロッパを中心に、国レベルのキャパシティーセンターという出版を補助する組織を立てようという動きがあります。世界どこでも共通なのが資金の問題で、タダで出版できませんので、費用をどうしようかといつも議論になるところです。 ダイヤモンドOAの国際会議Global Summit on Diamond Open Access 2023 [国際会議]これは昨年のメキシコで開催されたダイヤモンドオープンアクセスに関する国際会議(Global Summit on Diamond Open Access 2023)の様子です。右上の写真にあるように、スタンディングオベーションで、これから盛り上がっていくぞという熱気が漂う、そんな会議でした。 [背景]会議では、背景にある考えや想いを皆さんが熱く語っていました。日本とも通じるものをピックアップしたいと思います。この壇上の中央の方が話していたことです。彼女の大学では二人の職員で95のジャーナルの出版の補助をしている。それは通常業務の傍らにやっている。かつ、基本的に図書館自体で持っている予算はほぼないので、かつかつでやっている。外部からの資金獲得をしないと機関出版はやっていけない、と言っていました。日本の紀要でも、現物支給や目に見えない労働力を使って機関出版が行われているので、同じ問題を抱えているのかもしれない。問題と言わなくても同じことをしているのではないかなと思います。学部に紀要編集委員会があって、学内業務の一環として教員の方たちがやったりしていると思うので。彼女は、目に見えない労働(invisible labor)をlabor of loveといい、愛があるからやっているんだよ、でも、we have to stop doing this これをやめないといけない、と言っていました。 [資金問題]それから、お金の問題は深刻というか、きちんと考えないと持続性がないものになってしまうので、問題意識が一番高いといってもいいところだと思います。補助金なしであなたのところのジャーナルはどれくらいこれからやっていけるか、その期間を尋ねたアンケートなんですけれども、more than a year、1年以上はやっていけるが45%。残りの55%はless than a year、1年以内にはもうやっていけないと。1か月以内にだめになってしまうところも20%弱あります。ダイヤモンドOAで出版する費用が大きな問題になると、州や国をスイッチしているようです。米国内でも州によって費用が違ったりするそうです。国によってももちろん違いますので、米国でやっていけなくなったら、英国に移って、英国でやっていけなくなったら、インドに移って、労働力の安いところで編集を行う。場所を移して持続させているジャーナルがあるという報告がありました。 [インフラと資金の統合]ということで、インフラと資金がすごく課題になっているんですけれども、統合することで強くなれると議論されています。 [散在の問題]どういうことかというと、ダイヤモンドOA誌は、日本の紀要をイメージいただいてもいいんですけども、数がとても多くて、各機関や研究機関に散らばっています。だから、助成機関(fund)がいくらお金を持っていても、各ダイヤモンドOA誌に援助すると、一つあたりの額が小さくなってしまいます。ですので、ダイヤモンドOAに関するジャーナルの団体を一つにまとめて、資金援助が小さく分散することが避けられる組織を作ることを考えているそうです。同様に、団体や活動、イニシアティブがたくさんあって、スピードや考えもバラバラで、このままでは出版社の動きに付いていけないんじゃないかということも問題として挙げられていました。 [ガバナンス]だから解決策として、それぞれが動くんじゃなくて、統合しようよ、と。 [統合構想]じゃあどうやってその組織を作って運用するのか、その構想として挙げられていたのが、ダイヤモンドジャーナルズ(diamond journals)とダイヤモンドキャパシティーセンター(diamond capacity centers)で役割分担をすることです。ダイヤモンドジャーナルズは、紀要の編集委員会にあたるものです。学術コミュニティ主導になります。ダイヤモンドキャパシティセンターは、タイプセッティング(組版)や著作権管理など編集の補助をするところです。国レベル、ローカルな機関レベルあるいは分野レベルものです。コミュニティとキャパシティセンターが両輪になってダイヤモンドOA誌を発行していけばいいんじゃないかと。リージョナルレベルでは、キャパシティハブがキャパシティセンターの資金や人員をやりくりする。グローバルレベルでは、ダイヤモンドフェデレーションがリージョンの統括をする。そういう組織立てで一つにしようとしています。 [役割分担]これはそれぞれが何をするかを表しています。ダイヤモンドキャパシティセンターがやることは、紀要の編集をするときに図書館が関わっていることかもしれません。 [紀要との相似]これを日本にあてはめてみると、紀要の編集委員会がコミュニティです。図書館が関わって編集などの補助をしている場合は、北海道大学にも一つそういう例がありますが、キャパシティセンターに当たる部分がすでに動いていることになります。そういう場合は、紀要がコミュニティレベル、機関レベルのダイヤモンドOAを実現していると言っても過言ではないと思います。 機関出版による日本でのダイヤモンドオープンアクセスの可能性 [機関出版]日本の話に移っていきたいと思います。機関出版は、大学や研究機関が出版を行うので、信頼性が高いという強みがあります。また、資金の問題と労働力の問題をクリアできれば持続可能性が高い。一方で、機関出版が受け入れられるかは分野によるので、そこを見極める必要があります。逆に言うと、人文社会系に受け入れの素地があるのであれば、機関出版という一歩がうまくいく可能性が高くなります。 [研究者と図書館の協働]研究者と図書館が共同して機関出版することもできるんじゃないでしょうか。研究者がダイヤモンドジャーナルのコミュニティの部分になって、図書館がダイヤモンドキャパシティセンターのような部分になっているイメージです。 [マニュアル化]機関出版する際に図書館が力になるためには、何をやるか明文化をして明確なマニュアルにしておくのが一つの鍵になります。既存の図書館業務とは異なる面があるうえに、職員は異動するので、誰がきてもできるようなマニュアルを作る必要があります。そこをクリアすれば、図書館との協働で機関出版ができると思います。 [JJVRの例]ダイヤモンドオープンアクセスではないんですけども、北海道大学の図書館と共同でやっている機関出版の例を一つ挙げたいと思います。JJVR(Japanese Journal of Veterinary Research)という獣医学の国際誌です。今回獣医学部の方にいろいろ聞いて教えてもらったことをお伝えしたいと思います。収入としては、獣医学研究院から予算を得ています。ダイヤモンドOAではなく、著者からも掲載料をいただいています。支出は、PDFを作る、校正する、J-STAGEに載せるなどにかかる費用です。課題は、掲載料と出版経費をバランスさせるのが難しいのと、学外からの支払いは暦年配分なので年度内の収支均衡コントロールが難しいことであるとおっしゃっていました。注目したいのは、査読者を見つけるのが大変で、査読のインセンティブを検討する必要があるところです。また、ダイヤモンドOAにも通じますけども、可視性、発見性、あるいは有名になりたいという意味でプレゼンスを維持するのが課題ですとおっしゃっていました。図書館の担当業務としては、ここに書いているようなことをやっています。こういうふうに、コミュニティーとダイヤモンドキャパシティーセンターにあたるものが日本では動いている例があると言っても過言ではありません。 [ブランディング]せっかくなので雑誌を魅力あるものにしたいですよね。ダイヤモンドOA出版は、読むのも投稿するのも無料です。紀要はずっとそうだったよと言われるかもしれないんですけれども、それ自体売りになるんだよと改めてここで強調できると思います。そして、認知度が高い方が売りが強くなるだろうと。何をもって高い認知度というか難しいところですけれども、その分野でよく知られている紀要は「ダイヤモンドOAです」とブランディングするチャンスかなと。それから、著者への統計のフィードバックです。文系では被引用回数はあまり気にしないところが多いのかなと思うんですけども、統計のフィードバックが著者にとってのメリットになるなら、それも売りになる。ダイヤモンドオープンアクセスジャーナルのデータベースへの登録もあります。いくつかの条件を満たしたジャーナルが登録されるので、ホワイトリストといいますか、きちんとしたジャーナルのリストとしてそこに載る意味もあるかと。ただ、いくつか満たさないといけない要件があるので、そのためにどれだけコストをかけるかももちろん考えないといけないと思います。 [質とコストのバランス]今日司会をしていただいている設楽さんが2022年におっしゃっていたことですけども、掲載論文の質をどこまで高めるか、著者や読者にどこまでサービスを提供するか、対価の支払われない労働にどの程度まで依存するかによってコストが変わってきます。そこをきちんと考えたうえでやっていくと。そうすることで、ジャーナルの評価や持続可能性が担保されていくので、ここのバランスは重要だろうと私も思います。 [必要性と現実性]ダイヤモンドOAは読むのも投稿するのも無料でいい流れではあるんですけども、立ち止まって考えないといけないのは、コミュニティ主体のダイヤモンドOAが日本で必要なのか、機能するのかです。西川さんが言っていたことでもありますね。日本の研究者コミュニティや図書館コミュニティに機関出版をやっていく暇と元気があるのか、立ち止まって考えないといけないなと私も思います。皆さんはどう考えますか? [理系は困難]それから、理系の分野でダイヤモンドOAをやろうとしても前途多難だと思っています。査読やプレプリントやオープンレビューから流れが変わる可能性はあるんじゃないかとは思いますが、今のところそんな感じはしないなと思っています。 [リポジトリ]ダイヤモンドオープンアクセスによる出版、機関出版、図書館との協働は人文社会系ですごく可能性があると思います。もっと言うと、紀要とリポジトリを合わせるといいんじゃないか。これは私が今回最後に言いたいことなんです。紀要は論文集なので、もちろんリポジトリで出版することができます。即時OAが話題になっていますが、リポジトリにはデータも登録できます。リポジトリを出版プラットフォームと研究データの格納場所として使うことで、機関出版を越えて、データの保存も同時にしちゃえばいいんじゃないかと思っています。そうすると、CiNii Researchなどで紀要、論文、データ、科研のデータが全部紐づいて検索可能になります。人文社会系の人たちはCiNii Researchをよく使いますので、有効な考えのひとつかもしれないなと思います。ただし、データの取り扱いは、おそらく理系よりも人文社会系の方がハードルが高いと思います。人に関するデータなどを不用意に登録できないとか、メタデータをどういうふうに入れるかとか、データを取った人がもういないとか、いろいろ問題があると思います。ハードルがなくはないんですけど、紀要として淡々とやってきたもの+αにすると、さらに独自の進化を遂げられるんじゃないかなと思います。 [最先端へ]欧米ではダイヤモンドオープンアクセスに関して2022年から3、4年ぐらいDIAMASという大きな取り組みが行われているんですが、日本でも紀要を発行しているし、こうやってどうしようかという話をしているわけです。例えば紀要とデータの即時OAが実現できれば、DIAMASの人たちが最先端として出したものより、紀要がさらに先をいっていたとなるかもしれません。日本は強みを活かして、人文社会学系に分野を絞ったうえで、強みを見つけて進化すれば、世界の最先端を走れるんじゃないかなと思います。 [流れを読み舵を取る]最後なんですけど、流れを読んで舵を取ることが大事です。今日は雑駁な話でしたが、たくさんの流れがあることがおわかりいただけたと思いますし、世界の流れやそこから見た日本の紀要という視点もきっとおわかりいただけたと思います。この先、紀要として淡々としていくのか、それともダイヤモンドOAとしてブランディングをして強みをつけていくのか、はたまたデータ保存と組み合わせて世界最先端を行くのか。そんなポテンシャルや選択肢がある中で、どの方向に行きたいのか、どうしたいのか、紀要の今後を考えてみる、そういうきっかけにしていただけたらいいなと思っています。 私の話は以上です。どうもありがとうございました。 〈質疑応答・コメント〉 利用統計の利用 設楽(司会):前田さま、どうもありがとうございました。気が付けば日本の紀要は世界の最先端だったというお話を、ダイヤモンドオープンアクセスの世界での初めてのサミットにも参加された前田さんからお聞かせいただいて、とても勉強になりました。 事前に質問をいただいておりますので、そちらを伺わせていただきたいと思います。一つ目の質問です。紀要の利用統計、利用数を研究者と図書館チームはどのように利用されていますか? 差し支えなければ参考にさせていただきたい、ということです。 前田:紀要の実務を担当したことがなくてほとんどわからないのが正直なところです。ただ、リポジトリを通じて公開しているものは図書館側で統計を見ることができるので、ダウンロード数のランキングを出している機関は多いと思います。設楽さん、補足あればお願いします。 設楽:事前に質問をいただいておりましたので、知り合いの研究者の方2名にお聞きしてみました。たまたまかもしれませんが、利用統計はあまり利用していないというお答えが返ってきました。その理由を聞いてみたところ、お一人は、利用の仕方がよくわからない、利用を促す際にどういう利用の仕方があるのかを図書館から解説いただけるとありがたいということでした。それから、カウンターがある段階でリセットされてしまって合計数がわからなくなってしまった、こういったことが起きないような体制を作ってほしいという要望もありました。また、タイトルがキャッチーならダウンロードされる数が多いと実感しているそうです。もう一方の先生は、Google ScholarやResearchGateでどのように使われているか確認しているということでした。 利用の仕方も図書館の方から教えていただけると研究者としてはありがたいのではないかというのが私からの回答です。 被引用のデータ 設楽:次の質問です。紀要の他の学術誌への被引用についてデータ収集をされていますか、されているならどのように行っていますか、研究者から問い合わせはありますか? 前田:被引用も私が実務に関わっていないところで、周りに聞いてみたという程度なんですが、他の雑誌に引用されているかどうかわからない部分が多いという方がいらっしゃいました。図書館で利用しているかどうかも回答が難しく、みなさんの機関でそういうところがあるのかお尋ねしたいところです。 DOAJへの登録 設楽:最後の事前質問です。発行業務の支援を行う図書館員としては、ダイヤモンドOA誌としての紀要の地位を高めていきたいとの思いがあります。一方で、DOAJの収録などで学術雑誌としての評価を高めようとすると、スコープの明確化や査読の厳格化が求められて、学術的多様性や編集の迅速さといった紀要の利点を損なうことになるのではという危惧も抱いています。この点についてどのようにお考えでしょうか? 前田:やはりバランスだと思います。DOAJに登録するための要件を満たそうとして、今までうまく回っていたものが回らなくなるのであれば、どっちを取るかだと思うんですね。DOAJに載ることがブランディングとして意味があるなら、乗り越えていく必要があると思うんですけども、本当にそういうデータベースやリストに載ることが必要なのかどうかはあると思います。DOAJの要件リストがありますけども、ああいうものをチェックリスト的に使って、自分の紀要はこれを満たせていないからここを良くしていこうとか、そういうふうにして中身を向上させていく、実際にそれを変えていくことが大事かもしれないですね。何か補足あれば、設楽さんの方からお願いします。 設楽:私も前田さんと同じ考えで、紀要をどのように位置づけられるのか編集委員の方の考えを汲み取ったうえで、どこを目指していくかによって、ここは変わってくると思います。 DOAJの収録要件については、現場の意見等を聞いて見直されることもあるようです。日本の紀要の現場からも、こういうところが収録要件として厳しすぎて実情と合ってないという意見があれば、日本からの声としてDOAJに届けることも私たちアンバサダーの役割と考えていますので、ご意見いただければと思います。 キャパシティーセンターとしての図書館 設楽:私からの質問です。私は機関誌の裏方を10年来担当してきました。データベースへの登録やポリシーの策定、著作権に絡む問題といったことを一つ一つ編集委員会で調べながら対応してきました。時間がかかってなかなか大変でしたが、これをいろいろな紀要、機関誌のそれぞれの事務局がやってらっしゃると思うんですね。北米などの大学図書館では、ライブラリー・パブリッシングといった活動の中で、パッケージとしてこういったサービスを提供して出版をサポートしていくことも盛んに行われていると思います。 キャパシティセンターを図書館が担っていけるのではないかという前田さんのご意見を伺うと、図書館がより深く出版の編集の現場に入り込んで図書館出版が始まり、進んでいくのではないかと、一編集者としてすごく期待しています。もしこういった取り組みが進んでいくとしたら、取り組みを始める一歩として、図書館は、例えば学内でどこかと連携するとか、どういったことから始めるのがよいか、前田さんのご意見伺えるとありがたいなと思います。 前田:図書館も実はいろんなことをやっていて、リポジトリ関係の著作権周りのことをよくわかっています。一方で、お金を持っていないので、大学の機関出版の費用はどこが持つのかとなるわけですね。例えば研究推進部だとか、他の部署と連携をする必要があります。あとは、本当に図書館員がやらないといけないのかいうと、そうでもないと私は思っているんです。マニュアル化ができれば、学生さんに図書館にきてもらって作業を担ってもらうこともできると思うんですね。図書館に負荷が大きくかかるわけではないやり方があると思うんです。学生に、図書館で働くというより、学術出版に関わってもらう。お金のところは研究推進、技術周りは図書館の職員、作業周りは学生というふうにすると、ある一つの機関の中ではうまくいくかもしれないと思います。 それから、個々の機関で個々の編集者や編集委員会がやっていることをいかにまとめられるかは、日本全体として考えていくといいのかなと思っています。全国の図書館員の団体を参考にして、大学機関出版に関わる団体を作って、リポジトリ周りや電子ジャーナル周りをまとめて処理する。リモートワークで権利関係の処理は別のチームにやってもらう、これらのチームには複数の大学から人が出てきてくれているというふうに。全国に散らばっていてもバーチャルな組織ができれば、日本という一つの大きなレベルで大学の機関出版になる、そういうキャパシティーセンター的なものが実現できるんじゃないかと思っています。ヨーロッパも仮想的にオンラインで繋がってやろうということなので、たぶんできると思うんです。 研究者の関わり 設楽:私にとっては夢が広がる話で、みなさんにとってもそうであったら嬉しいなと思いながらお聞きしました。 チャットに届いた質問です。リポジトリ登録担当者です。OA化してリポジトリを事実上の出版プラットフォームにしている学内紀要は、本学ではすでに複数タイトル存在しています。スライド45にある即時OAで求められる内容をリポジトリでカバーすることは、今後のリポジトリ担当者が求められる実務と想定しておりますが、研究者をどう巻き込むのかという視点が必要なのかと考えており、そこに課題が大きく横たわっていると考えています。 前田:おっしゃる通りで、即時OAの当事者は誰かというと、図書館ではないんです。それは研究者なので、研究者が即時OAを履行していくのが重要なわけです。私はそれに対してはドライな考え方をしていて、図書館側はあくまでも受け皿になっていればいいと。必要な人がデータをここに入れたいというときに、なるべく時間と手間をかけず登録してもらえる状況を作っておけば、それでいいと思っています。選択される側であるというのを維持していいのかなと思います。 もちろん、大学全体としては、即時OAの履行が今何パーセントだとか、いろいろあるんですよね。順位づけをされてしまうので、事務方としてもなるべく履行しないといけないというのはそうだと思うんですけど。ただ一方で、全ての研究者にここでこんなことができますともなかなか言いづらい。整えておけばいいのかなと思います。 「紀要」という言葉 設楽:質問があと二つあります。紀要がダイヤモンドOAとしてブランディングしていく場合、紀要という言葉は残すことができるでしょうか? ちなみに紀要の命名はどういう経緯でつけられたものでしょうか? 前田:紀要の命名の経緯はわかりませんが、紀要という名前は残したほうがいいんじゃないですかね。Kiyou(紀要)って呼ばれれば、ジャパンだって世界の中で認知されると思うので、紀要という名前、私はぜひ残すほうがいいんじゃないかと思います。 設楽:ローマ字でkiyouと書いて、日本の学術誌について論じている論文も英語でいくつか発表されていると思います。ぜひ残していきたいところですね。 補足:参加者の方より、以下のレファレンスの回答を紹介いただきました。 『紀要』はなぜ紀要というのか。由来(語源)を知りたい。レファレンス協同データベース https://crd. ndl. go. jp/reference/detail? page=ref_view&id=1000321245 研究図書館と大学出版の協業 設楽:最後の質問です。元大学出版部編集者です。ネットを見る限り、米国等では研究図書館と大学出版の間にある種の協業が進むような兆しも見えておりますが、日本の現場の実感を伺えましたら幸いです。 前田:私自身お答えできるのは、北海道大学での感触だけですが、図書館と大学出版会は分かれています。可能性はあると思うんですけれども、協働は進んでいません。他の大学はどうなのか逆に知りたいところです。 設楽:アメリカでは大学出版部と図書館で、例えば絶版本を図書館で公開するというような協働が行われていたりというようなことは読んだんですけれど、日本の現場に関しては今お答えができず申し訳ありません。 補足:参加者の方より、慶應義塾大学図書館の主導による「実証実験」についての情報をお寄せいただきました。 島田貴史. 2011. 「大学図書館の変化とロングテール」『大学出版』pp. 11-15 https://ajup-net. com/wp/wp-content/uploads/2011/07/daigakushuppan_86. pdf
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### 【開催案内】研究者の歩きかたセミナー 「大学発ジャーナルの DX に向けた連続セミナー」
- Published: 2024-04-24
- Modified: 2024-05-10
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/04/seminar20240530_20240725/
- Categories: セミナー情報
第1回「大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端」
日時:2024年5月30日 (木) 14:00-15:00
第2回「Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に」
日時:2024年6月27 日(木) 15:00-16:00
第3回「Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に」
日時:2024年7月25日(木) 15:00-16:00
本連続セミナーでは、ダイヤモンドオープンアクセス(OA)としての大学発ジャーナルの意義を再考し、またその持続可能性や評価の向上にむけ利用可能なオープンソースのツールについて 3 回に分けて学びます。 昨年、内閣府より「統合イノベーション戦略 2023」が示され、日本でも 2025 年度の公募分より公的資金による研究成果はオープンアクセスでの即時公開が求められることになりました。即時 OA 実現の手段として、世界では投稿料も購読料も必要としないダイヤモンドOA 出版が注目されています。紀要をはじめとした日本の大学や研究機関で刊行される多くのジャーナルは、まさにダイヤモンドOA 出版といえるでしょう。インパクトファクターの隆盛のもと近年存在感が薄らいでいた大学発ジャーナルが、疲弊しつつある商業的な学術出版の在り方に変革をもたらす存在として、今、見直されていると言えます。 第 1 回は、ダイヤモンド OA を巡る議論や動向について概観し、日本の大学発ジャーナルの意義を再確認します。 第 2 回目は、オープンソースのジャーナル管理システムであるOpen Journal Systems (OJS)の機能や導入方法、導入時の留意点等について紹介します。 第 3 回目は、OA ジャーナルの世界的なインデックスである Directory of Open Access Journals (DOAJ)の申請要件、審査プロセスについて紹介します。 第1回 「大学発ジャーナルはダイヤモンド! 「紀要」が世界の最先端」 日時:2024年5月30日 (木) 14:00-15:00講師:前田 隼(北海道大学附属図書館)司会:設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)オンライン(Zoom) 第2回 「Open Journal Systems (OJS)の紹介:学術誌『RPG学研究』(JARPS)を例に」 日時:2024年6月27日(木) 15:00-16:00講師:ビョーン=オーレ・カム(京都大学大学院文学研究科)司会:北村由美(京都大学附属図書館研究開発室) オンライン(Zoom) 第3回 「Directory of Open Access Journals (DOAJ) の紹介:意義、申請要件、審査プロセスを中心に」 日時:2024年7月25日(木) 15:00-16:00講師:設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)司会:天野絵里子(京都大学学術研究展開センター)オンライン(Zoom) 講師の紹介 前田 隼(北海道大学附属図書館)北海道大学附属図書館職員(2015. 4~現在)。国立情報学研究所 図書館連携・協力室出向職員(2022. 4-2024. 3)。オープンアクセスを一歩引いて見守る北の図書館員。 ビョーン=オーレ・カム(京都大学文学研究科)ハイデルベルク大学博士。京都大学・ハイデルベルク大学国際連携共同学位文化越境専攻専任講師。メディア利用論、ジェンダー論、社会的包摂と排除、最近は主に非デジタル・ロールプレイとシリアス・ゲーミングに研究関心がある。 設樂成実(京都大学東南アジア地域研究研究所)京都大学東南アジア地域研究研究所編集室室長。DOAJアンバサダー。研究所の刊行する学術雑誌のマネージングエディターを担当する中で、非英語圏からの学術情報発信の在り方を考えている。 イベントの申し込みフォーム:https://forms. gle/wvC1nXxwaCUhyECY6 対象者:学内・学外問わずどなたでも(研究者、大学院生、職員、図書館リサーチアドミニストレータ―など) 共催:紀要編集者ネットワーク;京都大学図書館機構;京都大学学術研究展開センター(KURA);研究イノベーション学会大学経営研究懇談会 協力:オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)
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### 【開催案内】「大学が学術出版をする意義と方向性(4)」新オープンアクセス方針に対応する出版オプションとしてのJIG 2024/3/13(水)18:00-19:00(オンライン)
- Published: 2024-02-28
- Modified: 2024-02-28
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/20230927-3/
- Categories: セミナー情報
「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」
日時:2023年09月27日 18:30-19:30
研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」では定期的に大学が出版機能を担う意義について考える研究会を開催しております。 第4回は、日本語にも対応した 世界初のオープンリサーチ出版である「Japan Institutional Gateway (JIG)」を題材に健全な学術コミュニケーションの発展のための出版のあり方や大学の貢献について考えてまいります。 1.開催日時 2024/3/13(水)18:00-19:00(オンライン) 2.講演者 森本 行人氏(筑波大学URA研究戦略推進室 副室長) 「新オープンアクセス方針に対応する出版オプションとしてのJIG~Japan Institutional Gateway (JIG))の事例紹介~」 山之城 チルドレス 智子 氏(Taylor & Francis Group Business Development Manager) 「新OA方針に対応している点、Affiliate機関になるメリット」 設楽成実 (京都大学東南アジア地域研究研究所 助教) 「紀要編集者ネットワークDOAJ収録申請支援の紹介」 3. 参加申込 次の入力フォームに必要事項をご入力ください。(参加費:無料) 研究・イノベーション学会員以外の方もご参加いただけます。 https://ws. formzu. net/fgen/S389718204/ 件名”【参加申込受理・Zoom】3/13「大学が学術出版をする意義と方向性(4)”というメールにて参加に必要なZoom情報と諸注意をお送りいたします。24時間以内に案内がない場合はお手数ですが「問い合わせ先」に記載しておりますフォームにてその旨、ご連絡ください。 4.問い合わせ先 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 幹事 原田隆 https://www. jsrpim-daigakukeiei. jp/contact-6 5. 主催・共催 主催:研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 共催:紀要編集者ネットワーク 6.謝 辞 本研究会は次の支援を受けております。 科研費基盤研究(C)23K02501 研究代表者:白川展之 「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす人文社会科学研究への逆機能性に関する研究」
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### 【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(3) 2023/9/27 (水)
- Published: 2024-02-14
- Modified: 2024-02-16
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/seminar2023-09-27/
- Categories: セミナー報告
日時:2023年9月27日(水)18:30—19:30
(オンライン開催)
研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会 共催:紀要編集者ネットワーク イベント開催案内 >> 日時:2023年9月27日(水)18:30—19:30【オンライン開催】 プログラム 司会・趣旨説明:原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 講演 難波美帆(グロービス経営大学院/株式会社グロービス ファカルティー本部) 講演資料 、講演と質疑応答・コメントの記録 、講演と質疑応答・コメントの記録(HTML)公開中 質疑応答
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### 大学が学術出版をする意義と方向性(3)(質疑応答・コメントつき)
- Published: 2024-02-14
- Modified: 2024-02-14
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/namba/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会
〈講演〉難波美帆(グロービス経営大学院/株式会社グロービス ファカルティー本部)
オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」2023/09/27 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2024/02/seminar2023-09-27/ 〈講演〉 難波美帆 (グロービス経営大学院・准教授/株式会社グロービス ファカルティー本部・主任研究員) 本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私どもは今年度の4月にグロービス経営大学院として第1号の紀要を発行しました。どういう経緯で紀要を作ることになったか、どういう紀要を作ったのかについてお話しさせていただこうと思っています。 自己紹介をさせていただきますと、私は2016年にグロービス経営大学院に着任しました。単科の大学院ですので経営学専攻だけですけれども、ファカルティグループは6つに分かれています。私は一昨年まではアントレプレナーの育成に照準を当てている創造系ファカルティというグループに所属し、現在はテクノベート——堀学長が作った造語でテクノロジーを使ったイノベーションを起こしていくビジネス——に照準を当てている科目群のファカルティグループの教育コンテンツ担当のリーダーを務めています。起業したい人たちに向けた教育プログラムと、テクノロジーを使った先端のビジネスについていきたい学生さんたちに向けた科目群を担当しています。コミュニケーション領域やビジネスの創造、0のところから1をどうやって作るのかといったことを教えています。 前職、前々職と、この18年はずっと大学で働いていますが、その前は出版業界で仕事をしていました。社会人の振り出しが講談社で、そこで編集の技術を勉強して、その後はフリーランスの編集記者として仕事をしていました。科学技術コミュニケーション分野の教育プログラムが高等教育機関にできた時に科学技術や医療分野での編集者、記者をしていたので、プロジェクトを立ち上げる要員として2005年に大学に入ったのが大学で働くようになったきっかけです。グロービス経営大学院で紀要を立ち上げるに際して、紀要がある大学で働いていた経験者がグロービスにほとんどいないので、北海道大学と出版社での勤務経験があるということで、紀要の編集の事務局メンバーの一人としてその仕事に関わりました。 グロービス経営大学院は母体が株式会社で、社員教員は株式会社で雇用されて、大学院に専任教員として出向しています。それ以外にも、実務家教員と言いまして、会社を経営されている方、コンサルタント会社にお勤めの方、ビジネスの即戦力として働いている方がたくさん教員として働いています。社会人でないと入れない大学院です。ケースメソッドという教育手法を使っており、インタラクティブレクチャーといって、受講生同士に議論させる、もしくは教員と受講者の間で議論する時間がほとんどです。もともとオンライン授業はありましたが、コロナになって外出規制があった時に、すべての授業を三日でオンライン化しました。それ以来、オンラインであっても、リアルクラスであっても、ほとんど質の変わらない授業をすることを目標にやってきています。オンライン授業だと学生さん同士でお話する時間が取れないので、チャットで勝手におしゃべりするのを奨励しています。みなさんもミーティングチャットで自由にご発言をしていただけたらと思っています。 私は現在グロービス経営大学院の専任教員ですが、株式会社グロービスのファカルティ本部の研究員としても仕事をしています。大学院の授業を年間50コマと企業研修を年間50コマぐらい、1コマ3時間なので普通の大学でいうとだいたい1年間に200コマ分の授業を担当しています。教員、講師としての負荷が大きいのですが、株式会社の社員として学校の運営の仕事も担当しています。その一環として、今回お話しする紀要の仕事がありました。今日は、紀要の創刊の背景と目的、出版の体制、効果と課題をお話させていただきます。 学校法人グロービス経営大学院とは グロービス経営大学院は出自が変わっておりまして、株式会社立で2006年4月に特区制度を使ってできた大学院です。2008年4月から学校法人になり、文科省管轄の学校法人グロービス経営大学院として運営されています。現在、3種類のコースがあり、パートタイムのオンラインとリアルクラスのMBAプログラム、フルタイムの英語のMBAプログラム、パートタイムのオンラインの英語のMBAプログラムがあります。パートタイムは夜と土日だけ開講、フルタイムのプログラムは全日制で日中に学生さんが登校することになっています。フルタイムMBAプログラムは日本に留学してきている学生さんたち、パートタイム・オンラインのMBAプログラムは世界中から参加している人たちがいます。1学年は1100名弱いて、英語話者が100名です。1学年の学生数は、単科の大学院では日本で一番、たぶんアジアでも一番大きいん大学院大学じゃないかなと思います。世界レベルでいっても単科で1学年を1000人以上取っている学校は非常に少ないんじゃないかなと思います。 現在日本国内には、東京、大阪、名古屋、福岡、サテライトとして仙台と横浜、水戸にキャンパスを持っています。コロナ以降オンライン授業が充実しましたので、4割がオンライン、6割がリアルクラスを選択して入っていますが、実質的には学校に通ってくる方が4割ぐらいで、残りはオンラインで授業を受けている感覚です。コロナ前は東京キャンパスの校舎が上から下までびっしり学生で埋まっていたんですけれども、いまはオンラインの授業が非常に増えて平日の授業ですと閉じている教室もあります。大企業にお勤めの方だとリモートワークがかなり進んでいるので、自宅で仕事をして、その後自宅でそのまま授業を受けています。男性の方でもいまは家事への参加率が高いので赤ちゃんを抱いていらっしゃったり、授業を受けている最中にお子さんが入ってきたりします。基本は画面をオンにして内職はできないことになっていて、みなさんそれで授業に参加しています。今までよりもいろんな立場の方が授業を受けやすくなっていると思います。1クラス35人定員なんですが、クラスに一人二人、多い時で3名ぐらい医療従事者の方がいらっしゃいます。当直の部屋から病院の服装で授業を受けられている方もいます。産休育休中に受講される女性の方も増えていて、学期途中に授業を休みますと連絡があって、授業中に産まれましたと連絡が入ったりします。みなさん子育てをしながら、自分のキャリアを続けながら、学んでいく、そういう時代の変化を感じる学校になっています。 グロービスには知見録という既存オウンドメディアがあります 私どもは紀要を発行する前から、知見録というオウンドメディアを持っていて、かなりのPVがあります。テキストだけではなく、動画コンテンツが充実しています。グループ会社として茨城のラジオ放送局もあります。いろんなメディアを持っているので、これまで紀要を使って情報発信する要請が会社の中にも大学院の中にもなかったんです。何かあったら多くの読者を獲得している知見録で出せばいいので、別のメディアを作ろうという意志が大学院の中にも株式会社の中にも働かない状況でした。 では、そんな私たちがなぜ紀要を発行することになったのか、どんな理由が考えられるでしょうか? 司会者:これまで届かなかった層へのアウトリーチ。 これまで届かなかった層。それが大事ですね。他にありますか? 想像もつかない。そうかもしれないですね。 それに加えて、なぜ紀要を発行するにいたったか... 背景には、文部科学省から、研究をやっているところを見せてくださいと言われ続けていることがあります。研究をやっているところを見せるとはどういうことなのか、学内でいろんな議論がありました。その一つとして、わかりやすい形でアカデミアのみなさんに我々がどんな教育研究活動をしているのかを知ってほしいということになりました。大学院の側が堀学長に対して、紀要という文献を作って研究活動を発信していきたいと伝えました。ほとんどの教員は実務家でビジネスをやっているんですけれども——他の機関に属して研究をしている教員も少数いますが——、教育面ではよく研究をしているんですね。どうしたらオンラインの授業でリアルクラスに遜色ない授業ができるようになるかとか、受講生が授業を受けた後に学びが定着するのはどういうことなのかとか。それを会社の中だけで秘匿しておくのではなく、みなさんにも知っていただきたいということで紀要を作ることになりました。 紀要発行の目的 新しい事業をする時には学内の会議を通さなければいけないので、紀要発行の目的を学内で説明しました。基本は、グロービス経営大学院の経営及び教育に関する知見をアカデミアに共有していくことです。紀要の内容は知見録に転用するなどして有効活用していくとしました。アカデミアの方たちだけに向けて発信するのではなくて、紀要のためにやったことをもっとわかりやすい表現などに直して、知見録にも記載するなどして有効活用していきましょうということです。 取り扱うテーマとしては、まずテクノベート。テクノロジーを使ったイノベーションに関するグロービスの研究所の調査であるとか、テクノロジーによって変化する組織。人工知能や生成系AIが活発ですけども、グロービスのGAiMERiという研究所が囲碁コンピューターを作ったりと人工知能についての研究を以前からやっているので、この研究所の成果や◯◯テックといわれるビジネス界におけるテクノロジーの最新動向。 それから大学院の教育の定量的な評価。グロービスで学んだ学生がどういう成果を出しているか定量的に評価しているんですね。卒業後の昇進や給与がどのぐらい上がっているか、授業の満足度はどうかを定量的に評価して公開しているので、紀要の中でも出していきましょうと。 そして、実務系の大学院なので修士論文は必修じゃないんですけれども、研究プロジェクトのクラスがあって半年間研究活動を行う学生がいるので、その発表の場として紀要を活用していきましょうということで作りました。 以上が、背景と目的になります。 ご質問ありがとうございます。紀要はグロービス大学院のサイトでは公開していません。J-STAGEから読めるようになっています。J-STAGEで検索していただくと読めます。一般の企業にお勤めで、研究経験のない方は、学術的な論文や記事に関しての検索方法を知りません。グロービス大学院の中の教員でも紀要という言葉を知らない人がほとんどでした。そういった方々は検索のしようがないので、紀要の読者として研究経験がある方、もしくは研究成果を検索したい方を想定しています。だから、学術的な知見の公開、学術的な知見への貢献を目指しています。どのくらい貢献できるかはまだまだ発行したばかりなので、今後の課題と考えています。 一般的に紀要とは... 2012年に「大学紀要というメディア限りなく、透明に近いグレイ?」(竹内比呂也『情報の科学と技術』62巻2号pp. 72-77)という文献が出ています。そこに引用されている光斎重治編著『逐次刊行物』日本図書館協会(2000)によれば、紀要の出版上の特徴が9つほど挙げられます。はっきりした紀要の定義はなくて、いくつかの特徴があると考えていただけるといいのかなと思います。 1番、大学又は学術機関の特定の人だけを対象にしている。読者を限定しているということでしょう。 2番、評価基準(レフェリー)によらず、任意に収録される。これは学術ジャーナルとの違いですね。ピアレビューがないということだと思うんです。かといって——紀要を作ってみてわかったことですが——質を担保していないもの、例えば、個人の日記や手紙みたいなものをそのまま載せることはあり得ないですよね。質やレベルが一定でないのは確かだと思うんですけれども、低いってことではないんじゃないかなと思います。 3番、流通経路が一般的でない。「大学や研究機関と日常的なコンタクトが乏しい公共図書館」とありますが、これが書かれた2000年から23年も経っているので、関係者の方がいらっしゃったら現状を教えていただきたいなと思っています。 4番、刊行部数が少ない。これももう時代は変わりましたよね。ウェブで公開されるので、紙で何部出しているかはほとんど無意味かなと思っています。 5番、発行頻度が少ない。これは、オンラインになって随時出しているところもあると思います。元々、学術ジャーナルもそんなに頻繁に出しているところばかりでもない。日本の学会のジャーナルであれば、年に一回出てれば多い方かなぐらいと思います。 6番、片手間に行われていることが多い。これも紀要に限らないんじゃないかなと思います。営利目的でないので、多くの学術ジャーナルはみなさんのボランタリーな仕事で成り立っているかと思います。 7番、休刊や廃刊が突然起こる。これは我々もまだ経験してないのでよく分かりません。そうかもしれないですね。 8番、書誌記述が曖昧。これもそうかもしれませんが、学術ジャーナルもボランタリーに作っているところが多い、つまり基本的には善意でチェックしているので、書誌の記述情報が学術ジャーナルだからといってきちんとしているとも限らないかなと、いろんなジャーナルを拝見させていただいていて思うことです。 9番、紀要に収録された文献を検索する手段が限られる。私たちの紀要はJ-STAGEに登録しているので、他の文献と同じように検索できます。ここも昨今のデジタル化の推進によって変わっているかなと思います。 紀要の特徴が、2000年から23年経って、問題とかグレーとかいうことではなくて、他のジャーナルと近くなった部分もありますし、特徴が際立った部分もあるのかなと思います。 大学紀要 紀要がいつ作られたのか今回調べて知ったんですが、大森貝塚についての論文1本を掲載したものが初めての紀要です(1879年、東京大学理学部Memoirs of the Science Department, Tokio Daigaku)。1919年に大学令が変わって私学がたくさんできて、大戦後にもたくさんできて、大学の数が増えるだけ紀要が増えてきたのかなと思います。 古い文献しか調べていなくて(1993年に約6500誌)、現在何誌あるのか調べていないんですけども、大学紀要がたくさんあることだけは確かかなと。最初の大学紀要が理学部の刊行だったのと同じで、今でも◯◯大学紀要だけじゃなくて、◯◯学部の紀要という形で分かれているものもたくさんあるかなと思います。ここまで一般的なお話でした。 紀要の体制 グロービス経営大学院の紀要をどんな体制で作っているかというと、編集委員会と事務局、研究倫理委員会ですね。ここは胸を張るところですが、研究倫理委員会を紀要の発行に合わせてきちんと整備して、倫理要綱も作りました。先日、ある大学のある研究科が作っているジャーナルに投稿したいんだけれども、倫理規定はどうなっているんですか、と他大学の学生さんから聞かれて、そのジャーナルを発行している事務局に問い合わせをしました。戦前からある大きな大学ですが、学部によっては研究倫理委員会が設置されてないところもまだたくさんあるので、研究倫理審査を通してなくても論文は掲載できるとのことでした。もし掲載できないとしてしまうと、研究倫理委員会などがある大学に勤めている人以外は倫理審査を受けることができなくて、投稿者を狭めてしまうので、それを求めないんだともおっしゃっていました。 グロービス紀要は主な投稿者として研究者教員や大学院生と卒業生を想定しています。グロービス経営大学院の中には、研究者教員と呼ばれる職務として研究をアサインされている教員とされていない教員がいます。もちろんされていない教員が研究をしてもいいんですけれども、研究成果を上げても仕事をしたことにはなりません。研究者教員として認められている教員は、裁量労働制なので研究の時間と研究じゃない時間を分けることはできないんですけれども、研究成果を上げた場合には、仕事の成果として認める立場です。 1号、2号までの今のところは、外部の方からの投稿を募っていません。3号、4号となって、編集出版体制が整いましたら、外部の方にも投稿していただけるように投稿規定などを整えようと対処しているところです。 掲載にあたっての留意点 掲載にあたっての注意点を作っています。オウンドメディアの知見録では、読んで面白ければ、商業的に読む価値があれば、新しい発見でなく二次情報をまとめても記事になるんですね。◯◯大学の◯◯先生が/コトラーが何と言っていたで記事になるし、それを動画でしゃべってみんなで相槌を打っているだけでもよかったんです。でも、紀要に関しては、何らかの新しい知見があることが必要です。理系ではないので実験をすることはあんまりないのですが——心理学の実験をしている方はいらっしゃるんですけども——、アンケートやインタビューといった一次情報とか、先行研究から導き出した新たな課題などがちゃんと出ていることが必要という要件を設けています。掲載できるものと、提出してもらっても掲載できないものを分かりやすい例できちんと学内に示すようにしています。 掲載基準 投稿者が投稿しやすいように、5つの基準を3段階で設定しています。投稿に論文、ノート、ケース、調査、手法というカテゴリーを設けていて、カテゴリーごとにそれぞれの基準で求められる水準を3段階で示しています。論文は査読を付けているので、論文として投稿したいものはすべてに関して高い水準を満たしてなければ載せませんよと告知しています。 論文について(参考) 学生の投稿者は研究経験がある人ばかりではないので、論文とはどんなものかというのも説明しないと投稿ができません。ハーバードビジネスレビューは多くの人が読んでいるのですが、そういうビジネスパーソンを想定したものではなくて、読者として研究者を想定した論文の基本的な枠組みを参考として学生のみなさんに告知しています。必修ではなく選択なんですけれども、卒業前の半年間で授業として研究プロジェクトを取った学生さんには、指導を受けて紀要に投稿できるような研究ができますよと言っています。 研究倫理規定の改訂および研究倫理委員会の設置 グロービス経営大学院では、2030年までに研究者教員を増やそうとしています。経営大学院は基本的に博士号を出さないので、先生方もMBA、経営学修士号を持つ方がほとんどなんです。ところが文部科学省から博士号を取得した研究者を30人まで増やしなさいと言われているので、積極的に採用中です。その人たちが研究をしやすい環境を作りましょうということで研究倫理委員会を設置しました。これまでにも研究倫理規定はありましたが、文部科学省から求められているガイドラインをちゃんと作りましょうということで、そこに対応しています。それに加えて倫理教育をします。我々が倫理教育を新しく作ったわけではなく、他の大学でもよく使われているものを活用させていただいています。 いろいろご質問ありがとうございます。 社会貢献。社会貢献じゃないですね。紀要の読者は限られるので、アカデミアに対しての貢献かなと思います。でも、紀要を出すことで、今までは外に出なかったグロービス経営大学院の中の研究や教育の知見が検索すればフリーアクセスで読めるようになったので、情報を欲している方には貢献できると思います。 発表者、研究者にとって、他に効果、メリット。これは既存の紀要と全く同じだと思います。例えば書いたら金一封ということはありません。 期待することは、他の紀要とまったく同じで、互助の精神ですね。自分たちも情報を出す代わりに、私たちも社会で発行されている情報を使わせていただく、そういうことなんじゃないかなと思います。 実際にどんな倫理審査がなされているのか。今のところはガイドラインを示して、例えばアンケート調査をする時には同意書を取りなさい、インタビュー調査の同意書や取材の依頼書は、学校で用意したテンプレートを使って、自分たち用に書き直したものを教員がチェックして研究をする、人に対しての研究を行う時にはこういうことしましょうというようなことを、学生さんに対して指導をしています。経営学上の機密に関しては、もともと会社としてのコンプライアンスがありますので、以前から顧客のデータは一切載せないとしています。今日も弁護士の方を呼んで、著作権の問題や生成AIについての勉強会が社内でありました。生成AI使うとデータを学習用に吸い取られてしまうので、顧客のデータや個人情報を一切載せちゃいけないことになっています。そういったことについて学内や社内で勉強会を開いて、関連の部門の人は必ず出席をすることになっていますし、関心がある方はいつでもアクセスできるようになっています。 株式会社グロービスの社員としては地味な仕事ですが 私は株式会社グロービスからお給料をもらっており、経営大学院に出向をしている形です。出向している部分でのお給料もありますが、職務の半分は株式会社クロービスの仕事なんです。株式会社グロービスは企業研修や大学院ではないビジネススクールを運営していて、企業体全体で見ると、大学院は非営利なので儲けるための商売ではないんですね。株式会社グロービスはさまざまな経営学の知見を活用したビジネスを展開していますが、そこに紀要は貢献しないんです。もちろん、グロービスのレピュテーションが上がるとか、アカデミアの一員として他の大学の方たちに仲良くしてもらえるとかということがあれば、遠回りでプラスになるかと思うんですけれども、目立った形でお金が儲かるとか、わかりやすいリターンあるわけではないのですごく地味な仕事なんです。でも、これを発行することで、教育と研究の両輪を回さなければいけないという意識が、もともとそういう意識があった大学院の方だけでなく、グロービスの半分を支えている株式会社の人たちの中でもすごく高まりました。 大学院やビジネススクールでの教材はハーバードビジネスレビューやケースを使うんですが、先生方は海外の大学でMBAを取得していらっしゃる方が多くいらっしゃるので、ケースはほとんど海外のものです。そういったものを常に最新のものにしていく意味での研究はしているんですけれども、論文を書く、一次情報を作るための研究はこれまでみなさんあまり熱心でなかったのですが、そこに対しての意識がすごく高まりました。 そして、私たちが教えている経営については、自分たちで研究するよりも、むしろ国外の最新の知見を持ってくることの方に熱心でしたが、教育以外にも経営や経営以外のジャンルの研究に対する許容度が高まりました。それをやっていてもあまり注目されなかったけれども、今はそういう研究をしているとその話を聞かせてほしいと学内で勉強会が開かれたりするようになってきています。 それから学生たちにすごく良い影響があったなと思います。学生さんたちは実務家としてのスキルを磨いて、経営者として働けるようになりたいとか、大きな会社の中でリーダーになっていきたいという方たちがほとんどです。45歳以上の学生さんたちも、ものすごく増えていて、管理職になってから来る方や、経営者の方や、50歳ぐらいまでに起業をしたいという方がたくさんいて、そういう方たちの中にもただ経営の最新の知見を身につけるだけじゃなくて、せっかく大学院に来たんだから研究をしてみたいという人が増えました。研究プロジェクトの授業はゼミのようなもので、受け入れられる数が少なく、研究計画書の提出と審査があり、一部の人しか受講できないのですけれども、それでも多くの学生がチャレンジしてくれるようになりました。 そして、研究の意義について教員みんなが考えるようになりました。年に一回プレジデントアワードという社長賞がでます。いろいろな分野があるんですが、地味な縁の下の力持ち的な仕事部門で、我々の紀要が社員の投票で今年の1位をとってプレジデントアワードをいただきました。こういうことが会社の中で評価されたことが、私はすごくうれしかったです。評価ができる会社である、評価してくれる社員のみなさんが同僚として働いていることが、もう本当にうれしくて。編集とそれに関わってくれたすべての方たちで慰労会をしました。 発行からのアクセス数 発行からのアクセス数の4月から8月までのデータをみると、発行した4月が一番多くなっています。見る人がいるのかなと思っていましたが、論文が6本でこれだけのアクセス数がありました(4~8月に全文PDFへのアクセスが3433件)。グロービスのホームページにすら情報を出してないのに、これだけ多くの方が見てくださっているのは非常に大きな効果だと感じます。 課題 前回は4月に出しましたが、今年からは10月発行に変えていくことになって、今まさに投稿論文12本の編集作業をしております。投稿規定も全部揃えたいし、カテゴライズも決めきれていないところがあって、編集していくうえでまだまだいろんな課題があって、試行錯誤の中で作っているところです。編集がまだ決まりきったルーチンになっていないところが課題だと思っています。 あとはみなさんと一般的な紀要の抱えている課題を議論させていただきたいなというところで、いったん私の発表は終わりにしたいなと思います。 〈質疑応答・コメント〉 自組織の紀要への投稿を増やすには 司会者:新しく生まれる紀要もある一方で、最近多いのは休刊や刊行ペースが非常に遅れることです。理由は二つあって、一つお金の問題、もう一つは論文が集まらない問題です。 グロービスの紀要では、論文の投稿は教員の自由意思によるものなのか、それとも積極的な要請をしたり、業績評価のような形でインセンティブやモチベーションを上げたりしているのか、実態をお答えできる範囲で教えていけないでしょうか。 難波:研究者教員に関しては、義務ではないんですけども、投稿することが職務として評価されるので、仕事の一部としてやってくださいとお伝えしています。全員が毎年出す必要はなく、何年かに1本はここにも書いてくださいとお願いをしています。 でも、4月に刊行して10月にもう12本も集まっているのは、研究者教員ではなくて、それ以外の教員の方の論文や、研究プロジェクトをやった学生さんたちの修士論文に該当するようなものがあるからです。一般的に修論を書いても世に出ないじゃないですか。そういったものを積極的に載せていこう、学生さんの研究成果の発表の場にしていこうと位置づけているので、本数が集まります。 原稿が集まらないなら、受け皿としてみんなが投稿しやすいものに紀要を作り替えていく必要があるのではないかなと。私たちは、原稿が集まらないことを一番恐れていたので、必ず集まる方法を考えて紀要を作りました。 司会者:外部雑誌への投稿が推奨される大学もありますが、グロービスの組織としてのミッションからすると、外部の査読誌ジャーナルよりも、むしろ組織のポリシーに沿った紀要への投稿を重視するのは理解できます。 難波:国立大学の先生方は、大学法人から給料をもらっているにもかかわらず、大学からの評価を気にしない、そこが連動しないということだと思うんですよね。だから、所属大学というコミュニティの中での自分のレピュテーションや共同体への貢献にみなさんの関心が薄いってことなんじゃないかと思うんです。 グロービスはプライベートカンパニーなので、自分たちの所属する組織への貢献が自分たちにとってカンファタブルであるのが——私立大学でも同じなのかもしれませんが——、国立大学とは違うところかなと思います。 司会者:国立大学の教員は組織への帰属意識が低いのはそのとおりだと思います。一方で、評価は、若手はとくに、教授レベルでも気にしています。紀要や日本語論文だと1本にカウントされないというウエートがつけられています。むしろ組織的に積極的に評価をやりすぎていると感じています。 難波:外部のジャーナルでの評価の方がうれしいってことなんですね。 司会者:紀要に投稿するくらいなら、外部ジャーナルに投稿しなさいという勢いです。 難波:そういうふうに位置づけているんだからしょうがないんじゃないかな。 司会者:評価が投稿先を誘導しているところはあると思います。 論文を書けるようになるには 質問者:論文を書くうえで... ... 。 難波:紀要の発行とは直接関係ないのですが、グロービス経営大学院の教員でも論文を書いたことがない人は書けないです。日本の大学だと論文を書く教育は大学院の指導教員が主には行っていると思うので、研究することを目的にしている大学の大学院に入って教えてもらうといいのかなと思うんですが、論文を書けるようにすると標榜していない先生もいらっしゃって質の保証がないと思うんです。だから、卒業生や在校生によく聞いて、この先生は論文書く指導をしてくれるよっていうところに行くしかないかなと思います。 司会者:大学院でコースワークが導入されたのもつい最近ですもんね。 難波:やっている大学もあると思います。でも全員にそれが行き渡っているかっていうとそうでもないのかなと思います。 紀要の編集と書籍の編集に違いは 司会者:プロの編集者は入っている雑誌もありますが... ... 。 難波:編集は全部内製しています。外部に頼もうかなと思って三つの会社に相談して、見積もりを取ったりしたんですけども、結構なお金かかるんですよね。それで、自分たちでやりましょうということになりました。編集部の中に一人、つい最近国立大学の修士を取った方がいて、所属していた研究室では論文の指導をしっかりしてくれたようで、論文の添削をその人が事務局としてやってくれます。グロービスは教材もすべて社内で作っているので、職員の中に教材の校閲や校正ができる人たち、整形といって形をきれいに整えたりするのができる人たちがいて、株式会社グロービスの職務としてやってくれるので、外部に頼みませんでした。 司会者:難波さんは前職で普通の出版社の編集を担当された経験があるのでお聞きしたいんですけども、書籍の編集と論文集である紀要の編集は、同じですか違いますか。 難波:全く同じだと思います。読者にとって読みやすいかを考えるので、誰が読者かによる違いはありますが。書籍の編集はプロに頼むんですけれども、紀要ももしお金があれば、校正はプロの編集者に、整形も外部の編集出版社に出した方が綺麗にできるんじゃないかなと思うので、それは全く商業出版と変わらないと思います。 倫理審査 質問者:倫理審査が行われているのですか。 難波:倫理審査に関しては倫理規定があって、その規定に沿って、学術振興会の研究倫理に関するセミナーに事務局の担当者が出席して勉強してきたり、研究倫理Eラーニングコースを教員と研究をする受講生には必ず見るように義務付けたりしています。 ビジネススクールならではの紀要 質問者:紀要の範疇で、企画は... ... 。 難波:2号がもうすぐ出ると、合計で20本近くの論文が出ます。タイトルを見ていただければ、これはビジネススクールならではと思っていただけると思います。2号では私の担当した学生さんが4本の論文を出しています。私が学生さんに指導しているのは、ビジネスは困っている人にソリューションを提供することで成り立つ、だからソリューションを研究するように、ソリューションのアイデアまで持っていけるような研究をするようにということです。学術研究を調べてみると、ソリューションの提案までをしている研究ってすごく少ないんですよね、それが目的ではないので。1本目の紀要にそのことを書いた研究ノートがあります。そこがビジネススクールならではで、こういうことが分かったとか、こういう論が立てられたではビジネスにならないので、そこからどういう困っている人にどういうソリューションが提案できるのかを考えてね、できるだけ頑張ってと学生さんにお伝えしています。 日本の紀要と出版の問題 質問者:ISBNをちゃんと取って作るというような概念が出版経験者ではない大学の人にはないと思うんです。例えばHarvard Business Reviewだってインパクトファクターが付いているわけですし、Administrative Science Quarterlyも元々紀要です。アカデミックな出版市場として日本を見れば、裾野がすごく広くて、他国に比べて立派なところもある中で、研究者の人たちは二重に倒錯した投稿行動を求められているわけじゃないですか。これをどうしたらいいのか、講談社で編集者をされていた立場からお伺いしたいなと思いました。 難波:私たちはこれまで、いわゆる学術的な研究の情報発信をしてこなかったので、逆風が我々に吹いているのは分かっています。でも、私たちにしかできないこと、私たちなりの研究分野への貢献であるとか、狭い研究村、狭いピアレビューの世界の中だけの評価ではなく、今まで研究にアクセスできなかった人や研究にアクセスすることを思いつかなかったような人でも、その知を求めている人たちに届くような、そして使い勝手のいいような研究を発信していけたらいいなと思っています。我々はグロービス経営大学院というコミュニティから、コミュニティとしての努力をしようとスタートしたところです。そのコミュニティが今は、他のアカデミアのコミュニティから異端視されているかもしれないんですけども、社会貢献のポリシーをもって、ぶれずにやっていくことができて、私たちの意志がきちんと伝わっていけば、他の大学や学会のコミュニティのみなさんの活動が誘発されて、うちの研究はこういう人たちにも見てほしいよねとか、こういう評価の仕方を新しく作りたいよねと、自分たちの中の閉じた評価基準じゃなくて、外を意識したような評価基準もできていくんじゃないかなと。未来は暗いと思っていません。紀要のような形でコミュニティの知の情報発信をコミュニティとしてやり続けること、それぞれのコミュニティを開かれたものにしていくことで、先生がご懸念されている、変えたいなと思っていることに、風が吹いたり、窓が開いたりするんじゃないかなと思っています。 質問者:ありがとうございます。補足をしておくと、経営学の中の経営学教育にはAcademy of Management Learning and Educationというレベルの高いジャーナルあって、それが重要だと普通の日本の研究者は認識しているんです。なんですけど、海外に向けた論文も書かずに内輪の論理で、ちゃんとインデックスされていないところ——英文誌しかインパクトファクターが付かないっていうのは誤解で、体裁が整っていて英文のアブストが付いていたりすれば、インパクトファクターがつくんですけど——で、フォーマットを踏まえずに書く人もいて、俺の論理でやるんだと言われても、若手の研究者も困るし、年取った人も困ると。 一方で、日本には、出版文化という点で、学術出版よりもはるかに豊富な市場が自国言語である。そこのインパクトを測定するという話に国の方もなってきています。経営学教育ジャーナルの国内紙がアメリカや英語圏ほどない中で、グロービスがやっていくとしたらそこがデファクトスタンダードになってくっていう考え方もあるんじゃないか思います。 難波:ありがとうございます。それは会社に伝えたいなと思います。
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### 【報告】「学術コミュニケーションと出版」研究・イノベーション学会第38回 年次学術大会 企画セッション 2023/10/23 (月)
- Published: 2024-02-14
- Modified: 2024-02-14
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2024/02/seminar2023-10-23/
- Categories: セミナー報告
日時:2023年10月23日(月)18:30—20:00
(現地およびオンライン開催)
研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会 共催:紀要編集者ネットワーク イベント開催案内 >> 日時:2023年10月23日(月)18:30〜20:00 場所:東京工業大学大岡山キャンパス西8号館E棟10階大会議室およびオンライン開催 登壇者 宮入暢子(学術コミュニケーションコンサルタント) 「学術コミュニケーション:大学図書館からの視点」講演資料 鈴木哲也(京都大学学術出版会専務理事・編集長) 「学術書出版の現場に見える4つの風景」講演資料 林和弘(文部科学省 科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室長) 「学協会出版からみた大学の情報発信の可能性」講演資料 髙橋愛典(近畿大学 経営学部 教授) 「当然、紀要の味方です」講演資料 謝辞:本研究は次の支援を受けています。 科研費基盤研究(C)23K02501 研究代表者:白川展之 研究期間:2023-04-01〜2027-03-3 「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす人文社会科学研究への逆機能性に関する研究」
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### 【開催案内】「学術コミュニケーションと出版」研究・イノベーション学会第38回年次学術大会企画セッション 2023年10月23日(月)18:30〜20:00
- Published: 2023-10-19
- Modified: 2023-10-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/10/20230927-2/
- Categories: セミナー情報
「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」
日時:2023年09月27日 18:30-19:30
2023年度、研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」(「本懇談会」)は「大学が学術出版をする意義と方向性」をテーマとしたオンライン研究会を定期的に開催してきました。本セッションは、これまでの活動を踏まえ出版を「学術コミュニケーション」の手段の1つと捉え、学術出版の意義、状況や評価の変遷、そして今後の展望についてディスカッションを行います。 1. 開催日時:2023年10月23日(月)18:30〜20:00 2. 開催場所:東京工業大学大岡山キャンパス西8号館E棟10階 大会議室 および オンライン開催(参加申込者にZoomを案内) 3. 登壇者 宮入暢子(学術コミュニケーションコンサルタント) 鈴木哲也(京都大学学術出版会専務理事・編集長) 林和弘(文部科学省 科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室長) 髙橋愛典(近畿大学 経営学部 教授) 4.参加対象者:テーマに関心のある方(参加費:無料) 研究・イノベーション学会会員、年次大会参加申込者以外の方も参加いただけます。 5.申込フォーム https://ws. formzu. net/fgen/S708036757/ 6. 問い合わせ先 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 幹事 原田 隆 harada-takashi @ tokodai01. onmicrosoft. com 7. 主催・共催 主催:研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 共催:紀要編集者ネットワーク 謝 辞 科研費基盤研究(C)23K02501 研究代表者:白川展之 研究期間:2023-04-01 – 2027-03-3「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす人文社会科学研究への逆機能性に関する研究」
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### 【開催案内】オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」2023年9月27日(水)18:30-19:30 グロービス経営大学院 難波 美帆 氏
- Published: 2023-09-13
- Modified: 2023-09-13
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/09/20230927/
- Categories: セミナー情報
「大学が学術出版をする意義と方向性(3)」
日時:2023年09月27日 18:30-19:30
研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」(主催)と紀要編集者NW(共催)では、定期的に大学が出版機能を担う意義について考える研究会を開催しております。第3回目は、2023年3月に紀要を創刊したグロービス経営大学院准教授の難波 美帆さんに ・紀要創刊の背景と目的・出版体制・効果と課題 について話題提供いただき、大学における紀要の現代的意義について参加者とディスカッションを行います。 1.開催日時2023年9月27日(水)18時30分-19時30分 2.講演者グロービス経営大学院 准教授難波 美帆 氏 3. 参加申込次の入力フォームに必要事項をご入力ください。(参加費:無料)研究・イノベーション学会員以外の方もご参加いただけます。https://ws. formzu. net/fgen/S715966237/ 4.問い合わせ先研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 幹事原田 隆 harada-takashi @ tokodai01. onmicrosoft. com(@を半角に修正し、前後のスペースを詰めたアドレスにてご連絡ください) 5. 主催・共催主催:研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会共催:紀要編集者ネットワーク
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### 《システム》としての学術コミュニケーション
- Published: 2023-07-18
- Modified: 2023-07-24
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/07/nobuko-miyairi/
- Categories: リソース
執筆者:宮入暢子
学術情報流通に関する技術や議論が目まぐるしく進化・変化する中、そうした情報のアップデートは紀要編集者にとっての課題の一つとなっていると考えます。そこで、紀要編集者ネットワークでは、『学術コミュニケーション入門』を翻訳出版された宮入暢子様より、学術コミュニケーションの現状を知るうえで参考になる資料をまとめていただきました。
学術情報流通に関する技術や議論が目まぐるしく進化・変化する中、そうした情報のアップデートは紀要編集者にとっての課題の一つとなっていると考えます。そこで、紀要編集者ネットワークでは、『学術コミュニケーション入門』を翻訳出版された宮入暢子様より、学術コミュニケーションの現状を知るうえで参考になる資料をまとめていただきました。 ※ 本記事の引用に際しては、以下の記述をご利用ください。 宮入暢子. “《システム》としての学術コミュニケーション”. 紀要編集者ネットワーク. 2023-07-18. https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2023/07/nobuko-miyairi/, (参照 2023-07-18). Download 目次 《システム》としての学術コミュニケーション 学術出版産業とその市場 学術書と大学出版 学術コミュニケーションの定量的評価 オープンアクセスとオープンサイエンス 学術コミュニケーションの《エコシステム》 《システム》としての学術コミュニケーション 「学術コミュニケーション」を定義することは難しい。米国では、大学研究図書館協会(ACRL)が「学術コミュニケーション改革への理念と戦略 」と題した提言1の中で、以下のように位置付けている。 学術コミュニケーションとは《システム》であり、その中で研究やその他の学術的著作が生み出され、その質が評価され、学術コミュニティに頒布され、将来の利用のために保存される。この《システム》には、査読付きジャーナルへの掲載といった公式な手続きによるコミュニケーションと、メーリングリストのような非公式な手段の両方が含まれる。(宮入訳) 《システム》は制度や体系、秩序などと訳すことも可能だが、ここでは、さまざまなものが相互に作用する複雑な機構、あるいはそこに含まれる一連の原則、組織化された方法、といった意味も含め、敢えてそのまま《システム》としよう。この提言はACRLが2003年に「学術コミュニケーションイニシアチブ」を発足するにあたり発表したもので、《システム》の改革を奨励するとともに、大学図書館の関与を拡大することを目的としていた。学術出版物へのアクセス拡大、学術情報の公正価格、多様性と競争原理に基づく学術出版産業、価格高騰を回避しつつ流通を迅速化するための技術革新、査読による品質保証、著作権やフェアユース、長期保存の問題など、当時(そして現在でも)盛んに議論されていた課題について関係者の連携を促している。究極的には、より敏感に学術界のニーズに反応し、公共財としての学問研究の本質を反映する《システム》を目指した。 この《システム》は厄介なもので、研究分野によって少しずつ異なっている上に、その中で働く人々のほとんどが経験に基づく暗黙知に依存しているため、全体像を見渡す初心者向けガイドブックのようなものを作りにくい。例えば、研究者を目指す大学院生が、どの学会に参加し、どのジャーナルを読み、どのような業績を積み上げたらどのような評価を得るのか、といったことは、どこにも書かれていないか、仮にあったとしても特定の分野を念頭に置いたものであることが多い。さらに厄介なことに、近年この《システム》は技術的にも制度的にも革新が目覚しく、暗黙知にしろ形式知にしろ、その多くがすぐに陳腐化してしまう。 拙訳『学術コミュニケーション入門』2は、この《システム》についてざっくりとした知識を得るための入門書として極めて有用だと自負している。本書の目次には「査読とは何で、どのような仕組みなのか?」といった端的な疑問の数々が(あまり端的でないものも含めて)列挙されており、通読するにも、拾い読みするにも便利である。著者のリック・アンダーソンは米国の図書館に長く勤務する傍ら、出版業界も含め数々の団体の重職を歴任している。欧米の学術出版事情を背景とした著者の豊かな知識と洞察に、少しでも日本特有の事情を補うべく各章末に短い解説を追加したが、翻訳書として原著から大きく逸脱するわけにもいかず、最低限の補足にとどめた。絶妙な匙加減で《システム》の本質について広く浅くまとめた本書が、入門書としての役割を(少なくとも今後しばらくのあいだ)果たしてくれることを願う。 一方、《システム》の中ですでに仕事をしている研究者や実務家には、入門書を超えた知識を必要としている方々も多く、出版後に開催した輪読形式のウェビナーでは参考文献としていくつかの近刊書を紹介した。本稿ではそれらを中心に、学術コミュニケーションという《システム》の諸相について理解を深めるのに役立つ文献を紹介するとともに、関連ウェブサイト等についても言及する。『学術コミュニケーション入門』への補遺として、少しでも読者のお役に立てば幸いである。 学術出版産業とその市場 ACRLの定義によれば、学術コミュニケーションには「公式な」ものと「非公式な」ものの両方が含まれている。近年はプレプリントや研究データ、アカデミックSNSなども加わって《システム》の中身は多様化しているが、査読付きジャーナルや学術書が「公式な」学術コミュニケーションの筆頭であることは確かだ。「非公式な」学術コミュニケーションが全く認められないわけではないが、研究者としての評価を確立するためには「公式な」ものが不可欠だという構図は現在でも変わらない。アンダーソンは学術出版の役割について、「非公式」なものを「公式」なものにするための付加価値を提供するものとして位置付け、取捨選択、編集作業、発見可能性の向上(流通と検索)、ブランド化とマーケティング、の四つに分けて説明している。これらは研究者の能力とは異なる専門性と、人員配置や設備投資を必要とし、学術の発展と規模の拡大にしたがって産業として発展した。 しかし、産業としての学術出版が実際にどのように始まり、どれだけの利益をどのように上げているのかは、実際に論文や著書を出版している研究者にも、そしてそれらを収集し提供する図書館員にも案外知られていない。『学術出版の来た道』3は、学術出版の始まりから、主に学術ジャーナルやデータベース産業の発展について詳細に解説した類を見ない良書である。特に、(後にエルゼビア社が買収した)ペルガモン・プレスの創業者であるロバート・マクスウェルや、(インパクトファクターの生みの親として名高い)ISI社の創業者ユージーン・ガーフィールドに関する記述は、《システム》の変化によって生まれた潜在需要を見極めて時代の機運に乗じた「才気に長けた個人」のレガシーが、巨大な産業の一部となっていく様を描いており興味深い。また、オープンアクセスやビッグディール、行きすぎた定量評価への反対運動など、長く論争が続いている《システム》の重要な課題についてもコンパクトにまとめてあり、秀逸である。 STM協会は学術出版社や関連企業・団体を会員とする業界団体だが、その最新レポート4では、学術ジャーナルと学術書をあわせた市場規模は約140億ドルであると報告されている。データベースその他のツールや技術情報など関連領域を含めると、世界全体で約265億ドルである。学術出版社や文献データベースを提供する企業がこのように巨大な学術出版産業を築いて過剰な利益を上げていると批判する向きも多いが、学術界が「公式な」コミュニケーションを求め続け、それに応えようとする研究者がいる限り、この市場の拡大は止まない。パンデミックや戦争による影響も含め、経済の先行きが不透明なこの時代に、継続的な成長がほぼ確実に約束されている市場に営利を求める企業が群がるのは当然だろう。 筆者はコンサルタントという職業柄、学術出版市場の最新情報を常に追い続けているが、その情報源はこうした業界団体のレポートやホワイトペーパー、ブログ、ツイートなどが中心である。全てを巡回するのは時間がかかり見落としも多いため、メーリングリストやRSSフィードを利用してノートアプリ(現在はEvernoteを使用)に情報を蓄積し、まとめて読む。あるいは読まずに保存しておくだけでも、例えば「査読」について近年どのような新展開があったか調べようとする際、ノートアプリの中で「査読」「peer review」と全文検索するだけでかなりまとまった情報が取得できる。学術出版社が中心となって組織する国際専門団体 Society for Scholarly Publishing (SSP) がホストする The Scholarly Kitchenは、学術コミュニケーションに関わる最先端の知見を図書館や業界人の視点から提供しており、英語に抵抗のない方にはぜひお勧めしたい。国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルは、The Scholarly Kitchenを含む内外の情報を日本語で紹介しており、筆者も頻繁に参照している。 学術書と大学出版 学術ジャーナルとともに「公式な」学術コミュニケーションの双璧を成す学術書について、筆者は実践に基づいた知識をもたない。これまでの勤務先が論文情報を中心に扱う職場であったためだが、『学術コミュニケーション入門』の翻訳にあたって日本の学術書の状況について概観しようとした際に、あらためて自身の経験不足を痛感した。前述のとおり、《システム》の実践は経験に基づく暗黙知に依存している。 あらためて学術書について学ぼうと手に取った数冊は学術書の編集者によるもので、その中でも『学術書の編集者』5はたいへん参考になった。速報性を重視し、同じジャーナルに掲載されてはいても内容的に独立した「情報」として流通するジャーナル論文に対して、学術書は体系的で全体的な「知識」であり、時にはそれを身につけたいという身体性をも重視して読者層を見極めつつ編まなければならないという視点には感銘を受けた。アンダーソンは学術書を読むことについてimmersiveという形容詞を使っているが、まさに身体性である。学術書の企画・編集における「審査」「査読」「ピアレビュー」と編集者が果たす役割は決してリニアなものではないとの図解を交えた解説や、出版助成の社会的効用など、実務経験に根差した知見のつまった貴重な一冊である。 続いて手に取った『学術書を書く』6と『学術書を読む』7の二冊も、学術書の編集に携わる実務家の手によるものだが、これらは学術書を出版しようとする研究者や、専門を超えて広く知識を得たい読者を対象としている。『わたしの学術書:博士論文書籍化をめぐって』8は、博士論文を書籍化することの意義やその過程を研究者の視点から描いており、「マラソンにたとえれば、前者は仲間内での記録会、後者は公式の大会」「やっと手にした名刺」といった表現の端々から、《システム》における学術書の意義を確認できる。 その他、日本の学術書事情について解説するにあたっては、大学出版部協会のウェブサイトから多くの示唆を得た。季刊誌『大学出版』は1986年の創刊号から全てがPDFで公開されており、翻訳作業を終えた後も少しずつ読み進めているところである。学術書のオープンアクセス化について、アンダーソンは欧米の大学出版局の取り組みや研究大学図書館を中心とする共同出資の事例を紹介している。日本の学術書出版は伝統的に公的助成によるところが大きいが、日本の大学出版が今後どのように展開するのか、大学図書館とはどう連携するのか、注視していきたい。 学術コミュニケーションの定量的評価 《システム》の中で行われるコミュニケーションに対する評価は、そのタイミングによって大きく二つに分けられる。学術コミュニケーションを「非公式」なものから「公式」なものにするために行われる評価と、公式・非公式にかかわらず世に出たものに対して行われる評価だ。前者はコミュニケーション自体の質や妥当性を問うもので、その判断ができる専門家によって行われる。後者の場合はそのような専門家が行う質的評価もあれば、確立された手順と方法論にしたがって行う(必ずしも内容の理解が伴わない)定量的評価もある。ビブリオメトリクス(計量書誌学)やサイエントメトリクス(科学計量学)は、そのような定量的評価によく使われる。筆者が計量書誌学データを扱う実務に携わってまもない頃、基本的知識を得ようと手に取った『研究評価・科学論のための科学計量学入門』9は、科学計量学の歴史や基本的な手法、研究評価への応用をわかりやすく説明した良書であった。 数値データは明快で、客観的で、科学的に思われるが、統計データであるがゆえに母集団や分布傾向を考えずに絶対的な評価値とすることにほとんど意味はなく、誤用や乱用につながりやすい。その最たるものがインパクトファクターである。これについては『科学を計る : ガーフィールドとインパクト・ファクター』10や『インパクトファクターを解き明かす』11といった著作のほか、数多くの論説や解説記事があって、そのほとんどが「インパクトファクターについて聞いたことはあってもよく知らない」読者を前提として、本来の意味や計算方法、どう使う(あるいは使わない)べきかを論じている。以下の近著二冊もその例に漏れないが、アプローチが大きく異なっているのでぜひ読み比べをされたい。 一昨年に刊行された『科学者をまどわす魔法の数字 / インパクト・ファクターの正体 : 誤用の悪影響と賢い使い方を考える』12には読みやすい文体と研究者ならではの視点に好感を抱いたが、内容は書名から想像したものとはかなり異なっていた。インパクトファクター自体の解説よりはずっと多くのページを「誤用と問題点」の指摘に費やしており、数々の計量書誌学分野の原著論文から引いた図表やグラフを根拠とした解説は、初めて引用データやその手法について触れる読者には参考になるだろう。ただし後段で「誤用がもたらすもの」として、撤回論文の増加や研究不正、再現性の危機などの原因をインパクトファクターに帰するのは飛躍しすぎであり、世界大学ランキングが「インパクトファクターが既に存在していたことで誕生した」との一文はあまりにも短絡的だ。インパクトファクターの誤用を戒めるEASE声明や研究評価に関するサンフランシスコ宣言を紹介して本書は唐突に終わる。つまり「賢い使い方」は、「使わない」ということか。書名から得る印象との矛盾はさておき、本書は引用データのクセを手っ取り早く理解した上で、インパクトファクター偏重主義に象徴される《システム》の歪みについて研究者の視点から理解するには役に立つだろう。 一方、『ジャーナル・インパクトファクターの基礎知識 : ライデン声明以降のJIF』13は、ISI社が1990年代後半に設立した日本オフィス(現在はクラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社)に最近まで在職していた著者によるもので、インパクトファクターの提供者側の視点に忠実に、かといって過度に擁護することなく、その基礎と実践に役立つ情報を伝えている。特に5章の「学術誌編集とジャーナル・インパクトファクター」では、学術ジャーナルの編集者が自誌にインパクトファクターを付与されるために具体的に何をしたらよいか、国内の事例も挙げて詳しく解説してあり、国内学会誌や紀要の国際化を目指す編集者には貴重な情報だろう。また、『科学をまどわす... 』を含めインパクトファクター本の多くが陥りやすい誤用の指摘と批判だけにとどまらず、ライデン声明以降に生じた変化や提供側の対応などが示されている。 インパクトファクターは、学術コミュニケーションという《システム》の中で生まれた定量的評価指標の一つにすぎないが、その全体を象徴する曖昧なシンボルとして言及されることが多い。「科学技術動向」の2013年の掲載記事14は、《システム》の大半がオンラインに移行しつつある中、技術革新によって生じた学術コミュニケーションの定量的指標の多様化について、またそのような思想のもとに発案されたオルトメトリクスに関する初期の論考として貴重である。すでに十年以上が経過したが、いくつかの解説記事はあっても、オルトメトリクスに関するまとまった日本語の書籍はまだ見当たらない。 オープンアクセスとオープンサイエンス オープンアクセスとオープンサイエンスは、この二十年あまりに《システム》の中で生じた最も大きな変化であり、いずれも現在進行形で関連文献は膨大な数に上る。ここでは筆者が個人的に特に影響を受けた資料について紹介するにとどめる。 アンダーソンは『学術コミュニケーション入門』の「オープンアクセスの機会と課題」と題した一章で、その背景や定義、OA出版モデルの種類などについてまとめている。セルフアーカイビングの思想とその受け皿としての機関リポジトリや図書館の役割に関連して、筆者も日本の状況について解説を加えたが、原著にSPARCに関する記述がほとんどないためSPARC Japanについては触れずじまいだった。2003年に「国際学術情報流通基盤整備事業」として開始されたSPARC Japanは、ジャーナル支援事業のみならず、大学図書館コミュニティを中心にオープンアクセス支援を拡大した重要なフォーラムである。そのウェブサイトには各種資料やニュースレター、SPARC Japanセミナーの講演資料などがアーカイブされており、日本におけるオープンアクセス運動の進捗とその時々の動向を理解するのに欠かせない第一級の資料群である。オープンアクセスについてSPARC Japanが発信する情報から多くを学んだのは、筆者だけではないだろう。 本家である米国のSPARCは、学術ジャーナルの価格高騰に端を発するシリアルズ・クライシスとビッグ・ディールへの懸念が強まる中、コミュニティ支援型のオープンアクセス誌の立ち上げを目指して1998年に発足した。米国の研究大学を中心とした会員団体で、運営コストも会費によって賄われている。2001年に発足したSPARC Europeは公益財団であるが、同様にメンバーシップ制をとっている。いずれも近年は大学図書館コミュニティが支援するオープンサイエンス関連イニシアチブの原動力となっており、オープンデータやオープンな教育への支援を拡大している。 オープンサイエンスはオープンアクセスを包含する概念として語られがちであるが、その原点は出版モデルではない。当初はWeb 2. 0のアナロジーとしてのScience 2. 0、つまり「インタラクティブな科学」として、ウィキやブログ、生データや初期段階のアイディアの共有など、技術革新が可能にした新しい研究実践を出発点としている。2014年にEUにより実施されたScience 2. 0に関するパブリックコメント募集15の結果、「オープンサイエンス」や「オープンリサーチ」といった呼称がより好まれていることが明らかになり、この用語が広く定着していった。ウィキペディア英語版にopen scienceという項目ができたのは2006年、加筆が進んだのは2012年以降である。 筆者はちょうどその頃、マイケル・ニールセンの著書16のAudible版を入手し、通勤時間を利用して繰り返し聞いていた。日本では『オープンサイエンス革命』17という邦題で2013年に刊行されている。ネットワークが可能にする新しいサイエンスを、専門性や学術貢献の細分化、集合知によるスケールアップといった視点から豊富な事例とともに考察するニールセンの語り口はとてもエキサイティングだった。オープンサイエンスの促進には《システム》の文化変容が必須で、そのためには研究者よりもまず助成機関や評価者側からの革新を促していたのは先見の明である。実際、オープンサイエンスにおける政策的な取り組みは数多く、オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)のウェブページ18が国内外の政策動向について時系列でまとめているので参照されたい。オープンサイエンスの政策的なトップダウンは、オープンアクセスが学術出版、特に学術ジャーナルの価格高騰への対抗策として図書館を中心としたボトムアップな運動から始まっているのと対照的である。ただし、欧米ではオープンな学術情報基盤への資金提供を目指すSCOSSやInvest in Open Infrastructureといったイニシアチブを通じた大学図書館コミュニティによる資金提供が進められており、オープンアクセス運動からオープンサイエンス支援への連続性が感じられる。 日本におけるオープンサイエンスの進展については、月刊誌『科学』の2022年8月号に掲載されたオープンサイエンス特集19が役に立つ。日本を代表する論客がオープンサイエンスの諸相について論じており、コンパクトにまとまった理解を得るのに適している。また、近刊の『オープンサイエンスにまつわる論点:変革する学術コミュニケーション』20は情報科学技術協会の会誌の連載に新たに書き下ろし記事を加えて単行本化されたもので、ここ数年のオープンサイエンスの動向のみならず、変わりゆく《システム》の現在地を把握するのに極めて有用だ。 学術コミュニケーションの《エコシステム》 アンダーソンが頻繁に使う「学術コミュニケーションのエコシステム」という表現には、その内側で生産され流通するさまざまな学術情報の絶え間ない循環と、多くの異なる目的をもったステークホルダーが相互に依存している状況が込められている。もし我々が、《システム》の内側で肥大した学術出版産業を抑制し、公共財としての学術情報へのアクセスを保証しようとするのであれば、全体のバランスを崩さない程度に現実的な代替手段を確立しなければならない。そのためには、全てに精通する必要はなくとも、《システム》についてある程度の全体像を知っておく必要があるだろう。本稿がそのきっかけを提供できたとしたら幸甚である。 執筆者プロフィール 宮入暢子(みやいり のぶこ) コンサルタント/アナリスト(学術コミュニケーション) https://orcid. org/0000-0002-3229-5662 東京を拠点にフリーランスとして、STM出版や学術コミュニケーションに関わるコンサルティングに従事。その他、情報通信研究機構招聘専門員(2019-)、DataCite APAC Expert Group member(2020-)、筑波大学図書館情報メディア研究科非常勤講師(2019-2022)、青山学院大学コミュニティ人間科学部非常勤講師(2022-)など。過去にはORCID (http://orcid. org)のアジア・太平洋地区ディレクター(2015-2018)、ネイチャー・パブリッシング・グループ(現シュプリンガー・ネイチャー)のカスタム出版ディレクター(2012-2015)など。米国ハワイ大学マノア校図書館情報学修士。 1 “Principles and Strategies for the Reform of Scholarly Communication 1”. Association of College & Research Libraries (ACRL). https://www. ala. org/acrl/publications/whitepapers/principlesstrategies, (参照 2023-03-02). 2 Anderson Rick. 学術コミュニケーション入門 : 知っているようで知らない128の疑問. 宮入暢子訳. アドスリー; 丸善出版 (発売), 2022, x, 330p. 3 有田正規. 学術出版の来た道. 岩波書店, 2021, v, 148, 10p. 4 STM Global Brief - Economics & Market Size (An STM Report Supplement). International Association of Scientific, Technical & Medical Publishers, 2021, 31p. 5 橘宗吾. 学術書の編集者. 慶應義塾大学出版会, 2016, vi, 198, 7p. 6 鈴木哲也, 高瀬桃子. 学術書を書く. 京都大学学術出版会, 2015, 155p. 7 鈴木哲也. 学術書を読む. 京都大学学術出版会, 2020, 138p. 8 春風社編集部. わたしの学術書 : 博士論文書籍化をめぐって. 春風社, 2022, 493, vi. 9 藤垣 裕子. 研究評価・科学論のための科学計量学入門. 丸善, 2004, x, 208p. 10 窪田輝蔵. 科学を計る : ガーフィールドとインパクト・ファクター. インターメディカル, 1996, 220p. 11 山崎茂明. インパクトファクターを解き明かす. 情報科学技術協会, 2004, 52p. 12 麻生一枝. 科学者をまどわす魔法の数字, インパクト・ファクターの正体 : 誤用の悪影響と賢い使い方を考える. 日本評論社, 2021, viii, 162p. 13 棚橋佳子. ジャーナル・インパクトファクターの基礎知識 : ライデン声明以降のJIF. 樹村房, 2022, ix, 147p 14 林和弘. 「研究論文の影響度を測定する新しい動き:論文単位で即時かつ多面的な測定を可能とする Altmetrics」, 科学技術動向, No. 134, pp. 20-29, 2013. http://hdl. handle. net/11035/2357 15 “Science 2. 0: science in transition”. Shaping Europe’s digital future. https://digital-strategy. ec. europa. eu/en/library/science-20-science-transition, (参照 2023-03-13). 16 Nielsen, Michael A. Reinventing discovery: the new era of networked science. Princeton University Press,...
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### 【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(2) 2023/4/20 (木)
- Published: 2023-05-21
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/05/seminar2023-04-20/
- Categories: セミナー報告
日時:2023年4月20日(木)18:30—19:30
(オンライン開催)
研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会 共催:紀要編集者ネットワーク イベント開催案内 >> 日時:2023年4月20日(木)18:30—19:30【オンライン開催】 プログラム 司会・趣旨説明:原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 講演 鈴木晃志郎(富山大学 学術研究部 人文科学系) 講演資料 、講演と質疑応答・コメントの記録 、講演と質疑応答・コメントの記録(HTML)公開中 質疑応答 謝辞:本研究は次の支援を受けています。 科研費 若手研究(研究代表者:新潟大学 白川展之准教授)「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす社会科学研究への逆機能性に関する研究」(19K14279、期間:2019. 04. 01–2023. 03. 31)
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### 大学が学術出版をする意義と方向性(2)(+研究会趣旨説明・質疑応答・コメント)
- Published: 2023-05-21
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/05/suzuki/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会
〈講演〉鈴木晃志郎(富山大学 学術研究部 人文科学系)
オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(2)」2023/04/20 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2023/05/seminar2023-04-20/ 〈研究会趣旨説明〉 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 本オンライン研究会は、研究イノベーション学会大学経営研究懇談会が主催しております。また、共催として紀要編集者ネットワークに協力いただいています。 今回の講演は、機関リポジトリを利用した電子ジャーナル『地域生活学研究』の発刊に取り組んでいらっしゃる富山大学の鈴木先生に講師をお願いしました。大学経営研究懇談会では、大学が行う出版の意義と可能性、また課題について定期的に研究し、話題提供しています。その意味で鈴木先生が取り組まれている機関リポジトリを活用した電子ジャーナルは、コスト面だけでなく、大学が行う出版の魅力を再確認する、もしくは一つの方向を示すものと期待しています。それでは鈴木先生よろしくお願いします。 〈講演〉 鈴木晃志郎(富山大学 学術研究部 人文科学系) 富山大学の鈴木と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。 「大学が学術出版をする意義と方向性」の第2回ということで報告させていただきます。私が運営している雑誌をみなさまに知っていただきたいというのもありますが、それよりもこの雑誌の運用を通じて得た問題意識をみなさまと共有したいと思っております。冒頭で「転覆提案」を紹介しますが、それからちょうど30年経とうとしています。この発表の最後に、もう一つの転覆提案というのをお示しして、みなさまと理解を共有したいなと思っています。この場をお借りして話をさせていただくことになり、この講演をきっかけにそういう動きが創出できれば素晴らしいなと思っております。 今日の話題 今日の話題は大きく分けて3点あります。まず最初に、転覆提案からちょうど来年で30年経ちますが、オープンアクセス(以下、OA)思潮がもたらした問題を私のフィルターを通して概観します。 第二に、『地域生活学研究』についてです。『地域生活学研究』は、私個人が手弁当でやっているのに近い小さい試みです。ですから、この雑誌をアピールするよりは、その背景にある私なりの問題意識ですとか、リポジトリあるいはJ-STAGEのような共有財(コモンズ)を活用して我々——お聞きいただいている方全てという意味での我々——に今何ができるのかということを議論する際の素材を提供することに重きを置いてスライドを説明したいと思っています。 最後に、『地域生活学研究』の問題点を示しつつ、新しい転覆提案というのをお示しします。みなさまと問題意識を共有して、新しい転覆提案を揉んでいただく機会にしたいと思っています。 OA(オープンアクセス)思潮の背景——転覆提案—— 初めに、転覆提案の話をさせていただきます。これはStevan Harnadが1994年に提唱した概念ないしは運動です。Harnadが言ったのはこういうことです。それまで学術出版は紙媒体を前提にして動いてきた。この運用形態では、査読の後に編集をして印刷・製本し、それを会員に配る工程が必要になる。これに時間がかかってしまって、速報性を損ねてしまう。紙に印刷しなければいけないので、採算性も問題になる。これが学術的な成果をみんなで共有する際の壁になっているのだと。Harnadが想定していたのは、今でいうGreen OA、必要最小限のインフラだけを整備して、あとは無償でスピーディーに情報交換できるプラットフォームを作ることでした。 Harnadの提案がどれだけ斬新だったか若手の方にはわかりにくいかもしれませんが、転覆提案をした1994年は、Windows 95が出る前の年です。Windows 95の前はWindows 3. 1ですから、今のようなWindowsのフォーマットがやっと市場に登場した頃ということになります。この時期に、これからは電子出版の時代だ、ウェブ経由で情報をやり取りできるんだから出版コストが要らなくなるぞという予言をしたということですね。 急伸するOAジャーナル それから来年でちょうど30年、今OAをめぐる状況がどうなっているのかです。インパクトファクターとは別の指標をつくろうとしているいくつかの会社の集まり、Altmetricという会社がありますけれども、昨年、同社に所属しているアナリストElizabeth Smeeが、Harnadの提案からOAをめぐる状況がどう変化したのかを可視化してグラフで示しています。 先ほど、伝統的な雑誌は査読をした後に紙媒体で出版をする、それにコストがかかっているというお話をしました。学会誌もコストをかけて出版をしています。学会誌は、関心を同じくする人が会員になり、お互いに出版コストを負担するモデルで動いています。会員が出版コストを負担した結果として生まれた論文をみんなに読まれてしまったら、会員には何も得がない。だから一定期間、非会員の人には読ませない。これが、クローズドと呼ばれるタイプの雑誌です。それに対してOAの雑誌は、誰かが出版コストを負担して、その代わりにみんなに読んでもらえる形にするタイプの雑誌です。 Smeeの図に戻りましょう。OAの論文全体の伸びが青の折れ線で表わされています。学会誌のようなクローズドの雑誌の論文が赤の折れ線です。クローズドとOAの論文数が逆転するかしないかというところまできています。Harnadが予言した通りだし、彼の後にもいくつかの国際誌で2020年代に入ったら過半数の雑誌がOAになると予言した人がいたんですが、その通りになってきていることが読み取れます。 ただ、ここで注目したいのはその内訳です。OA論文全体の伸びに一番貢献しているのは、Gold OAと呼ばれるタイプの論文です。Gold OAは、論文を投稿する時に著者がOAに要する費用を負担して、みんなが読めるようにするタイプのOAです。これが非常に伸びていて、それ以外は実はあまり伸びていません。Harnadがみんなで読めるようにしましょうよと言っていたのはGreen OAと呼ばれるタイプですが伸びていません。このことが示しているのは、学術出版社が著者に課金するビジネスモデルを構築することで、OAが金儲けの道具になっているということです。これが一つの大きな課題を我々に突きつけていると私は認識しています。 APC(出版加工料)——朝貢のメカニズム—— 次のスライドは、前に同じような発表を別のところでした時に作ったものなので、ちょっとデータが古いですけれども、状況は今でもそんなに変わっていませんので、そのままご紹介します。 四大出版社と言われるElsevier、Wiley、Springerなどの出版社が刊行する電子ジャーナルの中には、論文をOAにできる雑誌もありますが、OAにする際はAPC(Article Processing Charge、出版加工料)という、論文を加工して出版するための料金を著者から徴収しています。料金はピンキリですが、高いものだと数十万円を著者に負担させる。安いものでも数万円ぐらいの負担です。SpringerやWileyなどの会社はみんな営利企業ですので、そのぐらいは負担してもらわないとOAにできないということになります。 こうしたGold OAを刊行している出版社が軒並み欧米の企業であることが、私の認識している限りでは一番大きい問題です。欧米人は、イノベーションが起きたとき、その基盤となるルールやプラットフォーム、あるいは技術をいち早く押さえて先行権を確保するのが本当に上手なんですよね。世界大学ランキングでも、外国人教員や留学生の比率が評価項目に含まれるため実質的に英語での授業が求められ、結果的に欧米の大学ランキングが上がり、ブランド価値も上がるようになっています。そういう仕組みをつくるのがすごく上手だということです。 私の研究課題のなかに、世界遺産の研究があります。世界遺産は現在、景観に対する価値づけのもっともグローバルな基準ですけれども、実は世界遺産にも同じような事情があって、最近でこそ是正されてきましたが、全体の4割強ぐらいがヨーロッパの世界遺産なんですね。人類共通の「顕著で普遍的な価値」をつくるという建前ですけれども、実際はヨーロッパの遺産がよく認定され、ヨーロッパの観光地としての価値が相対的に上がるということです。こういうところが、欧米人の上手なところだと思うわけです。 学術出版もまさにそうです。PDFで我々が論文を公開するとき、四大出版社などを通さないと国際的に注目される成果が出せない。私はちょっとどぎつい言い方で朝貢と言っていますけれども、注目される雑誌では高いものだと30万円ものお金を払わないと、成果をOAで公表できないことになっています。 学術出版におけるマタイ効果 これもちょっと古いデータですけれども、購読料が高額な(ひいてはAPCが高額な)雑誌ほどインパクトファクター(以下、IF)が高いという相関がきれいに出ています。相関ですのでいろいろな読み方ができますが、国際誌に論文を書いたことがある方はなぜなのかよくご存知だと思います。IFの高い雑誌に載せないと研究者は評価されないので、購読料が高額でもIFの高い雑誌には世界中から論文が投稿されてきます。結果、IFの高い雑誌はデータが分厚い論文しか載せないという贅沢ができます。お金をかけて分厚いデータが取れない人は、国際的な成功の舞台からは遠ざけられてしまう。これが、ある種の学術資本主義のような、大きな問題になっているのではないかと私は認識しています。 科学社会学の分野で著名なRobert Mertonという研究者が、これをマタイ効果という言い方で説明しています。新約聖書のマタイの福音書の中に、「持てる者はその豊かさのおかげでますます肥え太り、持たざる者はその貧しさゆえに持っているものまで取られてしまうであろう」という一文があります。マタイ効果というのはそれそのままに、恵まれた環境にある研究者はいい成果を出しやすく、ますます恵まれるということです。その構図が学術出版の世界で強化されつつある現状、これは大きな問題なのではないかと私は認識しています。 日本における学術予算配分——若手研究者の雇用の流動化—— ここまでの話は、欧米の人も日本の人も等しく条件の恵まれている人はいい成果を出しやすくなるという問題なんですけれども、こと日本に関しては、もう一つ別の構造的な問題があります。いわゆる「選択と集中」です。日本特有の事情として、大学の法人化以降、大学の予算は継続的に縮小され続けています。こういう話をすると、文部科学省の方々などは「いやいや、総額はそんなに変わっていないんですよ」とおっしゃるのですが、それは期限付きのお金や競争が付いているお金、いわゆる競争的資金を含めた全体がそれほど減っていないというだけです。しかも拠点校への重点配分が進んでいます。その結果、雇用の流動化が進みました。雇用が流動化すると息の長いプロジェクトはできなくなり、大学は目先のお金をもらうために文部科学省の顔色をうかがって仕事をするようになる。結果的に大学の自治権を干犯する側面がどうしても出てくるわけです。 若手の研究者の方々は、こういう構造的な問題のために不安定雇用から脱することが難しくなっています。状況が深刻化する前に就職した研究者は、私も含めて任期制ではないわけですね。ところが、若手の方は任期制じゃないとポストがない。若手の方々に対する呵責の念やそういう状況にしてしまったことに対する忸怩たる思いは、年配の先生方の多くが共有しておられるんじゃないかなと思います。私自身もそうです。私は一昨年まで大学の組合の書記長をしていましたが、その時に富山大学で(新規採用者、昇任者は)全員任期制にするという話が進んでしまいました。組合としてそれを止めることができなかったことに対して、非常に慙愧の念をもっています。 私個人としてできることは本当にちっちゃなことなんですけど、例えちっちゃくても何かできることがないのか考える機会が多くなり、それが後ほどご紹介する『地域生活学研究』を発刊する一つの動機になりました。 その結果どうなっているか——ハゲタカ出版社に捕食される日本の研究者—— ハゲタカ出版と呼ばれる、ちゃんと査読されていない論文を載せる得体の知れない雑誌なのに、掲載費用だけは取っていく出版社があります。こういう出版社が「私の雑誌だったらすぐ載せてあげますよ」と甘い言葉をささやくわけですね。構造的な問題として、若手の方に負担が集中している日本では、任期付きのポストにいて、早く成果を出さなければいけない状況にある人ほど、そこに論文を投稿してしまいやすくなる。国際的に見て恥ずかしいことですが、ご覧のように日本では海外の有名大学に比べてハゲタカ出版社に捕食される件数がずっと多くなっています。 こういうデータは、文部科学省を含む行政の方々には学者のモラルが低いと解釈されがちなんですけど、そうではありません。英語で書くのはただでさえ日本人にとってハードルが高いのに、業績のノルマがきつい。その割に資金も人員も削減され、助教も院生もポストがなくなっていく。任期付きの若い方々は十分な研究時間もとれず、次のポストを得るプレッシャーにも晒された状況で、国際誌しか評価されないというプレッシャーも年々強くなっている。そんな構造的な問題が背景にあるわけですね。それが、ハゲタカ出版による捕食数のデータに表れているのではないかと私は考えています。 今から10年ぐらい前、私はある国際学会で発表し、原稿を書いてプロシーディングスに載せたんですね。そのプロシーディングスに私のEメールアドレスが載っていたため、恐らくそこからハゲタカ出版社のカモリストに載ったんだと思うんですけど、この学会発表以降「あなたの成果は素晴らしいので、国際誌に載せませんか」というメールが私のところに次々と来るようになりました。最初に勧誘してきたのはDavid Publishing Companyというハゲタカ出版の世界では名の知れた会社です。載せてあげるかわりに1ページ60ドル払ってくださいというメールでした。 私の分野は人文科学なので、こっちがコントリビュートするのにどうして60ドルも払わなきゃいけないのかと、そう直感的に思ってしまいました。国際競争の激しい生命科学など理科系の分野では、著者がAPCとしてお金を払うGold OAが当たり前になっていたわけですけど、人文科学では当時はまだGold OAが当たり前ではなかった。すごく違和感を覚えたために、David Publishing Companyのおかしさに気付くことができたわけです。 理想は高く、ハードルは低く——『地域生活学研究』—— David Publishing Companyから勧誘されたのは2013年の7月ぐらいだった思うんですけど、その勧誘をきっかけにOAのことをいろいろ勉強しました。真っ先に感じたのは、先ほどご説明した憤りのようなものでした。PDFをデータベースに載せるだけなのに、なぜ研究者の側が30万円も取られなきゃいけないのか、どうしても納得がいかない。もっと安くできる、お金はかからないはずということを示す一種の思考実験として、電子ジャーナルの『地域生活学研究』を構想しました。2013年10月のことです。 それぞれの大学の図書館が運用している機関リポジトリがありますけれども、機関リポジトリはCiNiiと連携しています。機関リポジトリに学術刊行物を登録すると、それがCiNiiに登録され、学術情報データベースに載るという仕組みです。当時大学は、今でもそうだと思うんですけど、機関リポジトリに学術成果を載せることを歓迎してくれていました。ここに論文を載せればタダじゃないかと思ったわけです。論文の雛形なんてWordで自炊すれば簡単にできるじゃないかと。 2013年10月に、こういう雑誌をつくりますよっていう問題提起のような論文を私が寄稿したわけですけれども、これも自作の雛形に流し込んで作ったものなんです。このくらいタダでできますよと論文の中で言っています。査読は私が、メールを介して著者から原稿を受け取ってから査読者を探して査読をお願いし、結果が返ってきたら著者にお渡しする。私が中継基地になって読者と投稿者の間を取り持てばお金がかからない、早く公にできるじゃないかということですね。Stevan Harnadもそう言っていたはずです。 うちは富山大学という総合大学なので、理科系の先生もいらっしゃるし、医学部の先生もいらっしゃって、編集委員会にも入っていただいています。『地域生活学研究』は私が創刊した雑誌ではなくて、元々は学内の競争的資金を取るために、学内のいろんな学部の先生が集まって研究会をつくって創刊したんですね。その予算がちょうど2013年で止まってしまって、もう解散しましょうかって言ってるところに私が新しく入っていった。それで、せっかくこんな雑誌をつくったんだからやめずに続けましょうよって私が言ったら、じゃあ続けてもいいけど、後は全部やってねという感じで私が自炊係になったということです。 それ以来ひたすら、原稿が来たら先ほどお話ししたような手続きを私がして、掲載のお手伝いをしています。図書館の方にいろいろ教えていただきながら、リポジトリに登録して運用するところまで仕組みを作ってから、もう10年経ちますので、APCを徴収しなくてもOAで論文を公表できることは証明されたかなと思います。 その後の推移 電子ジャーナル『地域生活学研究』は、2013年につくって以来、ずっと口コミのみで運用しています。宣伝するお金はありません。来た論文を私が雛形に流し込むという本当にそれだけの雑誌で、投稿フォームもない。私のhotmail、無料のウェブメールが窓口になっている。あまり知られていないので、投稿は年に3,4編ぐらい、多い時で5,6編ぐらいです。一つの理由は宣伝が全然できていないことなんですが、学内の人文科学の先生方にとっての理由は、成果物の公表媒体としてほかに紀要もあることです。紀要に出せば審査されて嫌な思いをしなくてもいいですから。同じく、理科系の先生方は、国際誌以外は評価してもらえないですから、この雑誌に出すインセンティブがないのですね。投稿数の少なさには困っているんですが、一方では一人でやれる範囲に負担が収まっていることにもなっているので、痛し痒しで難しいところです。ただ、一度投稿して便利だなと思った方々がリピートしてくださって、何人かの方は時々投稿してこられます。 もう一つこの雑誌の特徴として、学者じゃなくても、どんな人が書いても論文の体裁が整っていれば、審査をして、受理されれば載せます。だから所属組織に紀要をもたない人、あるいは学会に入るお金が捻出できない若手の方の潜在的なニーズがあって、時々、そういう方からの投稿があります。一般市民でも書けることを示す一つの試みも行いました。震災直後にFIT法という、再生可能エネルギーで発電されたエネルギーは電力会社が買い取らなきゃいけなくする社会主義国家のような法律ができて、その結果、全国にソーラーパネルが乱立しました。特に山梨県の北杜市という別荘地では、別荘に暮らす市民の方々が太陽光発電施設によって景観が毀損されていると問題提起をしていました。その方々にアクセスして、その主張をぜひうちへ書きませんかと勧誘し、論文にまとめてもらって寄稿していただいたのです。もう亡くなられましたが当時の市長の白倉さん、現地でソーラーパネルの普及活動をやっている方々も呼んできて、誌上で熟議型民主主義を創出するという名目の下、「太陽光パネル増加がもたらす景観紛争」特集を組みました。その後、J-STAGEに『地域生活学研究』を登録できましたので、今はそれらの論文にもDOIがついています。一般市民によって書かれた論文が学術情報として流通しているということですね。 J-STAGEに載ったということは、私の分野でいうとフラッグシップジャーナルの『地理学評論』とその意味では肩を並べているということです。J-STAGEに載ると、査読付きのロゴを入れられます。そうすると、若手の方がここに論文を書いたときに「地域生活学研究? そんな雑誌知らんよ」と言われても、「いやいや、この雑誌はちゃんと査読付きなんですよ」と示すことができます。そういう意味でインセンティブがアップするかなと思っています。J-STAGEに登録して一番よかったことです。 弊誌モデルの課題 ただ、この雑誌には課題もあります。よくないなと思うんですけれども、私の問題意識や意思を受け継いでくれる方を探すのが難しく、事実上私一人が、10年編集長を続けています。個人単位でいえば、人の業績をつくるのを手伝ったからといって誰から評価されるわけでもないし、手間が増えるだけで得することは何にもないわけです。やっているのは地味な作業で、メールのやりとりをしているだけです。でも、無責任に何でも載せればいいというものではなく、学術情報を流通させる一種の社会的責務がある以上査読はちゃんとしますし、痛いことも言わなければいけない。時にはそれでトラブルになったりもして、ちょっと不愉快な思いもしますし、申し訳ありませんと謝ったりもする。そういうのを含めてやってくれる人じゃないとお任せできないところがあって、後継者を探すのが一番難しいなと思っています。 二つ目の難しさは査読者を探すことですが、引き受け手がいないという意味ではありません。私がお願いした人の95%ぐらいは快く査読を引き受けてくれます。手弁当の雑誌なので、本当にごめんなさい、お金は出せないんですけど何とか引き受けてくれませんかとお願いをしています。タダならやりませんとか、メリットがないのでやりませんと言った人は私の記憶する限りいません。今まで断られた理由は、今忙しいのでごめんなさいという理由だけです。ただ、善意にすがる形なので「不当な査読だ」、「ボランティアで引き受けて善意でやってるのに何だ」というトラブルも起きたりする。そうならないように、人柄も含めてちゃんとした人に査読を引き受けてもらうのが一番難しく、神経を使うところです。 三つ目は、先ほどお話しした、認知度がなかなか上がっていかない問題です。本当はもっと組織的にやれるといいんですけれども、私の力でなかなかそこまでいけないのが今の大きな課題だと思っています。DOAJはそこに載っている雑誌なら胡散臭くないという一つの国際的な物差しになっているので、本当はDOAJにも載せたくて、登録しようとしたこともあったんですが、いかんせん論文数が少なすぎて却下されてしまいました。DOAJに載せるのが次の目標です。 最後に転覆提案 最後になりますが、これまで10年間この雑誌をやってまいりまして、僭越ではございますけれども、ここまでお話ししたような問題意識を踏まえ、私からの転覆提案ということで、みなさまの議論の材料を提供させていただきます。 一つ目は、みなさまの組織的な力を使って、四大出版社が中心になっている、この現代の朝貢をどうにかして転覆したいということです。私の一番切なる願いです。転覆が実現すれば、『地域生活学研究』の社会的使命の半分ぐらいは終わると思っています。私も年々研究費を削られていて、みなさまもそうだと思いますけれども、そのなけなしの研究費の中からいつまで30万を四大出版社に我々は貢ぎ続けるのだと。日本に四大出版社となれるような出版社さえあればお金は国内に還流するのに、どうしてそうできないんだろうと。そのお金を還流させれば若手を雇用したりできるはずなのに、どうしてそれができないんだということを、一番悔しく思っています。何とかここに集まっているみなさまの知恵と工夫で、いつの日か転覆を実現したいと願っています。 私のようにそれぞれの紀要や電子ジャーナルがバラバラに活動しても、なかなか大きなムーブメントにはならない。個々の力を結集して、便宜的に霞が関メガジャーナルと呼んでいますけれども、和製メガジャーナル、四大出版社に肩を並べるような大きな雑誌をつくれないかをここでご議論いただけないかと思っています。 査読者を探すのは一番難しいんですけれども、先ほどご説明したように、10年間この雑誌を手弁当で運用してきて、査読を断られたことはほぼありません。研究者の職業倫理の意識の高さゆえだと思っています。強いて言えば、名前を忘れて恐縮なんですが、Web of Science的な何かが、査読者の国際的な信用を可視化していますね。私は最近Local Environmentというインパクトファクターの付いている雑誌やSAGE Openという雑誌から査読を頼まれて、「英語で査読すんの?」と思ったんですけど、査読するとこういうメリットがありますよ、この人の査読実績はこれですと可視化して、インセンティブをつけることを彼らは非常に上手にやっていました。それをこのメガジャーナルに導入すれば、査読する人にもメリットがあるというふうにできるんじゃないかと思っています。 こういう知恵と工夫を持ち寄って、一人の力ではなくてみなさんの力で、四大出版社への現代の朝貢を転覆するようなことを、ここでご議論いただけないかというのが、私が最後にみなさまにぜひお願いしたいことになります。ご清聴ありがとうございました。 〈質疑応答・コメント〉 コメント:日本語で書いた論文に対する海外からの注目について 私はシンガポールで修士をしていたのですが、アジア出身の研究者、シンガポール人、マレーシア人、インドネシアの中華系の人たちなどが、植民地主義のレガシーとして知的生産が全て英語でなされていて、大手大学出版や英語圏の大学出版がこの知的リソースを握っていることにすごく問題意識を持っていました。とくに40代、50代ぐらいの先生たちにはアジアのもっとローカルな雑誌にも載せようという動きがあって、マレーシアだったらマレーシアの雑誌に、日本だったらもっと日本語で書けと言う先生もいました。 シンガポールやマレーシアで話をしていると、日本語で書かれたものは貴重だとみなさんよく言います。日本ではみんな論文を日本語で書くので、世界的に見てレベルが高いけれども、全く知られていない研究がかなりあると思います。そういうものに若手の研究者が目をつけて、海外に論文を出す時に日本語の文献を引用したりすると、日本では当たり前なんだけれども、「えっ、そんな議論をやってたの、30年前に日本で」というようなことが最近よくあります。我々の世代は人文社会科学でも英語で書かないと仕事がないので、査読論文を海外に出そうとなっていますが、日本語で書いたものが英語圏でも徐々に評価されつつあるのかなと思います。日本語で書かれているものと英語で書かれているもののシナジーがあれば面白いかなと今日お話を聞いていて思いました。 鈴木: 私が過去に書いた日本語の論文が、縁もゆかりもない海外の研究者に引用されることがあって、どこで探してきて読んでいるんだろうと思っていたんですが、そういうことがあるということですかね。 私は逆に、英語でもっと論文を書かなきゃなと思ってやり始めています。一から辞書を引いて書くのは手間なんですけど、翻訳ソフトで下訳を作るとかなり楽に英文が作れます。ここ3,4年ぐらいで、肌感覚として英語の機械翻訳の精度がどんどん良くなってきています。日本語で書いてあるものを自分で翻訳しなくても、翻訳ソフトと連携して、海外の研究者に届くシステムを作れば、おっしゃっているようなことの一つのきっかけづくりになるのではと話を伺いながら思いました。 コメント(チャット):日本語で書いた論文に対する海外からの注目について 日本発の科学論文プラットフォームに関しては、Science Postprint等が興りながら停滞(あるいは活動がパンク)する状況下、より広域的な連帯に期待したいと存じます。 コメント:編集のコストの可視化と業績評価 査読者もそうですけど、紀要をつくっている人たちのコスト、基盤を作る活動を可視化して、そういう人こそ大学に必要な人材だと思うので、採用や研究業績評価で評価できたらいいなと、URAとして常々感じています。 コメント:査読の履歴の評価Publons 先ほどの査読の履歴を残して評価するシステムは、Publonsですかね。たぶんWeb of Scienceがやっているもので、僕も査読をした時に登録します。 経済学の青木昌彦先生が、日経新聞に掲載された「私の履歴書」の中で書かれていたと思うんですけど、ジャーナルは要らないとして、自分のウェブサイトに論文を載せてそれを読んでもらうシステムをたしか最晩年の頃にやられていました。ただ僕は、有名だからそのサイトにいってくれる人がいるけれど、僕らのような無名の人間がやってもたぶん誰もたどり着いてくれないから難しいと思った記憶があります。 オープンジャーナルのメリットとして、多くの人に触れてもらえる機会が提供できるということが大きいかなと僕は思っています。査読でも、その分野で業績がある人が査読をしているので、「ああ、あの人あんなことやってる」というレピュテーションのような形のネットワークが何となく裏のところにあります。僕も知っている人が書いた論文の査読が結構多いんですよね。もちろん匿名なんですけど。それがパブリッシュされたら読んでというのがあります。研究の世界がネットワークビジネスになっていると僕は感じているので、ネットワークをどうやって作るかがお金の問題とは別に必要だなと思っています。有名な先生は自分のウェブサイトでできるかもしれないけれど、そうじゃない人がほとんどですから、いろんなところでみんなに読んでもらえるシステムにすることが重要なのかなと感じます。 鈴木: 私のできる範囲だと、J-STAGEに登録することですね。J-STAGEに載っているんだから変な雑誌ではないだろうとダウンロードする人に思ってもらうぐらいしか今のところ工夫ができなくて、今後の課題にさせていただきたいです。 質問(チャット):業績評価としてカウントされるか 掲載された論文は、運営費交付金に関わる共通指標の研究業績数にカウントされるのでしょうか? 鈴木: 運営交付金に関わるということは、大学本体の話ということですかね。それとも個人の研究者が学部などで年間の業績を評価されるときのことですかね。 原田: 大学の方ですね。 鈴木: 大学の方ですか。うちの大学には二重の規定があって、大学全体と学部それぞれの業績評価の基準があります。全学の評価は、学部の業績評価をたしか4割ぐらいにして、学長が医学系の人ということもあり、国際誌以外は論文として認めませんという基準です。学系の多様性を反映した基準だと、『地域生活学研究』は査読付きの論文として評価されます。全学の評価で、それをどう案分しているのか私は把握していないのですが。 質問:J-STAGEへの登録について J-STAGEへの論文の登録も鈴木先生がやっておられるんでしょうか? ものすごく手間がかかるので学会レベルでも挫折して、でも学外の業者さんに委託するとお金がかかるという話を聞きます。 鈴木: J-STAGEの登録は私一人でやっています。はじめに東京へ行って半日講習を受けなきゃいけないんですけど、それを厭わなければそんなに難しいものではありません。論文を掲載する時もいろんなところに数字などを入れなきゃいけないので、面倒くさいといえば面倒くさいんですけど、素人の私でもできないものではない。手間はかかりますが、そこまで難しいものではありません。 コメント:オープンソースの論文投稿システム 私は元々図書館でリポジトリの担当していました。リポジトリに投稿のフォームを付けるという話がありましたが、フォームへのリンクを付けるだけなら簡単です。ただ、大学によってリポジトリの運営方針は様々で、ジャーナルの出版に対して積極的な大学はやりやすいかもしれませんが、ジャーナルの出版に力を入れていない大学だと運営方針から変えないといけないかもしれません。 ジャーナルの投稿システムを展開できるOpen Journal Systemsというオープンソースのソフトウェアもあります。京都大学では過去にそれをリポジトリにくっつけて運用していて、一つ紀要が動いていました。事情があって運用をやめたんですけど。そういう込み入ったシステムもやろうと思えばできます。 コメント:学術情報の日本の広いオーディエンス ジャーナル話から少し逸れてしまうかもしれないんですけれども、誰を対象に学術的な知識を広めるかという問題があると思っています。往々にして海外のトップジャーナルは、一般的な人に読んでもらうことを想定していないんですよね。たとえば、政治学のAmerican Journal of Political Scienceはメソドロジーの話だとか、一般的な政治学を勉強している人が読んでも全然わからないような話しか書いていません。若手の研究者がなぜそこに載せるかというと、そこに載せていると就職できるからです。トップジャーナルに載っていると、読んでいなくても、「ここに載っているのでOK」とチェックが入る。そうするとテニュアを取るときにとても有利になる。少なくとも英語圏の社会科学の中では、海外のトップジャーナルはそのために機能しているものになっているのかなと思います。 一方で、日本では一般的な人にも活字文化が広まっていて、大学の先生などが本屋さんに並ぶ本をたくさん書いています。そういったものを消費する人がわりと多いと思うんですよね。日本の新聞の出版数も世界一ぐらい多いですし。これは日本のいいところなので、ジャーナルも専門家に読んでもらうのももちろんあると思うんですけど、より一般的なもう少し広いオーディエンスを想定するのも面白いのかなと思います。 謝辞:本研究は次の支援を受けています。 科研費 若手研究(研究代表者:新潟大学 白川展之准教授)「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす社会科学研究への逆機能性に関する研究」(19K14279、期間:2019. 04. 01–2023. 03. 31)
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### 【開催案内】オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(2)」2023/4/20(木) 18:30‐19:30 講演者:鈴木晃志郎氏(富山大学大学)
- Published: 2023-04-11
- Modified: 2023-04-11
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/04/annnai/
- Categories: news
「大学が学術出版をする意義と方向性(2)」2023/4/20(木) 18:30‐19:30(オンライン開催) 主催:研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 共催:紀要編集者ネットワーク 研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」では定期的に大学が出版機能を担う意義について考える研究会を開催しております。第2回目は、機関リポジトリを利用した電子ジャーナル「地域生活学研究」を題材にして ・国際ジャーナルに偏重した評価が大学、研究者に与える影響 ・学術コミュニケーションのあり方 ・学術論文のオープンアクセス化の意義と大学、研究者コミュニティに期待される役割 について参加者とディスカッションします。 1.開催日時 2023/4/20(木) 18:30‐19:30 オンライン開催 2.講演者 富山大学 学術研究部 人文科学系 准教授 鈴木晃志郎氏 3. 参加申込 次の入力フォームに必要事項をご入力ください。(参加費:無料) https://forms. office. com/r/5CEsPNDMC3 4.問い合わせ先 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 幹事 原田 隆 harada-takashi@tokodai01. onmicrosoft. com 謝辞 本研究は次の支援を受けています。 科研費 若手研究(研究代表者:新潟大学 白川展之准教授)「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす社会科学研究への逆機能性に関する研究」(19K14279、期間:2019. 04. 01–2023. 03. 31)
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### 【報告】大学が学術出版をする意義と方向性(1) 2023/2/3 (金)
- Published: 2023-03-03
- Modified: 2023-03-03
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/03/seminar2023-02-03/
- Categories: セミナー報告
日時:2023年2月3日(金)18:30—19:30
(オンライン開催)
研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会 共催:紀要編集者ネットワーク イベント開催案内 >> 日時:2023年2月3日(金)18:30—19:30【オンライン開催】 プログラム 司会・趣旨説明:原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 講演 吉岡(小林)徹(一橋大学 イノベーション研究センター) 『一橋ビジネスレビュー』の今 講演資料 、講演と質疑応答の記録 、講演と質疑応答の記録(HTML)公開中 質疑応答
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### 『一橋ビジネスレビュー』の今(+研究会趣旨説明・質疑応答)
- Published: 2023-03-03
- Modified: 2023-03-03
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/03/yoshioka/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/02/03
研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会
〈講演〉吉岡(小林)徹(一橋大学 イノベーション研究センター)
オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/02/03 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2023/03/seminar2023-02-03/ 〈研究会趣旨説明〉 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 研究・イノベーション学会、大学経営研究懇談会の幹事をしています原田と申します。本オンライン研究会は紀要編集者ネットワークと共催で開催いたします。 研究イノベーション学会の中において、われわれ懇談会は大学経営の観点から大学評価、研究評価や研究インテグリティなどについて継続的な研究報告をしています。今年度については、大学が出版をする意義について定期的に扱っていきたいと思っています。例えば、国際ジャーナルへの投稿などが推奨され、それが評価されるなか、日本語論文の投稿の問題があります。また、いろいろな媒体で動画などを含めいろいろな形で研究成果が発信されていくなか、紀要が代表的ですが、あえて大学が出版機能を持つ社会的意義はなんでしょうか。もし本質的に大学が研究出版機能を持つべきであるならば、どのようにしてそれを大学経営の中に位置づけるか、もしくはそのために何を犠牲にするかというようなことを考えていきたいと思っています。 これまで紀要、日本の学術誌について継続して研究会を開催していますが、今回は『一橋ビジネスレビュー』を題材にして、この点を考えていきたいと思っています。講師は一橋大学の吉岡先生にお願いしました。『一橋ビジネスレビュー』については、講演で詳細が述べられますけども、一橋大学の出版物ですが商業誌として発行されている紀要です。ただ、これが紀要の定義として適切かどうかということも議論だと思っています。 〈講演〉 吉岡(小林)徹(一橋大学 イノベーション研究センター) 一橋大学イノベーション研究センターの吉岡と申します。よろしくお願いいたします。今日は、『一橋ビジネスレビュー』が今どうなっているか、大学として出版機能の一部分を担って本を出していくなかでどういうところが悩みかをお話したいと思います。まず『一橋ビジネスレビュー』にどういう経緯があったか、そして今どうなっているか、理想としてはこうありたい姿、最後に悩みという形でお話を進めていきます。 その前に、私の立ち位置のご紹介ですが、元々は法律の研究をやっており、民間を経て、大学の教員をしています。専門分野は科学技術政策や技術マネジメントで、研究成果を主に海外の学術誌で出していきたいという意欲を持っていますが、必ずしもうまくいかないという感じですね。 『一橋ビジネスレビュー』の昔 早速ですが、『一橋ビジネスレビュー』の昔について話します。まず、『一橋ビジネスレビュー』が紐づいている、私の所属機関である一橋大学のイノベーション研究センターについて簡単にご紹介します。発足は戦争中の1944年でした。その後、1949年に産業経営研究所、つまり産業の経営に関わることを研究していく機関となり、その4年後の1953年に『ビジネスレビュー』を一般向けに経営学の内容を伝えていく雑誌として創刊しました。ですから、歴史はとても長く、今年70年になろうとしています。ただ、東洋経済新報社から季節ごとに刊行する季刊の本として出したのが2000年で、このときに『一橋ビジネスレビュー』と名前を変えました。 一般の紀要と異なり、出版元は東洋経済新報社です。東洋経済新報社がちゃんとお金を取って、書店を通じて売っています。 理念は、理論と実務を繋ぐ架け橋として経営学に寄与することです。ここからおわかりの通り、ターゲットは産業界の方、実務家の方で、顧客価値は経営学の理念を実務に活かしてもらう、実務のヒントを得てもらうところにあります。後ほど詳細をお話しします。 『一橋ビジネスレビュー』の今——雑誌の概要—— 今はどうなっているかといいますと、4か月に1回発行して、1号2200円です。内容は、特集記事としてテーマ——最新号(2022年度Vol. 70 No. 3)だと「デザインとは何か?」というテーマ——に沿った記事を5から7本、連載——主に経営学の解説——を1、2本、インタビュー記事を1本、そしてケーススタディ、この企業がこんな取り組みをしているとか、こういうところが面白いというのを1、2本。厳密な意味の研究論文が特集記事に含まれることがあるんですけれども、それを除くとまれに1本載る程度です。 ですので、一般的な学術紀要ではなく、どちらかというとビジネス誌になります。ただ、ビジネス誌としても東洋経済新報社が発行している『東洋経済』や『週刊ダイヤモンド』などに比べると、学術的なバックグラウンドが重視されているという立ち位置にあります。完璧なビジネス誌と学術誌のちょうど中間点ぐらいのものを目指しているのが、この『一橋ビジネスレビュー』です。『ハーバード・ビジネス・レビュー』が一つのお手本といえると捉えています。 『一橋ビジネスレビュー』の今——記事の例—— 記事はこんな感じです。抽象的に話してもわかりにくいと思いますので、最新の号の「デザインとは何か?」の中身を書きました。特集記事のテーマは、過去の例では2021年に「研究力の危機を乗り越える」を取り上げるなど、その時々に応じた話題を選択しています。最新号の特集記事を書いてもらった永井一史さんはグッドデザイン賞の審査委員長で実務家、森永先生、木見田先生、古江先生は研究者、山中先生はちょうどその中間、実務と学術を両方やっている方です。連載では、エフェクチュエーションって何なんだろうか、イノベーション・マネジメントは何が基本なんだろうかといった話を取り上げています。それから、衛星宇宙開発ビジネスについてインタビューしたり、旭酒造さんやログハウスメーカーのビジネスケースを書いたりしています。 こういった内容で、ビジネス向けの雑誌なんですけれども、学術的なバックグラウンドを保っているところが、『一橋ビジネスレビュー』の特徴だと思います。 『一橋ビジネスレビュー』の今——企画・編集体制—— 編集・企画は、基本的には研究者でやっています。一橋大学イノベーション研究センターのセンター長だった米倉誠一郎先生を編集長として、その他センター所属の教員9名が関わっていますし、さらに経営管理研究科のイノベーション系の研究者も数名関わっています。15名ぐらいで企画している体制です。 東洋経済新報社の担当編集者も入っています。プロの編集者の介入はクオリティコントロールにすごく大事なところです。その方が、この企画はつまらないですねとか、個別の記事にもこんな書き方だと駄目ですよと厳しく言ってくれる体制です。 ただ、ロジ回りまで東洋経済新報社に完全に任せるのは無理なので、私どものセンターの助手に執筆者の対応や原稿関係の細かいところを担当してもらい、編集、そして校正の段階を東洋経済新報社の方にやっていただいています。 『一橋ビジネスレビュー』の今——経営学内の傾向と一橋ビジネスレビューの位置づけ—— 内部的な話をすると、各研究者の研究の立ち位置は、経営学では大きく三つの切り口で特徴づけられるんですね。1番目の軸は、理論を重視するのか、実証を重視するのか、それとも現状を記述することを重視するのか。2番目の軸は、定性的なアプローチ、つまりインタビューや一次資料をベースに考えていくのか、それとも操作化をして、数字に変えて定量的に分析をしていくのか。3番目の軸が、実務で貢献するのか、学術で貢献するのか。この掛け算でだいたい各研究者の立ち位置が決まっています。 『一橋ビジネスレビュー』はビジネスレビューですので、当然好まれるのは最終的な実務への貢献なんですね。実務で貢献すればいいので、場合によっては、記述さえしておけばいい、面白い現象を切り取っておけばいいんですけど、悩ましいところは各メンバーとしては学術にも貢献したいという思いが強いんですね。そうなると、理論か実証をやりたくなる。ただ、実証をやると個々の論文としては実務への貢献が小さくなるというジレンマがあって、企画メンバー全員が『一橋ビジネスレビュー』に対して必ずしも強いコミットメントをしやすいわけではありません。 理想像——ターゲット層と顧客価値—— 次は、お客様への価値、社会的な価値をお話すると、ターゲット層は基本的には経営者の方、それからミドル以上のマネージャー層の方、いわゆる部長職以上の方、あるいは将来部長それから役員になっていくような方々が潜在的な顧客層だと捉えています。 ただ、国勢調査のデータから考えると、日本の中でターゲット層となり得る最大の数がだいたい500万人ぐらいなんです。その中で学術的なものに関心があって、かつ学び続けたいという意欲を持っていて、しかも本当に学ぼうとする行動を取っている方となると、たぶん多くて100万人、実質は50万人、肌感覚ではもっと少ないかもしれないと思っています。 顧客価値として目指すのは、経営の知的レベルを向上させることです。ただし、知的能力のうち短期的な情報やノウハウではなく、普遍性が高いところをお伝えしようというのが僕らが一番目指すところです。季刊にしている説明は、読者に3か月をかけてじっくりと読みこなしてほしいということです。 学術コミュニティにおける位置づけとしては、アウトリーチの活動になると思っています。学術コミュニティへの貢献にはあんまりウエイトを置いていないんですね。ただ、社会に伝えることで学術コミュニティに返ってくるものがあると思っていますので、それは後ほどお話したいと思います。 企業は人を育てないし、半数の従業員は自発的に学ばない 大きな悩みの予告になるんですけど、実質的な顧客層が少なくなってきています。経産省があおるために作った資料と言ってもいいのかなと思いますが、「未来人材ビジョン」で、日本の企業はあまり人を育てていないし、従業員もあまり自分で学んでいないことが問題として指摘されています。私自身も民間にいたので、肌感覚としてそうだよねと。どこの会社でもというわけではなく、組織による差が大きいなと思っています。いずれにせよ、学ぼうという意欲を持っている方は、たぶんビジネスパーソンの中で10%、20%だろうな、そういう意味で顧客層は少ないんだろうなと捉えています。 理想像——書き手としての大学研究者への価値—— 先ほど少しお話した学術コミュニティへの価値ですけれども、一つ大きい話をさせてください。私どもは社会科学をやっているわけで、社会を分析してそこから何か知見を得てということなんですが、社会科学の研究活動にはループがあるんじゃないかなと捉えています。 まず社会をどうやって眺めるんだろうか、人間の普遍の行動って何だろうかと理論を考える人たちがいて、その人たちが土なんですね。その土の上に、その理論が正しいのかを補強する実証の研究者が種を蒔いていって、その種が育っていく、芽が育っていくわけですね。芽が育っていくと、1個1個できあがっていた理論が体系化されて、それによって体系的な知識が編み上がる。その体系的な知識を社会に伝える人がいて、社会に伝えたことで、社会から体系的知識があったからこんなことがわかった、でもまだわからないところがあるよと反応がくることで、新しい理論研究や実証研究の種が生まれてくる。そういう循環があるんじゃないかなと思っています。 自分たちの研究成果を社会にいったん問うて、そうすると社会から反応が返ってくるわけです。あるいは私たちのフィールド使ってくださいって返ってくるわけですね。そういうのに繋がっていけばいいなと思っています。『一橋ビジネスレビュー』は、まさに社会に伝える役目によって、社会からこういう研究してみたらどうですかとか、こういうところが悩みなんですってフィードバックをもらう機会だと捉えています。これがある種の学術コミュニティへの価値なんじゃないかなと思っています。 もう一つ、細かいとこですけども、将来の実務家あるいは将来の研究者を育てるための素材として、教材として使ってほしい。このあたりが書き手の立場としての価値です。 単にアウトリーチということじゃなくて、教育の材料にもなるし、それによって関心を持ってもらって、企業さんからこんなデータを使っていいですよとか、うちの企業対象にやって分析していただいていいですよって言ってもらえるといいなと考えてやっています。 ターゲット層からの反応 ターゲット層からどれぐらい反応があるかですが、われわれの強力なコンペティターである『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』が2万部あるところ、私どもはさすがにそこまでではありません。私の調べ方が悪かったのかもしれませんが、苦しいのは図書館がほぼ買ってくれていないんですね[注:再調査の結果、200程度の大学図書館が購読継続中と判明(https://ci. nii. ac. jp/ncid/AA11479006#anc-library)]。一橋ビジネスレビューは書籍としての位置づけであり、雑誌ではないので、公立図書館にとっては定期購読の対象として買いにくいのかもしれません。 こたえるのは、Twitterでの反応ですね。見ると、毎号ほぼ数件程度なんですね。『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』は、少なくとも毎号2,30件あるんですよ。苦しいなというのが正直なとこです。 悩み①——理念に沿った記事を書ける人が限られている—— 次に悩みは、今の話と重なるところと重ならないところがあります。まず重ならないところでは、誰が書けるのかという問題があります。 われわれの理念としては、普遍性の高いもの、3か月で読み解いてもらうような骨太の経営の本質を捉えた、あるいは経営者にとってそれを知っておくことがすごく有益な情報を提供することを目指したいわけです。逆に言うと、短期的な話は『週刊ダイヤモンド』や『東洋経済』に任せるということを明確にしています。そういった理念に沿ったものを1記事だいたい1万5千字書かなくちゃいけない。 書くって大変なんですよ。研究者でも論文を書ける人は限られています。社会科学では、査読付きにせよ査読付きに近いクオリティの論文にせよ年間1本書いている方は全体の10%ぐらいかなという気がします。ごくわずかな人が多数の論文や書籍を出しているのが実態です。ただ、社会科学では日本に限らず、世界的にもロトカの法則なんて言われたりするんですよね。ざっくり言うと、2割の人が8割の成果を出すといった話です。 さらに、研究者としてやり込んでいる方が実務家にわかりやすく書けるかというと難しいんですね。ただ、私どもの経営学分野にはビジネススクールがありますので、そちらの教員の方だとすごく上手いんですが、純粋に研究だけされている方ですとつらいところもあります。 実務家の方だと書けるのかというと、これもまたかなり厳しいです。行政官の方は、いろんなファクトをご存知で面白いんですけれど、ポンチ絵の文化があって一貫性のある長い文章を必ずしも書く機会が多いわけではないので、1個1個の3000字ぐらいの塊としてはすごく面白いんですが、1万5千字書いたときに5つのバラバラな話がある形になることがあります。実務家の方も同じで、1ページに要約して箇条書きで書くことに慣れていらっしゃるので、キーワードは面白いんですけども、ロジックの繋がりがないのが目立ってしまうことがあります。 実務家の方にお願いするときは、それなりに編集者の手が入らないと厳しいというのが実態ですし、企画時にこういう内容でどうですかと綿密な打ち合わせをして詰めていくことが多いです。もちろん例外もあって、実務の方でもすごく面白い文章を書ける方もいらっしゃいます。とくに行政官の方がそうです。そういう方をいかにうまく繋がりの中で見つけ出すかが勝負になっています。 悩み②——大学に対する規範的要請、政策的要請—— 書き手の半分ぐらいは研究者ですので、大学の研究者の側から今の状況を見ると、当然若手にはいかに論文をたくさん書くかという意識があります。ただ、publish or perish、書かないとクビになるぞみたいな話は日本だとそこまでないんですよ。なぜかというと、経営学では博士課程の修了生に比べて教員枠の空きがあります。これはクオリティのある博士課程の修了生に比べると教員枠が大きいという意味ですよ。だから、そんなに論文を頑張って書かなくてもいいんですが、そうは言っても書いてないと駄目だよねという認識が僕らの中で共有されてきています。 もう一つ、私ども個別の事情ですけれども、一橋大学は指定国立大学法人になって、英文査読付き論文を書きましょうという要請があります。現状厳しいところもありますが、英文査読付き論文を書いて、しかも引用された数が多いと給与が増える状況です。 さらに、部局レベルでも、イノベーション研究センターが所属しているのが経営管理研究科、商学部で、そちらがビジネススクールとしての国際認証を受けるようになりましたので、国際基準として英文査読付き論文を書かなくちゃいけないんです。ただし、5年に1本でいいですし、あんまり高い質じゃなくてもいい。海外トップジャーナルに載せろという話ではないんですね。国際的なビジネススクールの認証はバランスが取れていて、ビジネススクールなんだから論文への貢献、学術コミュニティへの貢献ばっかりしていてもしょうがないと書いてあるわけですよ。この点からすれば、英文査読付き論文を書く強い要請があるわけじゃないんです。 そうは言っても、とくに若手の認識は、経営学の研究はアメリカ、ヨーロッパ全般、中国、インド、韓国、台湾で活発に研究が積み重ねられている、それにキャッチアップしたい、自分たちも発信をしないといけない、英文の査読付き論文が大事なんじゃないかといったところだろうと思います。ただ、英文査読付き論文を書くのはすごく大変なんですね。1本書き上げて、査読を頑張って通すのに、1000時間とか1500時間とか投入していることもあるかもしれません。そうなると、実務家に貢献するアウトリーチの記事を書く時間はどうしても削られるんですよ。そこが研究者の立場としては大きな悩みです。 総論としての悩み——社会科学分野での特定大学の学術誌の立ち位置の難しさ—— 最後に、大学レベル、部局レベルの経営目線の話をしてまとめにしたいと思います。社会科学分野で、大学としてあるいは部局として学術誌を持つ立ち位置の難しさがあります。 研究成果のアウトリーチなら、とくに社会科学だったら、書籍を書いた方が本当はいいわけです。そういう意味では、ビジネス誌は中途半端であるかもしれません。ただ、唯一の救いは、書籍を書くのはすごく大変ですが、書籍を書けるレベルの、しかも一般に受けるような書籍を書けるのかどうかのテストの場として、この『一橋ビジネスレビュー』が機能しています。ただ、他のインターネット記事、『東洋経済オンライン』や『プレジデントオンライン』、noteやブログに負けかねないところがあって、そこは悩みです。編集者さんが入って、しかも企画の目が入って、クオリティコントロールがされて、トレーニングの場があるところが一つの価値かなと思います。ただ非常に脆弱な価値である可能性が残されています。 研究成果発表の場だったら、当然海外の査読付き論文にした方がいいわけですし、しかも、海外査読付き論文誌は今無数に出ています。経営学のそこそこのクオリティのものだけでも、たぶん100誌とかあるわけです。だから、変なことを書いてもけっこう通るわけですよ。国内学術誌よりも通りやすい場合もあるわけです。国内学術誌の方がよっぽどまともな査読をしているケースもあります。さらにいうと、プリントサーバーもあって、それでも十分というところです。だから、研究成果発表の場としては苦しい立ち位置にあると思っています。 若手育成の場だったら、国内学術誌が、とくに社会科学ですとその役割を頑張っています。一橋大学の商学部として紀要を持っていまして、そちらは院生のためのものとして機能はしているんですが、指導教員の立場としてはそれより学会で発表して、ドクトラル・コンソーシアムに出てもらうことをより意識しています。ドクトラル・コンソーシアムという博士が論文を書くためのトレーニングの特別な場があるんですね。しかも、海外学術誌や海外学会の方がこのような活動に熱心な場合もあります。 だから、私どもの分野だったら、学内誌としてはアウトリーチで勝負するしかないというのが実態です。 総論としての悩み——限られた資源をどう配分するか?—— これもやはり経営者目線での悩みは、資源が限られていることです。教員も事務職も支援の方々もみんな時間がないなかで、どう時間を配分すれば投下した時間に対して得られるリターンが大きいのかを意識しなくちゃいけないわけです。とくに注意しなくちゃいけないのは、苦しくなってくるとみんな新しいことやろうとするんですね。実はそういう研究があります。問題が起こって困ったときに人はどういう行動をとるかというと、基本的に解決策というか新しいことを足していくんです。足していくとどうなるかというと、忙しいので質が下がって、さらに悪くなっていく悪循環に陥るんですね。アウトリーチ活動もそうですし、学術誌を出すことがそうなりがちなところがあって、そこが悩みではあります。 私からの話題提供は以上ですが、最後に参考までにご紹介します。お客様への価値は実際どれぐらい伝わっているのか、『一橋ビジネスレビュー』のデータはお見せできないので、研究イノベーション学会の学術誌『研究技術計画』のダウンロード数を公表データから頑張って集計しました。 「研究ノート」や「研究論文」は研究者による査読付き論文、ビジネスレポートを除くと、それ以外は特集論文という企画意図を持って集めた原稿です。『一橋ビジネスレビュー』よりもうちょっと学術論文寄りですが、ほぼ同じような立ち位置です。研究者、大学の実務家、企業の実務家によるものがあります。ダウンロード数が多いのは基本的に、研究者の手による論文、しかも特集記事ですね。時代を捉えたもので、かつ俯瞰的なレビュー的なものが比較的ダウンロードされやすく、読んでもらいやすい。2020年、その次の年も、前の年もそうでした。この年は実は実務家の方の原稿が上がってきませんでした。高橋先生と私が書いた論文がトップで、その他はやっぱりレビュー系ですね、あるいはEVとかパワー半導体もEVにかかるとこですけども、時代を捉えたテーマで、研究者が書いていると読んでもらえるということが『研究技術計画』ではわかっています。 どういう立ち位置がいいのかは、このあたりがヒントになるのかなと思っています。私からの話題の話題提供は以上です。 〈質疑応答〉 Q1:若手研究者によるインタビュー機会 質問者1—理念に沿った記事では、実務家にインタビューする機会を若手研究者にすることで、なんとかならないものでしょうか? 吉岡—これはおっしゃる通りで、この実務家の記事も実は私がインタビューしています。インタビューして、私が起こして、それをお渡しして手直ししていただきました。私にとってもいい勉強になりました。クオリティを保つと同時に、やる側にとってもモチベーションなりますし、例えば博士課程の学生さんで、この分野の有名な方にお話聞きたいというのがあれば、インタビューをベースにしたご本人の記事という形にして書くこともあります。 質問者1—よくわかりました。経営学で実証分析などをやって、どんどん英文ジャーナルに論文を出さなきゃいけない若手も、いずれインタビューなどに基づいたところからいろいろ知見を得てまたというサイクルを作り出していけるようになってほしいなと、自分ができなかったことを若手に託して、若いうちにそういう経験をする機会を組織的に作れれば非常にいいことではないかなと思った次第です。 吉岡—ありがとうございます。経営学の今の必要事項を的確に捉えていらっしゃって、経営学の研究では、データをぶん回してこんな結果が出ましただけだと足りなくなってきているのが実態だと思うんですね。経営の中で本当にその問題を正しく捉えているのか、場合によっては定量分析と綿密な定性的調査を組み合わせた論文でないと評価されにくいこともありますので、若手にとって企業の中に入り込んでいくための機会として、これをうまく使うのはすごく大事だと思います。 Q2:オープンアクセス 質問者2—大学紀要の傾向として、リポジトリ搭載などバックナンバーのオープンアクセス化の動きがありますが、商業誌でもある貴誌でその種の知的アーカイブ化については検討されていますか。 吉岡—オープンアクセスはさすがに商業誌では難しいんですよね。東洋経済さんに入っていただいているので、買ってくださいとしか言えないのが実態です。ただ、裏をお話しすると、研究論文に関しては、東洋経済社さんから執筆原稿料をいただけるんですね。その原稿料をオープンアクセス料に充てることができるので、研究論文のオープンアクセスに間接的には繋がると思います。痛いところを突かれたなと思います。 原田—誰向けか、雑誌の傾向の問題だと思います。学術誌では、例えば年会費を払っている学会員以外でもすぐ見られるケースがあります。学会員のモチベーションに投稿したい、そしてそれを読んでもらいたいというのがある、つまりコストを負担する人に読んでもらいたいという思いがあるんでいいんですけど、商業誌、学術的な価値プラスアルファがある雑誌において、そういうモチベーションが機能しづらいのかなと思っています。 私自身の個人的な感想は、安すぎないかというのが一つ。一橋大学の先生方の知見に触れるのでも、理系だったら例えば材料を提供して良かったら共同研究の形で発表するけれど、『一橋ビジネスレビュー』を読んだ人が30万払うからケーススタディ買いますといった行動に移るかという問題を考えています。そのあたりは人文社会系の研究成果の繋がり方として難しいなとちょっと思います。 天野—オープンアクセス化について補足のコメントです。ハーバード大学は世界的にもオープンアクセスを主導してきた大学なんですけれども、ハーバードの中でもやっぱり『ハーバードビジネスレビュー』だけは別物の扱いだとオープンアクセスの担当者が言っていました。例えば京大でも、『法学論叢』は商業的なデータベースに載っていますので、そういうやり方もありなのかなと思っています。 吉岡—そうですね、『ハーバードビジネスレビュー』は相当バリューがあってかなりグローバルに売れているんですよね。『法学論叢』も、私はバックグランド法学なのでよくわかりますが、実務家は必ず買いますので。確かにあれは経済圏が成り立っていますから、わかります。 天野—オープンアクセスは進めないといけないけれど、別の方向に行くジャーナルがあってもいいかなと。 原田—学術発信やアウトリーチをやることには誰も反対しないんですけど、そのためのコスト、他の活動との兼ね合いだと思うんですね。誰がそれを負担するか、それを残すために何を犠牲にするかかなという気がしていますけど、それを何とか解決したいです。 私は『一橋ビジネスレビュー』読む方だと思っています。例えば『組織科学』は、私は読めないんですね、内容的に。研究者以外はたぶん読めないと思うんですね。日本の学会誌としては相当ハードル高い。そんな中で『一橋ビジネスレビュー』は読んでためになっていると思うし、『一橋ビジネスレビュー』を読んでいる自分に救われるところがあるんです。個人的には存続して欲しいんですけど、アウトリーチ活動が教員の人たちにどう評価されているのかなと思っています。アウトリーチ活動は研究活動とは違うけれど、社会に対して発信するが大学の本質的使命ならば、何らかの形で業績としてカウントしないとおかしいと思っています。 吉岡—業績評価で言うと、現状は一応評価されています。ただ、指定国立になってからは、やっぱ査読付き論文だよねというところがありまして、悩ましいんですね。 おっしゃったように、まさに学術誌で書いた論文、例えば自分が書いた論文をわかりやすく解説する、例えばこんな実務の話がありましたよと事例も交えて解説する立ち位置ですので、原田さんのような読者が増えると嬉しいなと思っています。 原田—ただ一方で、今の所属大学は評価するかもしれませんが、流動することを前提にしたときの個人への評価は別です。あるヨーロッパの大学が独自評価指標を作ったときに若手がすごく反対した。なぜかというと、ジョブマーケットの評価と自分の大学の評価が違うと困るからという話を聞いたことがあるんです。学問の多様性と言いながらダブルスタンダード的なところあるのかな、教員は悩んでいるんじゃないかなと勝手に思っています。 吉岡—その点は、『一橋ビジネスレビュー』に書くもう一つの動機としてありえることで、実は私立の大学へ行きたい方にはすごくいいんですね。アウトリーチなので、わかりやすく書けるかどうかが問われます。わかりやすく書いて、わかりやすく授業をしなくちゃいけないのは、比較的マスプロの授業をやっていらっしゃる大規模私立大学とか、あるいは比較的学力が高くない学生さんが行くような大学です。『一橋ビジネスレビュー』で書ける人っていいわけですよね。そこの就職活動にすごく使えるのではないかと思っています。 Q3:クオリティコントロール 質問者3—学術出版の方も多数参加されているので、メディアの違いと特性と分野特性について補足をした方がよいかと思ったので、コメントさせていただきます。 世界のグローバルスタンダードの学術誌に論文を出す競争には、補助線を1本引かなきゃいけない。いわゆる原著論文とレビュー論文です。若手の頃は原著論文を書いて一定のクオリティのもので戦って世界で示すことが必要なんですが、学会でのある一定の基準を満たしたら、レビュー論文を書いて引用されることも一つの業績競争になってきます。計量書誌学をやっていますと、一般にレビュー論文の方が引用数が多く、とくに社会科学で顕著ですが、一流誌のレビュー論文の引用数が圧倒的に高いことがあります。そこに書けること自体が一つのステイタスで、経営学は世界への標準化が進んでいる分野なので世界競争に準拠しているんですが、世界競争に入ってない社会学寄りになると、査読の付いていない依頼論文の方が偉いという国内誌のロジックも併存しています。さらに、法律学などでは、商業出版のエコシステムの中でレピュテーションシステムがあり、質の担保として、プロフェッショナルな編集者が介在することによって学術誌よりもクオリティが上がっている現実があるわけですよね。 それを一緒くたに指定国立になったから原著論文がよいとなって、補食ジャーナルなのかオープンアクセスジャーナルなのかよくわからないけど、インパクトファクターはついているところと、今まで日本国内で日本語の出版文化を維持してきたところとのバランスをどうとったらいいんだろうという状況が生まれてきていると思います。 吉岡先生は法律学からスタートしていてそのあたりの感覚も全部ご存知だと思うので、そういう違いもある中でどう考えているのかを聞かせていただけると助かります。 吉岡—おっしゃる通りで、法律ですと、裁判官の方、弁護士の方はプロですので、そういう方々が読んで、ある種ピアレビューよりも厳しい、読者としてボコボコに批判して、場合にはその人たちが自ら著者として乗り込んできて、こんな糞みたいなこと言ってるけどおかしいということがあり得て、そこでもまれるエコシステムがあります。 経営学も本来はそうあるべきだと思うんですね。経営学の中で、とくに実証研究ですと、本来はフィールドを持ってる方々(=産業界)が強いはずなんですよ。例えば、社員で実験しました、あるいはお客さんに対して実験しましたというと、より説得性が高いわけです。少なくともその顧客層の中では正しいんだということになります。私どもは商業誌としてうまく成り立っている面はあります。商業コミュニティの商業誌として出していて、商業コミュニティの中で十分にクオリティコントロールがなされていると思います。ここが、実務家の方にも求められている分野なのかどうかで、分かれてくるのかなと思いました。 でも、同じことが理系でも言えると思うんです。理系でも企業の研究者が多い分野ですと、商業ベースでも成り立ちうるんじゃないかなと思うんですけれども。それぞれの学術分野の違いもあるのかもしれませんが。 Q4:大学が出版機能を持つ意義 原田—大学出版さんも多く参加していますし、そもそも大学が出版機能を持つということについて、ぜひご意見をいただきたいですね。いろんな媒体があり、外部の雑誌もあるなか、大学が出版する意義があるとお考えでしょうか? 気軽に頼めるとか安いとかは別にして、大学が出版機能を持つ、大学がリードして発信することの現代的意義は大事かと思っています。紀要はたぶん今増えています。ハードルが下がったのかもしれません。ただ、経済学部とか、商学部とかわかりやすいんじゃなくて、学部が多様化して学問分類されていなくて、紀要も学問体系的でなくていろいろな研究が集まっている状況で、大学が出版機能を持つ意義って何なんだろうというのに、ぜひ吉岡さんのご意見をお願いします。 吉岡—他にいただいている質問「一つの方向性として、video abstractなどを取り入れてミスクトメディア的に展開する可能性もあったりするのでしょうか? 読者層的に」を混ぜながらお答えしたいと思います。 私の感覚からすると一番大事なのは、クオリティコントロールです。成果はリニアモデルじゃないと思うんですよ。リニアに出していくのは、原著論文で頑張りなさいと。ただ、原著論文もレビューアーとの創発なんですけどね、本当は。社会に問うていくんだったら、編集者や企画をする人たちとの創発性が必要です。一般書籍として売るんだったらなおさらそうだと思います。読者が何を求めているかを意識して書かないと、読んでもらえなくなってしまうので。大学が出版機能を持つことがいいのか悪いのかの本質は、そういう人たちを抱えられるかどうかによると思うんですね。法律分野のように、有斐閣さんという明確にそういう機能を持っている会社があるならもうそれでいいし、なければ自分たちで抱える必要あるかもしれない。そこが中心だと思います。 ただ、果たして出版だけなのかと。とくにビデオ・アブストラクト、映像でやったらいいんじゃないかと。大学教員だった方が、ご事情があって大学をお辞めになって、オンラインでビジネス研究を簡単に伝えるビデオを作ってらっしゃいます。そんなにたくさんの視聴者を抱えているわけではないんですけれども。YouTubeを使って無料で配信して、それを塾と結びつけて、そちらで収益性を担保されています。そういう形でアウトリーチするのも一つの手で、それも同じようにクオリティコントロールができるのであれば、それはそれで決して悪くはない。 出版機能を持つべきかは、悩ましいところがあります。ただし、繰り返しますが、私自身はプロフェッショナルな編集者の役割は相当大きいと思います。かなり鍛えられると。私自身もかなり鍛え上げていただいているので。その役割は捨てがたいんじゃないかな。 もちろんビデオの方も映像監督やプロデューサーの方々が入ることで、鍛えられるかもしれないなと思うんですけども、とりあえず映像よりは、論文を書く研究者としては、文字が書ける方がいいので、学術出版にまだ分があるかなって気はしています。 原田—上質な学術誌という言い方もあると思います。変な情報、悪貨が良貨を駆逐する、にはなってほしくないので、市場価値が少ないものでも発信していく機能をもし大学に担っていただけるならば、意義があると思います。一流の研究者が学術コミュニティだけで発信していると、変な社会科学の持論が普及しちゃうなと最近とくに心の中で感じています。 Q5:バーチャル特集等 質問者4—日本語である時点で教育的役割が重要で、かつ普遍性を重視することから、過去記事をまとめたバーチャル特集号等を組めると思います。その一部をオープンアクセス化してVisibilityをあげられればベターです。 吉岡—日本語なので、おっしゃる通りで、教育か社会に対して伝える役目があるのは当然そうです。日本語でわざわざやるならそっちが大事なわけですよね。過去記事をまとめたバーチャル特集号とか、例えば書籍に再編するとか、そういったことは大事だと思います。これは私どもの課題ですね。 Q6:プレゼン能力と文章力 質問者5—[教員として所属している]大学の教育においては、文章力もさることながら、制限時間内に手際よく資料を説明するプレゼン力や起承転結を持ったPPT資料作成能力が問われるように思います。文章力は確かに他のメディアに対するプレゼン力にも汎用されるかもしれませんが、そのあたりいかがでしょうか。なお、前職に在籍していた時に委託調査の報告書をスライドPDFで納品してくる業者(文章を書かないでプレゼン資料だけで報告書とする業者)が結構多くて、正直呆れました。現在における「文章力」とは何か、ということを考えさせられます。 吉岡—おっしゃる通りで、教育において学生さんに何を持って帰ってもらうかなんですけれども、非常に理解力の高い学生を除くと、体系を持ち帰るのは難しいんじゃないかなという肌感覚を持っています。ビジネススクールの方々においても同様です。ほとんどの方は「三つ大事な点を持って帰ってくださいね」の三つぐらいを持って帰ると。限られた方が、こういう因果関係のシステムなんだっていうことを持って帰るのがたぶん実態なんですね。 三つ大事なことの一つとして、わかりやすくて腑に落ちて、心を動かすようなプレゼン資料を作る技能が求められるのはそうだろうなと思います。 問題は、それをばっかりをやってしまうと、段々ロジカルに書けなくなって体系を書けなくなってくることだと思います。そこに因果関係が本当にあるかどうかの検証が必要なんですけれども、肌感覚としては段々書けなくなるよなと。キャッチーなことを言って、バラっバラっバラっと言って終わるんだろうなって思っています。 Q7:出版の見えにくいコスト 原田—出版のコストが下がっているのか、上がっているのか、わからないところあるんですけど、大学に関する出版には見えないコストが相当あると僕は思っています。その部分について考慮されないのが非常に問題だと思っているんですけど、なぜこういう問題起きるのか、そのあたり何かありますか? 2年前のこのセミナー参加された方に聞いたのですが、ある紀要はバーチャルの編集会でやっていたものを、労務管理の問題があるので部局の仕事にしたんですね。その結果、事務支援員さんの残業もなく、業務時間内に終わる内容でやっていると。バーチャルだと見えないこともあったのかなと思います。よく言えばボランタリーとか、血と汗とか、こういう経営的な問題はどうお考えでしょうか? 吉岡—おっしゃる通りで、『一橋ビジネスレビュー』でも担当する企画委員になって企画するときは、やっぱり時間がかかるわけですよ。私の担当のケースですと、だいたい100時間ちょっとかけました。 さらに、執筆者の方々がそれぞれ時間をかけているわけですよね。バーチャルでやってしまうと、なんとなくそれがかからない、コストが見えにくいっていうのは、それはもう本当その通りです。フィジカルにやった方がreturn on investmentが考えやすいというのはあります。
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### 【開催案内】研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/2/3(金) 18:30‐19:30 講演者:吉岡(小林)徹 氏(一橋大学)
- Published: 2023-01-26
- Modified: 2023-01-26
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2023/01/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%80%8c%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%81%a7%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%82%92%e8%b6%85-2/
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【開催案内】研究・イノベーション学会大学経営研究懇談会 オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」2023/2/3(金) 18:30‐19:30 講演者:吉岡(小林)徹 氏(一橋大学) 詳細は下記よりご参照ください。 https://www. jsrpim-daigakukeiei. jp/post/【開催案内】2-3-オンライン研究会「大学が学術出版をする意義と方向性(1)」 1.開催日時 2023/2/3(金) 18:30‐19:30 オンライン開催 2.講演者 吉岡(小林)徹 氏 一橋大学大学院経営管理研究科 経営管理専攻 専任講師 一橋大学イノベーション研究センター 専任講師 3. 参加申込 次の入力フォームに必要事項をご入力ください。(参加費:無料) https://forms. office. com/r/kkfKQ5MaPw 4.問い合わせ先 研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会 幹事 原田 隆 harada-takashi@tokodai01. onmicrosoft. com 研究者の社会的使命は、学術研究の発展に貢献することです。研究者にとって学術論文や学術書(以下「学術論文等」)で研究成果を発表することは、代表的な、そして最も大切な責務とっても過言ではありません。そして、この研究成果の普及と批判的な考察において重要な役割を担っているのが学術論文や学術書です。学術論文等の出版により研究成果は広く社会に還元され、同時に専門家による批判的考察が行われます。学術論文等について考えることは、責任ある研究のあり方について考えることでもあります。 上記のような認識のもと研究・イノベーション学会「大学経営研究懇談会」では定期的に大学が出版機能を担う意義について考えてまいります。第1回目は、商業雑誌である「一橋ビジネスレビュー」を題材にして ・学術研究の社会還元のあり方 ・学術コミュニケーションのコスト、ベネフット、アウトカム ・大学の果たすべき役割 について参加者とディスカッションしたいと考えます。 共催:紀要編集者ネットワーク 本研究会は次の支援を受けております。 科研費 若手研究(研究代表者:新潟大学 白川展之准教授) 「大学評価への計量書誌指標の導入のもたらす社会科学研究への逆機能性に関する研究」(19K14279、期間:2019. 04. 01–2023. 03. 31)
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### 【開催案内】「ネットワークで実現する組織を超えた研究支援」2022/8/28(日)オンライン
- Published: 2022-08-19
- Modified: 2022-08-19
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/08/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%80%8c%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%81%a7%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%82%92%e8%b6%85/
- Categories: news
【開催案内】研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会「ネットワークで実現する組織を超えた研究支援」 日時:2022年8月28日(日)14時00分~15時30分(オンライン開催) 詳細は下記よりご参照ください。 https://www. jsrpim-daigakukeiei. jp/post/2022-8-28-event 紀要編集者ネットワークからは、今年度より始めたDOAJ(Directory of Open Access Journals)への登録支援活動について紹介させていただく予定でおります。
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### テーマ討論および質疑応答
- Published: 2022-03-02
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/2021-10-29-discussion/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション
北田智久、伊藤貴之、梅⽥拓也、今関裕太、宮野公樹、林和弘、原田隆、天野絵里子
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2022/02/seminar2021-10-29/ 北田智久(近畿大学 経営学部 会計学科 講師) 伊藤貴之(お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 教授) 梅⽥拓也(同志社⼥⼦⼤学 学芸学部 メディア創造学科 助教) 今関裕太(江⼾川⼤学 基礎・教養教育センター 助教) 宮野公樹(京都大学 学際融合教育研究推進センター 准教授) 林和弘(文部科学省科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室 室長) 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 天野絵里子(京都大学 リサーチ・アドミニストレーター) 天野—ディスカッションと質疑応答に移りたいと思います。今回、それぞれの雑誌について詳しくご説明いただいたので、登壇者間でお互いに訊いてみたいことやコメントがあるかと思いますが、いかがでしょうか。 クラウドファンディングのリターン 北田—『メディウム』の梅田先生と今関先生に質問です。クラウドファンディングのリターンにはどういったものを設定されていたのでしょうか? 梅田—リターンとして設定していたのは、まずは完成した雑誌『メディウム』です。クラウドファンディングのプロジェクトページを画面共有させていただきます。これがプロジェクトのページで、金額はアカデミスト社さんのアドバイスで、1000円、3000円、5000円、1万円、2万円、5万円という区切りにしました。1000円のリワードは創刊の過程を細かく書いた活動報告レポート、3000円はこれと第1号の創刊号に謝辞を載せるというもの、5000円はそれに加えて完成した第1号1冊とファングッズ的なステッカー、1万円はさらに創刊号完成記念研究会に優先で招待させていただくというものでした。2万円はこれに第5号まで加える、5万円は企業様などのサポーターを想定しながら広告掲載を載せますとしました。ただ、5万円は0人だったんですけれども。でも、19人のサポーターの方から2万円の支援をいただきました。いまお見せしたプロジェクトページは、「メディウム クラウドファンディング」とGoogleで検索するとヒットするので、さらに詳細がお知りになりたい場合は、ぜひ検索していただければと思います。 北田—ちなみに、サポーターはお知り合いの方ですか?それとも全然知らない方がサポートしてくれますか? 今関—もちろん知り合いも多く支援してくださったんですが、まったく知らない方、プログラマーの方とか、エンジニアの方とか、アカデミアとあまり関わりのないような方もたまたまTwitterなどで見つけて支援してくださって、そのあと研究会にも来てくださったという方もいらっしゃって、そこは私たちも嬉しいとともに驚いたことでもありました。 『メディウム』の購買者層 天野—設楽さんから質問です。「それぞれの雑誌にターゲットがあると思います。『メディウム』のターゲットはまずは人文系の研究者だと思うんですが、オンラインで販売されているので実際に人文系の研究者が多かったなど購読者層がわかりますか?」 梅田—買っている人の属性を把捉しきれていません。ただ、支援してくださった方は身分を明かしてくださった方が多くて、具体的な数値は出していないんですが、大学に所属されている芸術系の方や思想系の方や語学系の方も買われている印象でした。ターゲットにちゃんと刺さっているのではないかと思います。研究会などのときも、アカデミアの外の実践者といった方も来られるんですが、加えて若手の研究者の方も来てくださるので、そういう層にリーチしていると認識しています。今関さん、補足等ありますか。 今関—オンラインでの販売はお名前など書いていただかないので把握しきれていないんですが、クラウドファンディングや研究会の参加者ですと、職業として目立つのは人文系の大学教員、研究者以外ですとプログラマーと書かれている方が多かった印象です。 天野—想定外ですよね? 梅田—意外と狙っていました。第1号で特集したのはフリードリヒ・キットラーという思想家で、僕の直接の専門の研究者なんですけど、哲学やドイツ文学が専門でありながら、プログラミングに非常に長けた人で、思想とある種の実践をうまく組み合わせることを図っていた人だったので、人文知と電算機科学の知を重ねることに関心を持っている方がかなり来られました。そういうネットワークを増やしたいなと思っていたところ、狙いどおり刺さってくれる方がいらして、すごくよかったですね。 天野—狙いどおりだとわかるというのは、雑誌の発行以外に研究会もされたからなのかなと思いました。 雑誌創刊のきっかけ 天野—私から皆さんに質問です。それぞれに雑誌を出した理由をご説明いただきましたが、そのユニークな取り組みを誰か「よし、やろう」と言い始めたきっかけはどういう感じだったのでしょうか? このセッションを聞かれている方の中で、アイデアを持っているんだけど、実現させるのは大変だなと思われている方がいらしたら、そういう話を聞くとハードルが低くなるんじゃないかなと思うんです。 北田—お世話になっている先輩と飲みにいった席で、先輩がこういうことをやりたい、自分が編集委員長をするから、副編集委員長を頼むっていうので始まりました。もともと既存研究の追試自体に価値があり、非常に重要だと我々は共通の問題意識として認識していましたが、きっかけはその飲み会の場です。 伊藤—我々は会員百人、二百人ぐらいの小さい学会からスタートしたものですから、経費を抑えるために、最初から紙で発行しないという意識はありました。もともと紙よりも画面と相性がいい分野という事情もありました。それから、僕が初代編集委員長になったときに感じたのは、この分野は筆頭著者が学生である割合が際立って高いということです。学生は卒業するまでの時間が限られているので、早く出版できる雑誌が欲しいというのを非常に強く感じました。早く出版できるのもデジタル化のメリットの一つだと思っています。 梅田—東京大学の大学院にいたときに、僕は文学とか哲学をやっているメディア研究者を読むっていうことをやっていて、今関さんは文学研究の立場でメディア論を読むっていうのをやっておられて、かなり近接した領域だったので読書会を一緒にやっていました。そのなかで、投稿先ないよねっていう話になり、じゃあ作ればいいんじゃないっていう流れで作ることになりました。大雑把に言うとそういう感じですかね。加えて何かあれば、今関さん。 今関—一言つけ加えると、いざ作ってみて、投稿先ができたと思いきや、自分たちで運営している雑誌に自分の論文を査読つきとして載せられないじゃないかと。カテゴリーを査読ありの論文、審査ありの試論、レビュー、翻訳って分けて、自分たちで翻訳や試論を載せてはいるんですが、自分たちの査読論文を載せることはできないので、引き継いでくれる方に早く引き継いで、投稿者の側にまわりたいっていう気持ちがすごくあります(笑)。 商業誌の新しい試み 天野—今このセッションを聞かれている皆さまの中で、自分たちはこういう面白い試みで新しい雑誌を出しているよとお話しいただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ手を挙げてお願いしたいと思うんですけれども、どなたかいらっしゃいますでしょうか。 原田—会計学や法学などは「制度」を研究対象としていることもあり個別の法律や基準の内容や改定された背景の解説が掲載される商業誌が研究者にたくさん読まれ引用されています。会計学で権威のある『企業会計』という中央経済社が出している商業誌がありますが、数年前から査読付き論文を募集しています。カンファレンスも開催するなど商業誌も変容してきているなという印象を持っています(注1)。 注1 「『企業会計』査読付き論文コーナー創設にあたって」中央経済社 企業会計の査読付き論文コーナー、https://www. chuokeizai. co. jp/acc-pr (accessed 2022-02-20)。 『といとうとい』 天野—実は後ろに貼ってあるポスターは、『といとうとい』という京都大学の宮野先生が中心になって最近出された学際研究の雑誌のものなんです。宮野さん、よろしければご紹介いただけたら。 宮野—ありがたいな、『といとうとい』のポスターを貼っていただいて。ありがとうございます。先ほどの「投稿する先がないな、じゃあ作ろうか」っていうのと同じ発想です。僕も学際とか分野融合のあたりで仕事をしていまして、学際って学問本来の性質だと思うんですよね。そもそも僕ら研究者の問いは、◯◯学とか◯◯分野に収まるものじゃないわけですよね。問いに正直になることが学問なんです。だから、問いをそのままぶつけられる論文誌——論考誌って言ってますけど——は、学問そのものの論考誌になるわけです。今までそういうのがなかったんで、僕らこういうのを作りたいんだよってことをお示ししたいなと思って、寄稿を依頼して8名の研究者の人たちに書いてもらってVol. 0、準備号ができました。いよいよVol. 1、創刊号を2022年度に作ろうと思ってます。 手短に特徴を三つだけ。一つ目は、理系ではわりとメジャーになりましたが、査読者とのやり取りをすべて公開するということ。二つ目は、やっぱり学問の雑誌なんで、言葉とか、論理とか、データとか、それそのものも疑うって大事だなと思ってて、その言葉で伝えられない何かを表現するために、アートディレクションというか、写真と一緒に論文を掲載したりしてると。三つ目が、分野を問わず、投稿を受け付けるということです。注意したいのは、「学際研究」の掲載じゃない。分野を問わないってことであって、いわゆる学際研究の専門誌ではないってことですわ。なお、Amazonでも売ってるし、一般書店、大学生協なんかでも売ってるし、頑張ってます。皆さんにご関心を持っていただけたらありがたいと思ってます。 査読 天野—宮野さん、ありがとうございます。査読の話があったんですけれども、各学問分野が抱えている問題、再現性であるとかの問題を解決したいという思いで、論文の裏側にあるプロセスを変えていこうという強い意志がそれぞれの雑誌でおありだと思います。今はこうだけれども、もっとこういうふうにしていきたいんだっていうことなどありますでしょうか? 梅田—いま、『といとうとい』のサイトを拝見させていただいたんですけど、査読プロセスを全部公開する取り組みをされるとのことで、すごくうらやましいなって思って。まだ体制が整っていなくて、制度の検討もちゃんとできていないんですけど、僕も、査読のプロセスを全部公開できるようにしたいなと思っています。というのも、立派な学術誌でも、若手のあいだで送られてきたレビューを見ていると、査読者の無理解による講評としか思えないことやハラスメンタルなことが書いてあったりするので、査読がクオリティチェックの機能を果たしていないという問題意識を持っています。とくに僕みたいに領域横断的な分野にいると、境界的な問題関心は理解されないっていう意識が強くなります。 投稿する側も、読む側も、査読があるから大丈夫っていう結論になってしまっているのがすごく問題だなと思っています。そうじゃなくて、マインドセットごと変えて、査読プロセスがオープンになっているからこそ信用できる、推奨できるんだっていうかたちにしていくべきなんじゃないかと思っていて、すごく面白い取り組みだと思いました。だから、『といとうとい』で、オープンにするにあたって、制度的に何か問題が発生した点、考慮した点があったら、教えてほしいなと思いました。 宮野—「査読って何?」っていう問いを持ったら、おっしゃるとおり公開するしかないですね。理系では査読前の状態、情報をプレプリントサーバーに出して、みんなでもんで、それを査読付きの雑誌に投稿にするのがどんどんメジャー化してますけど、査読したからといって、その論文がいいとも限らないし。『ネイチャー』でも『サイエンス』でも、取り下げの論文がいっぱいあるんでね。 『といとうとい』では、論文を書く前にコンセプトペーパー、短いショートエッセイを書いてもらって、それで掲載するかどうかを編集委員——査読者とは言ってません——がみんなで決めて、そのままそれを100人論文(注1)みたいな場所にぽっと出して、いろんな人にもんでもらおうと思って。投稿したあとも、メッセージをやり取りできるサイトをずっと残しとこうと思ってて。あとは歴史が見てくれるんでね。誰が何を最初に言ったかが大事だと思ってるんで。厳密に言うと、それも意味のないことですけどね。 梅田—投げて終わり、業績稼いで終わりじゃなくて、投稿されたあとも議論が続くのが、そこからちゃんと議論がスタートしていくのがすごく理想的というか、いいなと思います。 注2 京都大学で始まった、先端的な研究テーマや、これから研究になるかもしれない芽を100近く掲示する展示企画。http://www. cpier. kyoto-u. ac. jp/project/kyoto-u-100-papers/ 定量評価に対するスタンス 天野—このあたりで最初の問いに戻っておこうと思います。皆さんそれぞれに媒体を作って論文などを発表されていますが、それはジャーナルインパクトファクターなどの定量評価に対するチャレンジなのか、それとも、それはそれとして、こっちはこっちでやってるよということなのか、そのあたりのことを教えていただきたいなと思います。 伊藤—私は完全にそれはそれ、これはこれでいます。とくに情報科学では、学生なら和文の論文も業績として認められる場面があるけれど、プロの研究者はほとんど英文しか業績として見られない傾向が強いんです。一方で、修士で就職して企業の研究所の開発にいくような人が、論文を書く層としてすごく厚い分野なんです。修士で就職する人の中には和文で論文を出す人も多く、一方でプロの研究者として一流になる人は世界に挑戦するというツーウェイになっています。だから、和文も英文も同時に労力をかける人が多数います。 北田—会計では、おそらく経営学でもそうかと思うんですけど、就職するときでも、国内の雑誌が十分に評価されています。逆に、日本の研究者が海外の雑誌になかなか掲載できていないという問題はあります。とくに若手の人は自らの研究を行う上で、過去の研究の追試をやることが多いと思います。そういう人たちが追試をした結果を無駄にせず世の中に出せるということが「会計科学」の一つの意義かと考えています。インパクトファクターなどにあらがおうという意図はなく、とくに若手研究者が追試をした結果を載せられる媒体を意識しています。 日本語で出す意義 天野—皆さん日本語で日本発で出していらっしゃいますが、学術に国境はありませんので、国際的にインパクトを与えていきたいと思っていらっしゃると思います。そのなかで、やっぱり日本語で出す意義を教えていただけたらと思うんですけれども、いかがでしょうか? 今関—まず、ちょっと戻ると、人文学の分野では、そもそもインパクトファクターによる評価がなじまないことがあります。フーコーやマルクスをはじめ、他にも無数に例は思い浮かびますが、被引用数が多すぎる論文や書籍がありますし、間接的な言及や必ずしも明示的でない手法の模倣などもあるので、一概に数字で表せるものではないというのは前提としてあると思います。 日本語で研究を蓄積していく意義もそうした点に関わってくると思います。人文学という学問領域では翻訳という営みがきわめて重要で、現在では英語圏がさまざまな分野で強い影響力を持ち多くの言語に翻訳されていますが、その一方でフランス語圏やドイツ語圏、あるいは日本語圏の論文や研究書でも、他の言語に翻訳され地域をまたいで読まれるものは少なくないですし、翻訳先の言語圏で独自の注釈の蓄積や学問潮流が生まれる場合もあります。こうした営みは古代ギリシャやローマの時代まで遡るものと言えます。このように考えれば、長期的な目で見れば日本語でしか蓄積できない研究があるかもしれないわけですが、やってみないとわからない。それがインパクトファクターで評価できるか疑問に思っている研究者が人文系の分野では多いんじゃないかという前提があります。 『メディウム』の創刊時に考えたのは、人文学に立脚してメディアについての議論を行う場が現在の日本語圏にほとんどないのは問題だということです。それに、悲観的すぎるかもしれませんが、いまぐらいの規模で日本語で学術交流、蓄積を行っていく体制が果たして30年後、50年後、あるいは10年後に可能かっていうと、もう危ないんじゃないかっていう危機感がありました。日本語で思いっきり議論をして、日本語でさまざまな翻訳が読めてっていうのが当たり前じゃなくなってくるかもしれないから、いますぐにやらなきゃいけないっていう意識がありました。 伊藤—我々の分野のデジタル作品ですと、コンピュータグラフィックスのゲームを作るとか、ポップス音楽を作曲するとか、中高生の趣味でさえあり得るような、そういう分野です。よって、そういう世代の人たちに夢を与えるという意味で日本語で論文を書きたいという思いは、少なくとも僕にはあります。 もう一つ、日本語の論文が英語に自動翻訳されても意味を損なわないタイプの分野なので、そのうち自動翻訳の精度が上がって、いい研究をしてれば何語で書いたっていい時代がくるんだと開き直っている人も結構います。 北田—たとえば日本のデータを使った追試研究でも海外の雑誌に載るのであれば、読者も増えるという意味でそれがベストなのかなとは思います。ただ、日本のデータで追試したものが、そういったところに載るかっていうと、恐らく載らないですね。じゃあそれが研究としてまったく価値がないことかっていうと、我々はそうは考えておりません。そういった意味で我々の雑誌は一定の貢献をできているのかなと思います。 天野—設楽さんが詳しいんですけれども、ビブリオダイバーシティ(書誌多様性)は、ヨーロッパでよくいわれているキーワードです。ヨーロッパも英語圏ではないところがほとんどなので、各国の言語での研究の発表が蓄積としてはあるんだけれども、やっぱり英語論文のほうが評価がされる部分もあって、でも、自国語での発表がしっかり評価されるようにしていこうっていう動きがあります。研究支援者としては、この日本の動きを捉えて、しっかりやってますよと発信していかないとと感じています。 F1000Research 天野—「F1000Researchについてどう思いますか?」という質問が参加者からきています。F1000Researchはオープンアクセス投稿プラットフォームですが、林さんに解説をお願いできますか? 林—こんなこともあろうかと、スライドを用意しておきました。これがそのベースとなる考え方で、論文を書いたらデータとともにまず公開(出版)して、そのあとオープンピアレビューを記録を全部残しながら1回、2回とやって、どんどん改訂をしていくと。プレプリントのよさと、オープンピアレビューのよさと、バージョンコントロールを全部内包して、プラットフォーム化されたものがF1000Researchです。有名なところでは、ウェルカム・トラストやゲイツ財団が導入しています。これをベースに、一言で言うと、今の商業出版社が(紙の時代から引き続く仕組みで)牛耳るような学術情報流通のゲームチェンジをもっとデジタルネイティブに起こしましょうっていうのがF1000Researchの母体であるオープンリサーチセントラルの考え方です。私はこのイニシアチブに協力している一人として、ご紹介させていただきました。 日本は日本で、皆様方のように面白いと思ってやっている人にどんどんやっていただいて道が切り開かれていけばいいなと思って伺っておりました。 天野—日本だと筑波大学が取り入れているんですよね。もちろん分野によらず、人文系から自然科学系まで投稿できて、オープン査読でやっているプラットフォームです。これは、英語だけじゃなくって、日本語もOKなんですよね。 林—はい。いま筑波大学さんが、日本のファーストペンギンとしてがんばられていると理解しています。 天野—「F1000Researchについてどう思いますか?」という参加者からの質問ですが。 原田—すごくユニークだと思います。大手の出版社に牛耳られている学術流通に対する不信とか、査読の問題点へのアンチテーゼみたいなものだと思うんですね。東工大は恵まれたほうなのでトップジャーナルを読める環境にあるんですけど、地方大学になると読むべき論文が高くて学生が論文を読めない状態にあります。良質な論文、押さえておかないといけない論文を学生が読めない状況をどうにかしたいという問題意識は、学術社会で持っておくべきかと思います。このオープンリサーチセントラルは、その一つのきっかけになるのではないかと期待しています。今回登壇していただいた先生方の取り組みもお聞きしてメジャーな価値観の意義は尊重しつつも、それとは異なる価値観も許容でる学術社会であってほしいし、その実現のため私たち学会関係者も努力していきたいと思うようになりました。 林—念のため補足させていただくと、F1000Researchはまだそれほど流行っていなくて、どこで流行っているかっていうと、欧米の私的研究助成団体が使っています。ゲイツ財団などは研究費を配るんだったら、全部透明にしなさいと。単純にそういう動機からきているところがあります。 今日ご登壇の皆さんは、動機としては面白いと思って、あるいは分野特有の動機があって、ご自身のメディアを作られていて、商業出版社を倒すといった目的のためにやってるわけじゃないんですよね。もっと早く、あるいは、効率よくみんなに研究成果を知らしめて、その貢献が認めてもらえるようにしたい、それを実現する手段として、こういうのもあるよということの事例が集まった。日本の場合、手弁当になりがちなんだなと思いながら伺ってたんですけど、F1000Researchはときに数千万円以上のお金を使って運営されることもあるんですよね。ということで、研究者の内在的欲求に従って自分が面白いと思うメディアを作ることはもっと大事にされてよくて、ご紹介したF1000Researchもあくまで手段の一つ、ゲームチェンジのツールとしての一つであって、今日の議論の本質は自分は誰に何を届けたいか、であり、さらに日本語も大事にすることなんだろうなと思います。 天野—伊藤さんからも「オープンリサーチセントラルはすばらしいと思います。参考にさせていただきます」ということです。F1000Researchも、大学としてみんなが使えるように契約しようと思ったら安くはない。しっかりしたプラットフォームを作る試みなので、それに乗っかってしまったら楽っていうところは研究者の皆様にもあると思うんですけれども、やっぱり独自のプラットフォームを作ってやることの意義やメリットもあると思います。 改めて今後の展望 天野—時間もなくなってきましたので、まとめていきたいと思います。それぞれのご講演の最後で今後どうしていきたかについて触れていただきましたが、ディスカッションを経て、強く思うことであるとか、これから考えていきたいということがありましたら、順に教えていただきたいと思います。 北田—まだまだ『会計科学』自体が非常に若い雑誌なので、まずは認知度を上げて、どんどん投稿してもらう数を増やしていくことが必要になってくると思います。規模を拡大するうえでは、クラウドファンディングというような資金集めも非常に有効な手段なのかなと個人的には思いました。 伊藤—今日の話の中でとくに刺激を受けたのは、皆さん、査読に対して一定の問題意識を持っていらっしゃるということです。我々も工学系と芸術系のはざまにいると、たとえば、芸術作品は論文として査読できるのかという問題が絡んできて、どう査読すればいいのかずっと悩んでいる問題だったんですけれども、今日、お話を聞かせていただいたことを学会に持ち帰って、いろいろ参考にさせていただければと思っております。どうもありがとうございます。 梅田—まず、北田先生のお話を聞いて、再現だったり、レビューだったり、業績にはならないけど絶対にみんなで共有したほうがいい議論はたぶんどの分野にもあって、我々の分野にもたぶんあると思います。そういったものをちゃんとすくい取れるプラットフォームに『メディウム』はなっていかないといけないなと思いました。 伊藤先生の話を伺って、これからは文字だけじゃなくて、映像だったり、画像だったり、さまざまなメディアを使って、学術論文が書かれていくっていうことも踏まえると、デジタル化も検討していかないといけないし、若手の人たちが安い値段で最新の研究に触れられるようにするためにはオープンアクセス化がすごく大事だと思うので、うまいことウェブを巻き込めないかな、参考にしたいなということがたくさんございました。ほかの方々からいただいた意見もすごく参考になりました。ありがとうございました。 今関—改めまして、ありがとうございました。英語圏を中心とした国際的な場でのアピールというのを皆さん、もはやスタンダードとして常に意識されてるんだなというのを改めて感じました。私たちに関しては、日本語でとりあえずやっていくという姿勢ではあるんですが、それでもオンライン公開できる範囲で、たとえば掲載論文のアブストラクトだけでも、英語やドイツ語やフランス語で公開していくのはありだなと思います。 たとえば私は『メディウム』の第1号に、ドイツのメディア研究者であるフリードリヒ・キットラーと、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者である水木しげるの関係についての試論を書いたんですが、これを書いてる人、たぶん世界で一人なんです。検索して、それが出てくるようにするっていうだけで大きな違いなんじゃないかと。 第2号はまだ出ていないくて〔注:2021年12月に発行済〕、目次だけ公開してるんですけども、掲載論文のひとつはライプニッツとダナ・ハラウェイという研究者を取り上げていて、この二人の思想家がタイトルに含まれている論文って、たぶん世界でこれだけじゃないかと思います。アブストラクトだけでも英語やドイツ語でオンライン公開すれば、この論文が検索で引っかかるようになる。こういう研究を日本語圏でやってるんだぞっていうのを、英語圏をはじめとする外国語圏の人々の目にとまりうるようにするだけでもだいぶ違うのかなと思いました。 天野—ありがとうございました。今関さんが研究者は、論文の執筆者でもあるし、査読者でもあるし、編集者でもあるとおっしゃっていたのが私にとっては一番印象的で、編集者である研究者を私も研究支援者として支援することができればと思います。このように面白くて、興味深く、学術的にもインパクトの高いお仕事をされている事例があるんですけれども、残念ながら独自のプラットフォームは最初は検索されにくかったりするデメリットがあります。それを検索されやすくするといったサポートも必要かなと思いました。では、セッションをこれで締めたいと思います。どうもありがとうございました。
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### クラウドファンディングを利用した学術誌の創刊と運営 ——学術雑誌『メディウム』を例に——
- Published: 2022-03-02
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/umeda-imazaki/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション
講演3
梅⽥拓也(同志社⼥⼦⼤学 学芸学部メディア創造学科 助教)
今関裕太(江⼾川⼤学 基礎・教養教育センター 助教)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2022/02/seminar2021-10-29/ 講演3 梅⽥拓也(同志社⼥⼦⼤学 学芸学部メディア創造学科 助教) 今関裕太(江⼾川⼤学 基礎・教養教育センター 助教) 〈第一部〉学術雑誌『メディウム』の取り組みについて 梅田拓也 同志社女子大学、学芸学部メディア創造学科助教の梅田拓也と申します。今回、貴重な場にお招きいただきありがとうございます。学術雑誌『メディウム』という独立系学術雑誌の取り組みについて発表させていただきます。この雑誌は私、同志社女子大学の梅田と、江戸川大学の今関さんの二人で取り組んでいるので、第一部と第二部に分けて説明したいと思います。私のパート、第一部では、学術雑誌『メディウム』の取り組みについてお話しさせていただきます。話題は二つありまして、一つは、そもそも『メディウム』がどういう取り組みなのかということ。もう一つは、この雑誌はクラウドファンディングによって創刊資金を調達し、その資金で運営しているのですが、その運営の実態です。 学術雑誌『メディウム』について——創刊主旨—— 学術雑誌『メディウム』は昨年、2020年に創刊しました。創刊主旨を一言でいうと、人文学分野のメディア研究という、ある種のニッチ領域の議論のためのプラットフォームの創出です。 自己紹介が遅れたんですが、私はメディア研究と呼ばれる、さまざまな情報技術と人間の社会や文化の関係を追う、哲学や社会学の領域における研究をしています。近年の情報社会の進展に伴って、哲学、芸術、文学、歴史などの人文学的な研究においても、メディアをめぐる議論が活発になっています。情報技術、スマートフォンやコンピューターが人間の文化や社会に対していかなる影響を与えているのかの検討が、メディアという言葉をキーワードに最近進んでいます。 ただし、日本語圏のメディア研究は、社会科学の研究者や学会が中心となって展開しているので、メディア研究というと社会学の領域だと思われています。僕がやっている哲学や芸術、文学の研究は、あまりメディア研究だと思われていません。プラクティカルな言い方をすると、人文学、哲学や芸術や文学の研究をしている人たちがメディアについて論じた論文を投稿する場がない状況です。哲学や文学の作品について論じた論文を哲学や文学の学会誌に投稿することはできるのですが、どうしても個別の作品や思想家の解釈に対する新規性で評価され、メディア研究としての新規性が評価されることは基本的にありません。 そういうのを議論するための場をつくりたいという思いからこの雑誌をつくりました。現在、第2号の編集印刷プロセスにあり、来月発刊されるので、ご購入いただければ幸いです[注:2021年12月に発刊済]。 学術雑誌『メディウム』について——運営体制—— 『メディウム』は研究機関や学会から独立した運営を進めており、フラットな議論の場を目指しています。創刊のメンバーである私とこのあと登壇する今関さんの二人で編集を進めています。校閲や組版も私たちが全部手弁当でやっています。ただし、特集にはその特集の専門家にゲストエディターとして参加してもらい、方針のかじ取りをしていただいています。 投稿、査読については、第一号には14件の投稿があり9件を採録、第二号には19件の投稿があり7件を採録する運びとなりました。まずまず投稿がきています。SNSを中心として、知り合いにも宣伝しながら投稿を募集しています。査読は第一号は8名、第二号は13名でやりました。私たちやゲストエディターの方の知人の研究者を中心に査読の依頼をかけて、かなり豪華な顔ぶれになっています。 販売には、BOOTHという同人誌や二次創作品を売るためのプラットフォームを、そこで浮いてはいるんですけど、利用しています。宣伝は研究会やホームページ、SNSでしています。Twitterのフォロワーが最近増えて830人ぐらいになっていますし、宣伝のために研究会をこれまで3回開きました。 資金はクラウドファンディングで調達しました。想定読者は人文学の研究者、印刷された紙にすごく愛着のある人々、集団なので、印刷された雑誌をつくる費用を集めるためにクラウドファンディングをしました。クラウドファンディングの達成額は69万円で、紙版と電子版の売り上げを追加して、その資金で運営を進めています。 クラウドファンディングによる学術誌運営——メリット—— 学術雑誌でクラウドファンディングを使ってみてわかったのは、運営に必要な資金調達はもちろん、研究のニーズ喚起にもつながるということです。クラウドファンディングは、皆さんご存じのとおり、不特定多数のクラウド、群衆の協力者から資金提供を募ることですが、そのメリットには資金調達だけでなく宣伝効果もあります。つまり、クラウドファンディングによって、雑誌の投稿者や読者が集められると思います。私たちのようにすごくニッチな領域を主題とした雑誌や大学紀要など規模が小さいものほど、学会のように大きな集団に頼れないため、こういった手法で宣伝するメリットがあるだろうと思います。実際にやってみて、応援してるよとか、お金しか出せないけどとか、いろんな方から支援をいただいて、こんな領域だけど期待されているんだなって実感が得られたのはとてもよかったと思います。 クラウドファンディングによる学術誌運営——プロセス—— クラウドファンディングのプラットフォームはCAMPFIREなどいろいろありますが、私たちが利用したのは学術研究に特化したacademistです。クラウドファンディングのプロセスは、大きく分けて3ステップあります。企画、実施、リターンの送付です。 企画ではコンセプトの策定、何のためにお金を集めるかのコンセプトをしっかり仕上げることが必要です。資金提供してくれる人が興味を持ちやすいように、これをはっきりさせておく必要があると思います。 実施期間は1カ月から2カ月ぐらいです。利用したacademistのサイト内にプロジェクトページをつくってもらったほか、SNSや学会、研究会メールで宣伝しました。無料研究会を開いて、関心のある方に集まっていただいて議論したあと、こういうのが出るので買ってくださいと宣伝したのも有効だったと思います。 また、資金をくださった方に返すリターン、お返しの準備をする必要があります。学術系のクラウドファンディングはリターンがつくりにくいのですが、雑誌の場合は完成物があるので、完成物をリターンに据えるのがいいかなと思います。それ以外にも謝辞掲載や完成したあとに研究会をするかたちでお礼をすることもできると思います。終わったあとに1カ月ぐらいかけてリターンの送付などを行います。 必要なのは、明確なコンセプト、リターン、宣伝の手段だろうと思います。すべてのプロセスでacademistを運営するアカデミスト社からサポートいただいたのですごく便利でしたが、達成額の20%が手数料となります。私からは以上です。 〈第二部〉人文学における研究成果・研究評価の共有媒体について 今関裕太 江戸川大学基礎・教養教育センター助教の今関と申します。第二部、私のパートでは、日本語圏の人文学における研究成果および評価の共有媒体と、そのなかでどういった枠組み、コンテクストを意識して『メディウム』を発行しているかをお話ししたいと思います。前半で現在の日本における人文系の学術雑誌の体制を概観したうえで、後半で『メディウム』の査読体制と今後の展望をお話しする構成になっています。 現在の日本における人文系の学術雑誌の体制 現在の日本における人文系の学術雑誌は、大きく三つの種類に分けられる——そうじゃないと言う方もいらっしゃるかもしれないのですが——のではないかと思います。 一つ目は商業誌で、古くからある有名な岩波の『思想』ですとか、新しいものですと堀之内出版の『nyx(ニュクス)』とか、あるいは特定分野に特化したものだと、亜紀書房から出ている文化人類学の『たぐい』ですとか、ほかにもたくさんあります。こうした商業誌は発行頻度が高くて、読者層も研究者に限られずに広いというメリットがあります。その一方で書き手は公募制ではない場合がほとんどで、原稿掲載のためには編集者・出版社との何らかのつながりが必要という場合がほとんどだと思います。 二つ目は紀要です。これは基本的には大学の研究室や学科単位で発行されています。現在は多くがウェブ上で無料公開されていて、アクセスも容易ですし、異分野間の交流が生じる機会も多く、普通の査読誌には載りにくい自由な発想を発表する場にもなるなど、さまざまな長所があると思います。その一方で、専門分野に特化した研究の蓄積が困難な面もありますし、投稿資格は基本的に当該組織の所属者に限定されます。 三つ目は学会誌です。査読体制が充実している場合が多く、専門性の高い議論を蓄積する中心的な場になっています。一方で、年刊発行で投稿機会も年に1回か2回というものが多く、分野によって論文執筆から発表までのペースは異なるとは思いますが、一度で査読に通らないと出版に至るまでにそれなりに時間がかかります。また、一概にはいえないんですけども、投稿者と編集者と査読者の間でどこまでコミュニケーションがとれているかという点については(紀要や商業誌の場合にも当てはまることだと思うんですが)、十分でない場合もあるだろうと思います。 ちなみに英語圏では、学術研究の発表形態や評価方法を専門的に扱う学問分野として、scholarly communicationと呼ばれるものがあります。私が留学していた大学では授業も開かれていましたが、大学教員や図書館員をはじめたくさんの専門家が活躍しています。一方、日本では、研究成果の発表や評価の方法に関して議論する場や機会は英語圏に比べて少なく、査読について考える際にはそうした状況も考慮するべきだと思いますが、今回は深入りしません。 以上のように大きく分けて三つの種類の媒体があるなかで、短期間で多くの成果を出すことが——社会的な立場が不安定な若手研究者はとくに——求められている状況、さらに、特定分野の範疇に収まらない論文が多く書かれている、あるいは本当ならもっと多く書きたい人がいるという状況で、どのような性質の媒体が必要かを考えたのが『メディウム』の創刊の背景です。 『メディウム』の査読体制 今のような問題意識を踏まえて、梅田さんと私で、クラウドファンディングをする傍らで、雑誌の査読体制を議論しました。『メディウム』の査読には大きく三つの特徴があります。一つ目は、会員制度や投稿資格を設けないことです。学会に所属している人だけが投稿できるかたちにしないことで、研究分野や立場のために生じがちな壁を取り除こうと考えています。 二つ目は、掲載原稿の水準を一定以上に保つために、明確な査読規定を定めてオンラインで公開し、シングルブラインド制の査読を行うことです。ただし、査読者の氏名は一覧にして巻末で公表しているので完全なシングルブラインド制ではありません。この点は、一般的な査読誌、学術雑誌と大きく変わりません。 三つ目は、投稿プロセスです。ほかの学会誌、学術雑誌にはなかなかないプロセスを設定しています。投稿者にはいきなり論文を提出してもらうのではなく、最初は短い(400字程度の)内容案を出してもらい、編集部からコメントして、必要に応じてさらにやり取りします。それを踏まえてもう少し長めの章立て案(2000字程度)を出してもらって、またやり取りします。そのうえで初稿を出してもらい、査読者に送ります。先ほど、日本の学術雑誌、学会誌の問題点として、投稿者、編集者、査読者間でのコミュニケーションがうまく確保されていない場合もあると言いましたが、そうした問題意識を踏まえてこうした体制を整えています。査読結果に対して疑問がある場合は編集部および査読者への質問状も受けつけます(これは制度として設けている媒体も少なくないと思います)。 『メディウム』の運営上の問題点 こうした体制で運営を行っていますが、問題点も当然あります。一つは編集部の負担です。ゲストエディターとして外部の方をお招きすることもありますが、組版も校閲も経理も販売も宣伝も査読者の確保も私と梅田さんの二人でしています。二人とも大学の授業や校務もあり、負担が大きいというのが正直なところです。 もう一つは、クラウドファンディングを原資金に、有料販売で継続的発行を可能にしようとしていますので、残念ながら基本的にお金を払ってくれた方にしかアクセスが確保されないことです。学術雑誌としては大きな問題だと思います。 また、それと関わることですが、資金確保のために経費を回収しないといけないので、紙媒体はある程度売れる範囲で発行部数を決めて刷らなければいけないことも、解決は難しいかもしれませんが、問題点としてはあります。 今後の展望 『メディウム』はあくまで一つの実践例ですが、ここから、大きく分けて二つ言えることがあります。どの学術雑誌でも自らの機能や長所短所——短所がない学術雑誌はないと思うんですけれども——を考慮して、投稿体制や査読制度を継続的に見直していくことが重要だと思います。査読体制や投稿規定が長期間固定されたままになっている学術雑誌も多いと思いますが、果たしてそれで大丈夫なのかと、私や梅田さん、創刊時に意見を伺った若手の研究者など、そう思ってる人は少なくありません。 もう一つは、自身の経験に則してなんですけれども、研究者は当然ながら論文の投稿者にもなれば査読者にもなりますが、それに加えて編集者になることも必要だろうと思います。編集者としての仕事自体も重要ですし、編集に携わることによって得られる経験を学術雑誌の体制を検討していくときに活かすことも重要だと考えています。 そのためには、編集者としての仕事が評価される必要もあります。論文よりさらに評価が難しく曖昧になりやすい面はあるとは思うんですけども、編集者としての仕事は雑務として片づけられるようなものではなく、学術的な成果の一部であることをアピールしていく必要があるのではないかと考えています。 発表は以上になります。梅田さんと合わせてお時間をいただき、ありがとうございました。
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### フルオープンアクセスかつペーパーレスな学会誌・論文誌の発展に向けて ——芸術科学会での事例——
- Published: 2022-03-02
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/ito/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション
講演2
伊藤貴之(お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2022/02/seminar2021-10-29/ 講演2 伊藤貴之(お茶の水女子大学 理学部情報科学科 教授) よろしくお願いいたします。お茶の水女子大学の伊藤貴之と申します。芸術科学会が発行している独立した二つの雑誌、それぞれのISSNを持つ学会誌と論文誌についてご紹介したいと思います。 まず私の経歴ですが、早稲田大学の修士課程を出て、日本IBMの研究員になり、その間に博士号を取得しました。そして、2005年にお茶の水女子大学に赴任して、昨年から理学部情報科学科と兼任で文理融合AI・データサイエンスセンターのセンター長を務めております。専門は計算機科学で、情報可視化、インタラクション、CG(コンピューターグラフィックス)、音楽情報処理、データサイエンス、機械学習支援などに従事しています。 芸術科学会 今日紹介する芸術科学会は、名前は大きいですけども対象はそれほど大きくなくて、主にデジタル作品とそのための技術を扱う学会です。もともとは、CGの作品と技術を扱うNICOGRAPHという会議の母体の学会としてスタートしました。学会名から想像されるとおり、投稿者層の多くは融合領域の方です。たとえば、理工系の学部だけども4年生は卒業論文ではなく卒業制作、作品を作って卒業する人の多い大学であったり、あるいは芸術学部だけどもデジタル作品の制作が主流でプログラミングや電子工作をしている学生が多い大学。そういった理工学部と芸術学部の融合領域を中心に扱っている学会です。2001年に創立して、2013年に法人化しました。学会誌と論文誌を別々にオンラインで出版しているのに加え、年2回の研究集会を開催しています。 私とこの学会の関係ですが、まず、2001年に創立したあとに複数の先輩から同時に声がかかり、初代の論文誌の委員長となりました。また、学会誌の編集にも携わりました。2013年の学会の法人化のときには、私は事務局代表を務めておりまして、司法書士の方と一緒に法人化のプロセスをリードしました。2014年からは2年間、会長を務めておりました。 フルオープンの論文誌 論文誌は2002年の創刊当初から、フルオープン、HTML形式で出版していました。いまでこそオンラインで論文誌を出すのは当たり前になっていますが、20年前には創刊号からオンラインでスタートする学会はかなり珍しかったのではないかと思います。当初から論文はPDFファイルで出していて、動画などの付録を推奨しています。ウェブページをご覧いただくと、カバーシートとPDF論文と動画があるという形式です。20年前からこの形式です。クリックするとこんなふうに動画が出てきて、たとえば研究のサマリーが動画で見られます。論文誌を読むときに、動画を先に見てから論文読むと理解するのが早くていいというような人が使います。学会によっては、動画を付録している論文と付録していない論文で採録率に有意に差があるぐらい、動画をつけるのが重要な意味をなす分野です。 フルオープンで、アクセス制御も一切なく、無料で誰でも閲覧できる状態になっています。紙冊子の出版は一切していませんが、まれに学会が発行した別刷りがないと博士号の授与を認めないという大学があるものですから、別刷りを有料発行するサービスもあります。かつては一年分の論文をCDに焼いて、国会図書館に送付したり、希望者に有償販売したりしていましたが、最近の国会図書館はオンライン学会誌や論文誌の自動収集システムを導入していますのでCDを送る必要がなくなりました。それから、著作権を著者が保持する、つまり学会への著作権譲渡は一切しないというポリシーもこの学会の特徴です。 フルオープンの学会誌 論文誌とは別に学会誌というものも発行しています。学会誌を見ていただくと、50ページぐらいのPDFです。書籍さながらのDTPを経て、電子書籍のようなPDFファイルを公開するかたちを取っています。こちらは2008年、13年前からフルオープンでPDF形式で出しています。これもいまでこそ珍しくありませんが、13年前はずいぶん珍しかったのではないかと思います。研究集会の開催報告ですとか、論文の紹介、特集記事、それから会員が投稿した作品を紹介するなどしています。これもアクセス制御一切なしで、無料で誰でも閲覧できます。紙冊子の出版はなし。著作権は著者が保持して、学会は著作権の譲渡を受けないというスタイルを取っています。 当該研究分野の特殊な現象——オンライン化を加速する要因—— この研究分野の特殊な事情がいくつかあります。まず、主役は動画や音声です。まずビデオで研究概要を見て、そのあとに論文を読む。そういう勉強方法がかなり一般的になっているので、動画、音声が付いている論文のほうが明らかによく読まれます。それから、この研究分野はカンファレンス重視です。ジャーナル重視の分野が多いなか、情報科学やデジタル制作といった分野は例外で、カンファレンスのほうが重視される傾向があります。口頭発表や展示が本番で、学術誌の出版はまるで後処理であるかのような風潮が強い分野です。それから、研究の進化がきわめて高速なので、査読プロセスや紙で出版するための時間を待っていられません。これらの事情が、論文のオンライン化を加速してきました。 なぜペーパーレス、なぜフルオープン オンライン化は非常にメリットが大きいです。デジタル作品の学会なので紙より画面で見てほしい、自分で操作してほしいという要求を満たせるのに加えて、フルオンラインにしてペーパーレスにすると経費が劇的に削減されます。冊子保管の場所、郵送料、事務局員の通勤、全部不要です。この学会は事務局員もほぼ自宅勤務で運営しています。 それから、フルオープンにして読者が増えることが何よりも著者のメリットになるので、アクセス制限なんかかけないほうがいいだろうと。事務経費が安いので、購読料で収入を得ようなんて考える必要はありません。デジタル作品の発表では著作権を著者に残したい事情もあります。論文を書いてから展示会に出展するといったときに、著作権を学会に譲渡していると、ビデオ撮り直さなきゃいけないといった面倒、不便がでてきます。 当該分野に国内学会誌って必要なの? この分野に国内の学術誌は要るだろうかと疑問視する方はよくいらっしゃいます。それもそのはずで、メンバーには国内学会より国際学会を主戦場にする人や、海外の人にも読まれる場所に論文を投稿したい人が多いです。私も海外の共同研究者が多くて国際共著論文も多いですし、研究室の学生もコロナ禍前はみんな短期留学していたので海外共著論文が多くありました。また、原田先生の話にもありましたが、研究者評価や組織評価では国際論文が重視されやすい傾向にあります。この学会も予稿集の一つをIEEEという海外の学会から出版しています。この分野の人たちは、日本の学会には学術誌以上に集会を求める傾向があります。世界的にカンファレンス重視の分野であることと、やはりデジタル作品なので展示してなんぼ、触れてなんぼという発想があるからです。 国内学術誌=裾野を広げる役割 これだけの事情がありながら国内で出版する学術誌は何を目的にすればいいのか、つねに議論になるところです。ここからは、学会の総意ではなく、僕の個人的な見解をいくつか述べます。国内学術誌に何を求めるかですが、一つは読者層の裾野を広げることです。高校生や学部生や専門職に就かない人、そういう研究者じゃない人が読んでくれるような分野であってほしいということです。とくにデジタル作品は日常的に目にするようなものが多いので、高校生や学部生でも興味を持つ分野です。日本語で、ペーパーレスで、フルオープンだから読者層の裾野を広げられるのは、メリットが非常に大きいということになります。 それから、投稿者層の裾野を広げることです。この分野の特徴として、ほとんどの学生が学部卒で就職するにもかかわらず、大学教員は論文を書かないと出世できないといった事情を抱えている大学がたくさんあります。学部卒で就職する学生でも投稿できるようなフレンドリーな学術誌が必要です。これは、日本特有の事情だと思います。ほかの国で学部卒論や学部卒業制作が必修科目になっている人が大半を占める大学なんてまれで、日本特有の事情だと考えています。それから、この分野は非研究職の企業人も結構、論文を書く分野なので、そういう意味で裾野を広げるのは重要な考え方だと思っています。それから、伝統的な学術誌に投稿しにくい研究成果を受けつけるということもあると思います。 これらのことを考えると、トップレベルを目指すというよりは、学術研究の講読や投稿によってキャリアアップする経験を多様な人に広げ、業界の裾野を広げるために国内での出版を重視するのが我々の考え方だと思っています。僕の私見ですけども、おそらく同業の多くの人はそう考えているだろうと思います。業界事情に合わせて、どんどん学会誌をバージョンアップしていければいいのではと考えています。 国内学会誌に関する願望 最後に僕の妄想ですけども、伝統的な国際誌にできることは国際誌に任せて、日本ならではのことを国内学術誌でやっていこうと。日本語であり続ける必然性のある分野はもちろん日本語でどんどん出版していくべきだと思いますし、我々のように学部卒で就職する人が大半を占める大学でも論文を出さなければならないという特有な事情と整合していく学術誌が必要な人がたくさんいますので、そういうニーズに寄り添った出版をしていきたいと。先ほど申し上げたとおり、学問に携わる人の裾野も広げたい。 伝統的な雑誌にはできないような斬新な取り組み、実験的な取り組み、振り切った取り組みができないかと考えています。まったくの個人的な妄想ですけども、学会誌の一部をYouTubeチャンネルにして学会誌そのものを動画にしてしまうとか、VR空間で見せるとか。芸術系の方は文章を書くより、デザインすることのほうが好きという人も多いので、論文の書式をパワーポイントやIllustratorで作るとか。あるいは、北田先生が話されたプレレジpre-registrationとも共通しますけども、プレプリントを学会公認で出版してから査読をして、査読を通ったら昇格するというふうに、時代の流れに合わせて、査読なしの段階からどんどん出版するっていう考え方を導入するとか。こんなワイルドアイデアをどんどん打ち出して、身軽な学会運営ができたら面白いのではないかなと個人的には考えております。 天野—伊藤さん、どうもありがとうございました。私から一つだけ事実確認です。J-STAGEには登録されていますか? 伊藤—J-STAGEには登録しましたが、途中で挫折しました。何号かまでJ-STAGEに載っていますけど、そのあと更新が止まっています。 原田—編集業務は誰が担当されていますか? 伊藤—教員は基本的に査読だけをやっています。採録決定後の出版作業は、基本的に事務員がやっています。
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### 追試研究に特化した専門雑誌『会計科学』
- Published: 2022-03-02
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/kitada/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション
講演1
北田智久(近畿大学 講師/『会計科学』副編集委員長)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2022/02/seminar2021-10-29/ 講演1 北田智久(近畿大学 講師/『会計科学』副編集委員長) 今回の発表の機会をいただき、企画者、運営者の皆様方にはお礼申し上げます。また、参加者の方にはお集まりいただき、ありがとうございます。 それでは、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、近畿大学の経営学部に所属しています。専門は経営学のなかでも、とくに会計が専門です。そのなかでも、細かくいうと、原価計算や管理会計について研究しています。今回紹介する『会計科学』では、2020年度の創刊時より、副編集委員長を担当しています。また、ほかの一般的な学会誌に関しては、2018年度から2020年度まで日本原価計算研究学会の学会誌の編集委員をしていました。 それでは、本日の報告の流れですが、まず、『会計科学』に関して説明します。つぎに、『会計科学』の創刊の背景と密接に関連しますが、会計学者が再現性の問題をどのように認識しているのかを紹介します。最後に、『会計科学』の意義や、今後、どういうことをやろうと考えているのかを説明させていただきます。 『会計科学』——追試に特化した会計研究の学術誌—— 『会計科学』は、追試に特化した、国内初の会計研究の雑誌です。運営の主体は若手研究者です。創刊に至る背景には、研究結果の再現性の問題があります。過去の研究がうまく再現できないという再現性の問題から追試研究が重要と考えているのですが、この追試研究がなかなか既存の会計学のジャーナルでは受け入れてもらえないので、それならば、われわれで立ち上げようと、この『会計科学』を創刊しました。 ご存じの先生方も多くいらっしゃると思いますが、分野によっては、すでに再現性の問題が広く議論されています。たとえば、『Nature』によるサーベイでは、70%以上の研究者が他者の研究の再現に失敗したと回答しています。また、社会科学では、実験経済学や行動経済学、心理学でも、再現性の問題が広く議論されていると認識しています。再現性の問題はもちろん会計研究にも当てはまります。 会計科学における再現性の問題 会計科学における再現性の問題に真正面から取り組んだ研究が、Hail et al. (2020)「Reproducibility in Accounting Research: Views of the Research Community」で、これは『Journal of Accounting Research』という、会計分野の非常に優れたジャーナル、トップジャーナルに掲載された論文です。この論文では、サーベイを行って、会計学者が再現性をどのように認識しているのかを明らかにしています。 サーベイは、2019年の『Journal of Accounting Research』のカンファレンスでその参加者に対して実施しています。対象は基本的に会計研究者で、回答者の約45%が教授、約19%が准教授、約28%が講師、約8%が大学院生となっています。回答率は非常に高く、81%です。Baker(2016)で報告された『Nature』におけるサーベイに依拠して、会計学者に対して、再現性をどういうふうに捉えているか訊いています。 結果の抜粋を紹介させていただくと、まず、「会計研究の研究結果における再現性の欠如は大きな問題ですか?」と問うていますが、半数強の回答者が、会計研究における再現性の欠如は大きな問題であると認識しています。 続いて、「結果を再現できないことが元の研究結果の妥当性を毀損することはめったにないと思う」という提示文への同意を問う質問に対して、半数以上の回答者が反対、つまり再現性の低さは研究の発見事項の妥当性を毀損すると考えています。会計研究のコミュニティのなかでも、再現性は非常に大きな問題で、再現性の低さ自体が研究の質を損ねると認識されていることが読み取れるかと思います。 「パブリッシュされた結果のうちのどの程度が再現できると思いますか?」とも訊いていて、回答の平均値は50%弱です。 「他人の研究を再現しようとして失敗したことがありますか?」という質問に対しては、およそ70%の人が他人の研究を再現しようとして失敗しているという結果が得られています。個人的にも、論文を読んで再現しようと思っても、分析の手順だとか、実験の手順だとか、そういったプロトコルが不明で、なかなか再現できないこともままあります。 次の質問では、「自分が過去に出した研究結果を再現しようとして失敗したことはありますか?」と訊いていますが、6%もの人が自分の結果でさえ再現に失敗しています。 なぜ再現不可能な結果が生まれてくるのかを訊くと、半数以上の人が主要な要因として、selective reporting of results、すなわち分析結果の選択的な報告や、pressure to publish for career、すなわち業績へのプレッシャーを挙げています。3分の1以上の人が理由として挙げているのは、共著者によるチェックが不十分である、統計解析や実験デザインがよくない、プロトコルやコードが公開されていないなどです。 「他人の研究を再現しようとして失敗した試みをパブリッシュしたことがありますか?」に、はいと答えているのはわずか7%、実際には9名です。多くの人はパブリッシュしようせず、ないしはパブリッシュできずに、結果がお蔵入りになっています。 このような結果の背後には、有意な結果を導こうとするp-Hackingや、データ分析をしてから、それに基づいて仮説を立てて論文全体のストーリーを仕上げていくHARKingなど、QRP(questionable research practice:疑わしい研究実践)が会計コミュニティの間でも少なからず広がっているのではないかと推察されます。 再現性を高めるためには? では、再現性を高めるためにはどうしたらいいのか。もちろん、研究者の倫理観を養成する必要もあるかと思いますが、分析コードやデータの公開、オンラインで追加資料を活用することなどが、一般的に有効だといわれています。それによって、他者が追試をしやすくなります。ただ、データ自体が公開できないことも会計学ではあります。なぜかというと、企業内部のデータを使っていたり、データベースとの契約上の問題があったりするからです。 既存のジャーナルが追試研究を受け入れるのも、一つの方法だと思います。ただ、編集委員会や査読者の負担が増えてしまいますし、そもそも研究としてのインパクトが追試研究は弱くてオリジナルを超えられませんし、ほかの研究との兼ね合いもあるので、そのあたりが課題になってくるのかなと思います。 その他の仕組みとしては、プレレジ(pre-registration)やレジレポ(registered reports)が挙がってきます。とくに医学などで行われていると認識しておりますが、会計学ではあまり行われてない仕組みです。プレレジは、実証研究を実施する前に、データの取得の仕方、サンプルサイズ、仮説、分析方法などの詳細を第三者機関に登録して、原則的にこの登録内容に従って研究を遂行する仕組みです。データを集めてからすることが決まっているので、p-HackingやHARKingといった問題が抑制されると考えられています。 レジレポは、プレレジの段階で査読を行って、それでよければ、仮アクセプトとなり、結果を問わず掲載される仕組みです。会計の雑誌でもレジレポを採用した号があります。先ほど紹介した研究が載っていた『Journal of Accounting Research』の2018年の号に、レジレポが採用されています。ただ、他分野の動向を見てみると、査読者の負担が大きいなど、なかなか一筋縄ではいかないようです。 再現性に関して会計学が抱える課題 少し話が変わりますが、再現性に関して、会計学が抱えている課題があります。会計はあくまで社会のシステムなので、国や地域によってルールが異なります。企業利益と一口に言っても中身が違うかもしれません。会計学のトップジャーナルは主に欧米の学術誌なので、そこで扱われているデータの多くは米国やヨーロッパの企業のものです。日本の社会システムとは大きく異なるので、再現するときに、どこまで変化を許容するのかが大きな課題になります。 『会計科学』の意義 『会計科学』の大きな意義として、追試に特化することで、再現性の問題にわずかながらでも貢献できているのではないかと思います。具体的には、『会計科学』ではデータやコード、オンライン資料の公開を積極的に行って、他者が追試しやすい環境を整えています。 迅速な査読体制のために、投稿された研究論文の独創性や新規性を重視するのではなく、基本的には、追試の手続きの妥当性を重視しています。これによって、査読者の負担も少しでも軽減されればと思っています。 また、『会計科学』は紙媒体での配布はしておりません。オンラインですべて完結しています。 追試による学習効果もあります。たしかに追試研究はインパクトは弱いかもしれませんが、大学院生や若手研究者にとっては追試は非常に勉強になることが多いと思います。具体的には、データの取り方や扱い方、コードの書き方、論文の書き方に至るまで、学ぶことが非常に多いと思います。 『会計科学』の展望 最後に『会計科学』の展望ですが、一つには追試に特化したカンファレンスを実施できないかなと考えています。これを実施することによって、どの研究が再現可能で、どの研究が再現不可能かということを広く共有できるのではないのかと考えています。それだけではなく、そこでデータや分析ソフトの扱い方などを広く共有できれば、会計コミュニティに貢献できるだろうと考えています。 また、認知度の向上のために、積極的なオンラインでの情報発信、対面が可能になれば、学会や研究会の懇親会などでも積極的にアピールできればと考えております。 私からの報告は以上となります。ご清聴いただき、ありがとうございました。 天野(司会)—北田さん、ありがとうございました。質問が一つ届いています。「再現性のない結果が載るようなジャーナルにどのようなものがあるかというデータをお持ちでしょうか? ハゲタカジャーナルにはやはり再現性のない、質の低い論文が集まっているというエビデンスはありますでしょうか?」ということです。 北田—そういったデータは持ち合わせていません。ただ、たとえば、会計学でトップジャーナルと呼ばれるものに載っている論文でも、日本のデータで分析したときに結果が再現できないこともあります。その原因は、データに問題があるのかもしれないですし、再現の仕方に問題があるのかもしれないですし、いろいろかと思います。
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### 研究者、研究機関の評価対象としての論文
- Published: 2022-03-02
- Modified: 2023-05-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/03/harada/
- Categories: セミナー報告(個別講演等記録)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション
背景説明
原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター)
セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2022/02/seminar2021-10-29/ 背景説明 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) よろしくお願いいたします。東京工業大学の原田でございます。この企画セッションは、昨年度に紀要に関するセッションをした、その続きでございます。 そもそもの問題意識は、いわゆる「ジャーナル駆動型リサーチ」 、つまり著名な国際ジャーナルに載せることを目指して掲載されやすい研究テーマ、手法による研究が行われる中、国内学会誌はどうあるべきかということでした。さらに、昨年度のセッション運営関係者や学会幹事の方々と議論するうちに、学術コミュニケーションの多様性、インパクトの多元性を考えていきたい、そして今回紹介する三つの事例のように、健全な学術発展のために独自の取り組みに手弁当で挑戦する研究者がいることをぜひ皆様に知っていただきたいという話になり、このセッションを企画しました。 論文——研究評価の対象としての重要性—— そもそもなぜ、論文が評価の対象になっているのか。本学の大隅良典栄誉教授が「論文発表は科学者にとってもっとも重要で困難な仕事である」 と言っているように、研究成果を論文にまとめて公表することは研究者の社会的使命であることは研究者ならばみんな共通して持っている認識だと思います。これまでも、いまも、これからも、いい論文を書く研究者は優れた研究者であるということ、優れた研究者がいる研究所や大学は優れた研究機関であるということは、研究者コミュニティもしくは社会的な合意が取れているといっていいでしょう。それがすべてでないにしろ、論文によって研究力を評価する、研究者や研究機関を評価するというのは、わりと自然なことだと私は考えております。 論文による評価の現状——順位付けの指標にされる論文—— ただ、非常に大きな最近の問題として、論文を軸とした評価が純粋に研究業績を評価するものじゃなくなってきたんじゃないかと危機感を持って現状を認識しています。背景の一つは、学術分野でのグローバル競争の激化です。インターネットの普及もあり、つねに各大学、各研究者がグローバルに各分野でしのぎを削っています。もう一つは、学術研究と社会との関係の変容です。たとえば「科学技術基本計画」が「科学技術・イノベーション基本計画」に変わったように、単純に学術的な知のフロンティアを広げるだけではなく、産業競争力に貢献する、SDGsに近づくような社会的なインパクトを与えるなど、大学および研究者に求められる役割が変容、多層化しています。 一方で、限られたリソースをどの程度、どの研究機関、研究者に投入していくかを(国、ファンディング・エージェンシー、または大学経営陣)が決定する際、どうしても比較して順位をつけなきゃならない。いくつが指標が存在はしている、考えることはできます、その中で論文には長い歴史があり、研究力を評価する指標としての安定性がある。そして、インパクトファクター、発表数、引用数など量何らかのかたちで数値化できるという測定可能性も満たしている。研究者の能力評価としての論文の重要性について社会的な合意も取れている。さらに、どんな分野であっても、少なくともジャーナルがあり、ジャーナルがランク付けされているという共通性がある。データベース等で論文の所在が確認でき、どういう根拠でこういう順番になったか、スコアになったかも検証可能です。現時点で共通の指標としての条件を満たしているのは、いまのところ論文しかない。 大学の実績評価の指標——Web of Science収録論文—— 学術分野の競争が激化し、求められる役割も大きくなっている現状は「研究力を高く評価してもらうためには評価される論文をたくさん発表しなくてはならない」というプレッシャーを大学や研究者に与えており、それは年々大きくなっています。ここでは大学の実績評価として二つ事例を挙げます。 一つ目は国立大学の運営費交付金の配分です。ご存じのとおり、国立大学は世界水準型、特定分野型、地域貢献型の三つに分類されて、それぞれの大学が目標を設定して、それらに対する達成度で評価されて、運営費交付金の配分が増えたり減ったりします。たとえば、東京工業大学は世界水準型に分類され、三つの分野で目標を設定しています。その一つとして、世界の研究ハブを実現するとしており、指標が三つあります。そのうち二つが論文に関するものです。まず、常勤教員一人当たりの1年間の論文数の平均。それからTop10%論文の割合、これは全部の論文のなかで、Top10%論文 がどれだけの割合を占めるかです。そして重要なのは、この評価にはInCites(インサイツ)を使う、すなわちWeb of Scienceに掲載されている論文を前提にしているということです。つまり、東工大のなかで業績とは、Web of Scienceに載っている論文ということになります。もう一つ違う分類、特定分野型、東京海洋大学の例です。戦略目標を三つ挙げているなかに、海洋科学技術研究の中核的拠点を目指すというのがあります。その指標が四つあるうちの一つとして、Web of Scienceに収められている論文に占める国際共著論文の比率を挙げています。そういう意味で、東京海洋大学でも機関としての評価指標として、Web of Scienceの論文が非常に重要になっています。 各大学の業績評価項目は教員の業績評価、採用にも影響します。国立大学でポストを得て、パーマネントを取ろうとすると、もしくは転職に有利になるようにしようとすると、機関の業績、自分の業績につながる特定の国際ジャーナルに論文を投稿するという行動を取らざるを得ない現状があります。それ国際的にインパクトを与えるかたちで研究成果を発表することを目指すことは研究者として当然ですがアプローチが似てしまう、研究テーマがホットイシューに絞られていくなどの問題点が指摘されています。 大学の実績評価の例の二つ目は、研究力強化促進事業です。これはURAが雇用されている財源の一つですが、評価項目が全部で九つあり、そのうち「国際的な研究創出の状況」を見ますと、Top10%論文を増やす、国際共著論文を増やすという二つの指標があります。それがURAの実績になるため、URAもトップジャーナルに掲載されるような研究を重点的に支援する傾向があります。Web of Scienceは全分野の情報を収録しているわけではない中で、それをベースに支援する教員を選択することもあるかもしれません。 問題提起——よい論文とは? 論文指標で見えるところだけでいいのか?—— 今回のセッションの根底にある問題意識は「よい論文ってどんな論文?」です。皆さんに共通する認識じゃないでしょうか。たくさん読まれている論文がいい論文か、たくさん引用されている論文がいい論文か、つねに考えていると思います。 それから、論文指標で「見えるところだけで評価することは学術研究の推進を阻害していないか?」です。いろいろな問題がありながら、計量化できる、伝統がある、指標が確立されている論文による評価が中心のままでいいのでしょうか。 独自の活動をされている学術誌の紹介を通じて、ぜひ皆さんと研究の評価、日本の学術誌のあり方などについて議論していきたいと思っています。
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### 【報告】セミナー「挑戦する学術誌」2021/10/29 (金)オンライン
- Published: 2022-02-21
- Modified: 2023-03-03
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2022/02/seminar2021-10-29/
- Categories: セミナー報告
日時:2021年10月29日 18:30-20:30
(Zoomによるオンライン開催)
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 共催:紀要編集者ネットワーク イベント開催案内 >> 日時:2021年10月29日(金)18:30-20:30【Zoomによるオンライン開催】 プログラム 以下のPDFを一つにまとめたもの セッション概要資料 、公開中 司会・進行:天野絵里子(京都大学 リサーチ・アドミニストレーター) 1 背景説明 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 研究者、研究機関の評価対象としての論文 発表資料 、発表記録 、発表記録(HTML)、公開中 2 講演 講演1 北田智久(近畿大学 講師) 追試研究に特化した専門雑誌『会計科学』 講演資料 、講演記録 、発表記録(HTML)、公開中 講演2 伊藤貴之(お茶の水女子大学 教授) フルオープンアクセスかつペーパーレスな学会誌・論文誌の発展に向けて ~芸術科学会での事例~ 講演資料 、講演記録 、発表記録(HTML)、公開中 講演3 梅田拓也(同志社女子大学 助教)、今関裕太(江戸川大学 助教) クラウドファンディングを利用した学術誌の創刊と運営 —学術雑誌『メディウム』を例に— 講演資料(前半) 、講演資料(後半) 、講演記録 、発表記録(HTML)、公開中 3 テーマ討論および質疑応答 記録 、発表記録(HTML)、公開中
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### 【開催案内】研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 (10/29オンライン)
- Published: 2021-09-16
- Modified: 2022-02-24
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/09/%e3%80%90%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%a1%88%e5%86%85%e3%80%91%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%80%8c%e6%8c%91%e6%88%a6%e3%81%99%e3%82%8b%e5%ad%a6%e8%a1%93%e8%aa%8c%e3%80%8d10-29-%e9%87%91%ef%bc%89/
- Categories: セミナー情報
「挑戦する学術誌」
日時:2021年10月29日 18:30-20:30
(Zoomによるオンライン開催)
研究・イノベーション学会 第36回年次学術大会 企画セッション 共催:紀要編集者ネットワーク オンライン開催 参加費:無料 (年次大会参加者、研究イノベーション学会会員以外の方も参加可能) (注)2021年10月30日31日に開催される第36回年次学術大会への参加も希望される方は別途、参加申込をお願いいたします。年次学術大会には参加費がございます。 開催日時 2021年10月29日(金)18:30-20:30 プログラム 司会・進行:天野絵里子(京都大学 リサーチ・アドミニストレーター) 1)背景説明 原田隆(東京工業大学 主任リサーチ・アドミニストレーター) 「研究者、研究機関の評価対象としての論文」 2)講演 講演1 北田智久 氏(近畿大学講師) 「追試研究に特化した専門雑誌『会計科学』」 講演2 伊藤貴之 氏(お茶の水女子大学教授) 「フルオープンアクセスかつペーパーレスな学会誌・論文誌の発展に向けて ~芸術科学会での事例~」 講演3 梅田拓也氏(同志社女子大学助教) 今関裕太 氏(江戸川大学助教) 「クラウドファンディングを利用した学術誌の創刊と運営 ―学術雑誌『メディウム』を例に」 3)テーマ討論および質疑応答 開催場所 オンライン開催(Zoom) 申込頂いた方に対して2021年10月27日に参加に必要なZoomの情報をご案内いたします。 参加費 無料(年次大会参加申込者、学会員以外の方もご参加いただけます) 申込締切 2021年10月27日正午 申込みフォーム https://ws. formzu. net/fgen/S3748373/ 参照 【1】会計科学編集委員会「会計科学」 https://sites. google. com/view/accscijournal 【2】一般社団法人芸術科学会論文誌「芸術科学会論文誌」 https://www. art-science. org/journal/ 【3】アカデミスト「メディアについて考究する学際学術誌『メディウム』を創刊したい!」 https://dev. academist-cf. com/projects/172? lang=ja 研究・イノベーション学会年次学術大会 関連情報 https://jsrpim. jp/archives/category/taikai
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### 【報告】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー(1/19, 1/28オンライン)
- Published: 2021-01-20
- Modified: 2022-02-12
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/01/20210119/
- Categories: セミナー報告
日時:2021年1月19日 14:00-15:30
2021年1月28日 14:00-15:30
(Zoomによるオンライン開催)
パブリッシングセミナー全2回(2021) 「研究者の歩きかた」セミナーシリーズ #7, #8 L-INSIGHT/KURA連携プログラム 主催:L-INSIGHT/KURA 協力:紀要研究者ネットワーク ※本セミナーは第3回・第4回紀要編集者ネットワークセミナーを兼ねます。 イベント詳細 >> 第1回 ジャーナルをたちあげる 日時:2021年1月19日(火)14:00-15:30【Zoomによるオンライン開催】 プログラム: 14:00-14:05|趣旨説明|仲野安紗(京都大学) 14:05-14:25|『フェネストラ』刊行の背景・展開・課題について(講演内容 、公開中)|金澤周作(京都大学) 14:25-14:45|MURAKAMI REVIEW(講演内容 、公開中)|小島基洋(京都大学) 14:45-15:05|『南方文化』の休刊について(発表資料 、講演内容 、公開中)|山本和行(天理大学) 15:05-15:15|英文誌の刊行準備―Southeast Asian Studiesを事例に―(発表資料 、講演内容 、公開中)|設楽成実(京都大学) 15:15-15:30|ディスカッション(ディスカッション内容 、公開中) 登壇者プロフィール: 金澤周作(京都大学大学院 文学研究科) 西洋史学専修・教授。2018年以来、同研究室が刊行するオンライン誌『フェネストラ』の創刊と編集に携わる。 小島基洋(京都大学大学院 人間・環境学研究科) 准教授。専門は英文学。著書に『ジョイス探検』(ミネルヴァ書房)、『村上春樹と鎮魂の詩学』(青土社)。 山本和行(天理大学 総合教育研究センター) 2010年に天理大学に着任。専門は近代教育史で、日本による植民地統治期の台湾を主なフィールドにしている。その関係上、2014年から『南方文化』の編集委員を引き受け、2017年からは編集委員長を務めた。 設楽成実(京都大学 東南アジア地域研究研究所) 部局の刊行する学術雑誌『東南アジア研究』およびSoutheast Asian Studiesのマネージングエディター。2012年創刊の英文誌Southeast Asian Studiesの立ち上げ準備に携わった。 第2回 ジャーナルを可視化する 日時:2021年1月28日(木)14:00-15:30【Zoomによるオンライン開催】 プログラム: 14:00-14:05|趣旨説明|設楽成実(京都大学) 14:05-14:25|信頼されるOAジャーナルとしての評価を目指す! ―DOAJへの登録の効果と方法―(発表資料 、動画、公開中)|南山泰之(国立情報学研究所) 14:25-14:45|アクセスされるジャーナルを目指す!Google Analyticsの使い方―書誌情報と引用情報のオープン化―(発表資料 、動画、公開中)|亀田尭宙(国立歴史民俗博物館) 14:45-15:05|炎上せずに惹きつける! ―研究成果をTwitterで発信せよ―(発表資料 、動画、公開中)|中村威也(東洋文庫) 15:05-15:30|ディスカッション(ディスカッション内容 、公開中) 登壇者プロフィール: 南山泰之(国立情報学研究所) 2005年より国立極地研究所情報図書室に勤務。2007~08年、第49次日本南極地域観測隊に参加。東京大学駒場図書館(2011~14年)、国立極地研究所情報図書室(2014~18年)、東京財団政策研究所(2018~19年)を経て現職。 亀田尭宙(国立歴史民俗博物館) 研究分野は、知識共有の援助、そのための情報抽出・同定・関連付け技術。科研費プロジェクトなどを通し学術雑誌の引用文献データの作成、分析、オープン化にも取り組んでいる。 中村威也(東洋文庫研究部) 東洋文庫で『東洋学報』や和文単行書の編集・ 校閲・校正を10余年にわたり携わり、昨年から公式Twitterの運用を始めた。
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### 【報告】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション「紀要の魅力と大学の役割」
- Published: 2021-01-12
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2021/01/20201031-2-2/
- Categories: news
研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション
「紀要の魅力と大学の役割」
日時:2020年10月31日 18時−19時20分
(オンライン開催)
報告 研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション 公開セッション 「紀要の魅力と大学の役割」(共催:紀要編集者ネットワーク) 日時: 2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催) https://jsrpim. jp/? p=3922 当日の内容を公開いたしました。https://kiyo. cseas. kyoto-u. ac. jp/2020/12/report20201031/
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### 【開催案内】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー(1/19, 1/28オンライン)
- Published: 2020-12-21
- Modified: 2022-02-24
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/12/20201031-2/
- Categories: セミナー情報
「ジャーナルをたちあげる&ジャーナルを可視化する」
日時:2021年1月19日 14:00-15:30
2021年1月28日 14:00-15:30
日時:2020年10月31日 18時−19時20分
(オンライン開催)
パブリッシングセミナー全2回(2021) 「研究者の歩きかた」セミナーシリーズ #7, #8 L-INSIGHT/KURA連携プログラム 主催:L-INSIGHT/KURA 協力:紀要研究者ネットワーク ※本セミナーは第3回・第4回紀要編集者ネットワークセミナーを兼ねます。 研究者、大学院生、大学職員、図書館員など、興味がある方はどなたでもご参加いただけます。 京都大学の所属でなくてもご参加いただけます。 第1回 ジャーナルをたちあげる 新しい分野や境界分野の開拓を目指して、研究者や大学院生が研究成果を発表する場を創りたいと思われたことはありませんか? しかし、そんな思いを抱いても、学術的なジャーナルの刊行を目指すとなると何をどう準備していいのかわからないことも多く、日々の忙しさに取り紛れて置き去りになっているのが実情ではないでしょうか。 本セミナーでは、近年新しくたちあげられたジャーナルの関係者より、刊行の背景や刊行準備、今後の展望と課題などについてお話を伺います。また、惜しまれつつも昨年いったん休刊となったジャーナルの関係者より、休刊に至った事情や復活に向けたシナリオについてお話を伺います。新しくジャーナルをたちあげたいと考える研究者にとっての道標となる1時間半にしたいと考えています。 日時:2021年1月19日(火)14:00-15:30【Zoomによるオンライン開催/ 要登録】 プログラム: 14:00-14:05|趣旨説明|仲野安紗(京都大学) 14:05-14:25|『フェネストラ』刊行の背景・展開・課題について|金澤周作(京都大学) 14:25-14:45|MURAKAMI REVIEW|小島基洋(京都大学) 14:45-15:05|『南方文化』の休刊について|山本和行(天理大学) 15:05-15:15|英文誌の刊行準備―Southeast Asian Studiesを事例に― |設楽成実(京都大学) 15:15-15:30|ディスカッション 登壇者プロフィール: 金澤周作(京都大学大学院 文学研究科) 西洋史学専修・教授。2018年以来、同研究室が刊行するオンライン誌『フェネストラ』の創刊と編集に携わる。 小島基洋(京都大学大学院 人間・環境学研究科) 准教授。専門は英文学。著書に『ジョイス探検』(ミネルヴァ書房)、『村上春樹と鎮魂の詩学』(青土社)。 山本和行(天理大学 総合教育研究センター) 2010年に天理大学に着任。専門は近代教育史で、日本による植民地統治期の台湾を主なフィールドにしている。その関係上、2014年から『南方文化』の編集委員を引き受け、2017年からは編集委員長を務めた。 設楽成実(京都大学 東南アジア地域研究研究所) 2011年より部局の刊行する学術雑誌『東南アジア研究』の編集に携わる。また、2012年刊行の英文誌の立ち上げ準備にも携わった。 発表資料はこちら(後日公開予定) 第2回 ジャーナルを可視化する 自分たちのジャーナルをもっと多くの人に届けたい! 国際的なオープンアクセスジャーナルとしてきちんと認められたい! 広報手段として今や欠かせないSNS。安全に、効果的に活用したい! でも、何から始めればよいものか... ... ? そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 本セミナーでは、Googleで検索上位になるための対策、国際的なOAジャーナルデーターベースへの登録、SNSを通じた情報発信など、すぐに使えるテクニックが学べます。ジャーナルを担当する編集スタッフ、担当になってしまった研究者や大学院生などジャーナル実務に関わる方なら誰でも参加可能。実務担当者へのアドバイスをお考えの図書館員の方にもオススメです。 日時:2021年1月28日(木)14:00-15:30【Zoomによるオンライン開催/ 要登録】 プログラム: 14:00-14:05|趣旨説明|設楽成実(京都大学) 14:05-14:25|信頼されるOAジャーナルとしての評価を目指す! ―DOAJへの登録の効果と方法―|南山泰之(国立情報学研究所) 14:25-14:45|アクセスされるジャーナルを目指す!Google Analyticsの使い方―書誌情報と引用情報のオープン化―|亀田尭宙(国立歴史民俗博物館) 14:45-15:05|炎上せずに惹きつける! ―研究成果をTwitterで発信せよ―|中村威也(東洋文庫) 15:05-15:30|ディスカッション 登壇者プロフィール: 南山泰之(国立情報学研究所) 2005年より国立極地研究所情報図書室に勤務。2007~08年、第49次日本南極地域観測隊に参加。東京大学駒場図書館(2011~14年)、国立極地研究所情報図書室(2014~18年)、東京財団政策研究所(2018~19年)を経て現職。 亀田尭宙(国立歴史民俗博物館) 研究分野は、知識共有の援助、そのための情報抽出・同定・関連付け技術。科研費プロジェクトなどを通し学術雑誌の引用文献データの作成、分析、オープン化にも取り組んでいる。 中村威也(東洋文庫研究部) 東洋文庫で『東洋学報』や和文単行書の編集・ 校閲・校正を10余年にわたり携わり、昨年から公式Twitterの運用を始めた。 発表資料はこちら(後日公開予定)
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### 【報告】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション
- Published: 2020-12-02
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/12/report20201031/
- Categories: セミナー報告
研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション
公開セッション 「紀要の魅力と大学の役割」
(共催:紀要編集者ネットワーク)
日時: 2020年10月31日 18時−19時20分
(オンライン開催)
研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション 公開セッション 「紀要の魅力と大学の役割」 (共催:紀要編集者ネットワーク) 日時: 2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催) イベント詳細 >> 概要 国際的な指標による大学の研究力評価は、各教員の業績評価を競争的資金の獲得に加え、査読付国際ジャーナルへの掲載に急速にシフトさせた。一方でこのような動きは、掲載数重視につながり「掲載されやすい」テーマへの投稿を集中させる恐れもあり、それは研究(者)の多様性の維持に深刻な影響を与えている。このような状況下、扱うテーマ、ページ数、レイアウトが比較的自由な大学およびその所属部局が継続的に発行している紀要が再評価されている。 WEBサイト、SNSなど情報発信手段の多様化など大学及び研究者が急速に変化する現状、紀要の魅力と今後の展開、それを大学が担う意味を多様な参加者とディスカッションを行う。 企画趣旨 原田 隆(東京工業大学 情報理工学院 主任URA) 「紀要の魅力と大学の役割」 発表 報告者 高橋 愛典(近畿大学 経営学部 教授) 「私、紀要の味方です。-研究・イノベーション(学会)への貢献にむけて-」 資料 設楽 成実(京都大学 東南アジア地域研究研究所 助教) 「今、紀要に追い風が吹いている」資料 天野 絵里子(京都大学 学術研究支援室 リサーチ・アドミニストレーター) 「紀要の再発見」資料 ディスカッション (当日の質疑応答の内容を、加筆・修正等のうえ公開いたします) 原 田:モデレーターとして、本セッションについて、大学経営という視点からコメントと提案をさせていただきます。 年次大会シンポジウムのテーマは「大学経営の現在と未来、大学の新たな役割と挑戦」でした。若手教員やURAが経営陣に対して質問をする形をとったパネルディスカッションも実施され、 若手教員から 社会は新しい役割を大学に期待し、大学執行部もそれらに答えようとする しかし、1つ1つの仕事を担当するスタッフ(若手教員が担当する事が多い)の負担が増え、「本来するべき」中核業務(教員の場合は研究と教育)にエフォートを割くことができない というジレンマについて話をした後、経営陣にこれに対しての現状認識および対策について質問をする場面がありました。新しい活動を担当する部署が産学連携本部内、または部局横断的な(設置期限がある)組織として設立されるのですが、日々の活動の多くは若手教員や有期雇用職員が担当していることが多いのではないでしょうか。一方で若手教員のポジション獲得競争は激化の一途をたどっており、若手教員は様々な業務をこなしながら、なんとか時間を捻出し研究をしています。紀要に限定すると持ち回りで若手教員が編集委員として、原稿のとりまとめから発行、配送まで担当している大学がほとんどだと思います。 私は、この問題は大学経営、たとえばコスト―投入資金に加え、時間や担当するスタッフ数などもふくまれる―の観点から考察する必要があると考えています。 今回のセッションでは紀要を「大学の部局、または特定プロジェクトが継続して発行する学術誌」だと定義しました。「継続」して発刊されていることが重要です。悲しいことですが、紀要担当する教員の中には「やらされている」仕事と考えている人もいるでしょう。紀要の発刊には印刷費や郵送費などある程度の費用がかかります。継続するということに紀要の意義があるとすれば、財源が限られている中、紀要の発刊を続けることの意義を大学で働くすべての教職員にわかってもらわなければなりません。そのために何をするべきか。これは非常に重たい課題です。発表者の皆さんが指摘した紀要のもつすばらしい点について、おそらく参加された皆様も同意していただけたと思います。一方でそこに「お金をつけるか」、「人をつけるか」といった話になると、その実現は非常に難しいとも思われたと思います。 どうすれば「すべての」大学関係者に紀要の意義を認識してもらい、活動継続に必要となる経済的支援、スタッフの割当を決断してもらうことができるでしょうか。単に「紀要が必要だから」ということだけを訴えるのではなく、天野さんがおっしゃった大学のブランディング活動や情報発信の一環として紀要を位置づけ、将来の収益活動への展開や教育効果等を説明するなど波及効果までふくめて紀要を大切な経営資源として再定義することからはじめることが求められているのかもしれません。 大学にとって紀要は重要な資源であり活動であるなら、販売やクラウドファンディングなどの寄附等も学内関係部署と連携してすすめることもできるでしょう。紀要をアウトリーチ活動とみなすことができるのであれば紀要の発刊経費に寄附金をあてるなどの事例もでてくるかもしれません。 設 楽:私が先ほど話ししたことと絡みますと、大学が出版機能を持っていることの強み、利点について大学の再認識を促すことが非常に大事なことだと思います。図書館が紙版のジャーナルや電子ジャーナルの購読にどれぐらいコストがかかっていて、さらには、オープンアクセスジャーナルへの掲載料としてどれぐらいのお金が大学から出ているといった、お金の流れも見せながら、自分たち、つまり大学や研究者自身が出版機能を持っていることが、大学運営において強みであると考えるような議論があるといいと考えます。実際のところ、教員では電子ジャーナルの購読にいくらぐらいかかっているのか、といったことを、普段それほど意識していない方もいらっしゃるのでないかなと思います。 天 野:リソースの問題は、何をやるにしても問題になると思いますが、お金を持っている人に重要性を訴えて、意識を共有していくところからだと思います。大学でやるからには大学の執行部にわかっていただけるような文脈というのを持っていかないといけないと思いますが、既存の紀要というかたちでは、それがいいですよというはなかなか難しいのでないかなとは思います。ですので、申し上げたように全然別の文脈から大学の研究力を強化するというか、外部にはとらわれずに内部の多様な研究というのを生かして発信していくには、どういう効果的な方法があるか。それを考えた際に、紀要という形態というのが今までありましたという持っていき方もできると思います。さらに、今までの紀要ではだめで、発展させたこういった形態がありますという提案が可能かと思います。例えば、今日は時間がなくて全然紹介しきれないのですが、筑波大学が契約しているF1000Researchというサービスがあります。これは筑波大学の研究者が論文を投稿して、査読もされるというオンラインの論文プラットフォームになっています。分野を問わず、人文社会科学でもOK、言語も日本語でもOKというメディアにしていくとされていますので、「紀要」そのものではないですが、大学による新しい出版の形態としてこれから非常に注目される取り組みかなと思います。これは、URAが大学の執行部を説得して、資金調達もしたと聞いています。 髙 橋:リソースの件は、私が直接かかわるところでは、とにかく現状維持を大学当局にお願いするしかないというのが正直なところです。私自身、やはり助手の頃から紀要の編集をやってきたという経験が、教員になってから生かされたり、そうこうしているうちに査読の仕事が回ってきたり、学会誌の編集委員になったり、といった経験があります。あるいは自分たちで報告書や編著書を出すときにもいろいろ生かされると思います。これらは研究者としては結構基礎的なスキルで、アカデミックキャリアの早い段階である程度身につけておいたほうがよさそうです。これは研究・教育の本筋というよりも、いわゆる雑用・雑務の中に入る部分ではあるのですが、本来は教員や研究者の人材育成というときに、そういったものも含めてキャリアパスを考える姿勢も、本当は大学として持つ必要があるのかなと思います。ヒト・モノ・カネ・情報のうち、ヒトとカネの話だけになってしまいましたが、とりあえずここまでにして、続いてチャットでもいろいろご意見が出ているようですので、そちらを中心にディスカッションできればと思います。 質問者:学術情報の商業化が進む中において、大学が出版機能を持つことは非常に大事だということにおいては、品質保証という点において、分類といったものが大事になってくるということに対して、例えば、University Journalsではそのあたりをどう考えているのでしょうか。お話の中でプレプリントというワードは特に出てこなかったと思いますが、今、私が認識しているところだと、理系では要はプレプリントの機能に近いものが紀要と扱われているというか、それに近しいものだと思っていまして。ただ、プレプリントというのは分野の範疇の話ですので、それが紀要とはだいぶ違う、要は大学とか研究機関のインベントリとしての性質が紀要にあると捉えられるのでないかというのが思いました。プレプリントは今、商業出版社にどんどん取り込まれて、研究者はその上流の段階から全部出版社のほうに論文を投稿され、そこでAPCを取られ、最後はデータが全部そこに持ってかれるという状況にあるので、初め紀要できちんと押さえておくというのはとても重要であると考えます。ただ、紀要が重要だといっても、お金とかの問題もあるのですが、何がどこに載っているかよくわからないのでは紀要の使い勝手が悪すぎるので、それを改善するのが大事ではないかと思い、質問を書きました。特に、私も編集をやっていたことがあるのですが、そのカテゴリーが、何て言えばいいのですか、事例報告と書いてあるのだけれども書いてあるのはデータペーパーであったりとか、何がどこに載っているのかよくわからないというのがたくさんあるので、探すだけではなくて、査読者側も紀要だからいいかともうあきらめてしまうこともあるのですが、それを何とかきちんとしないと、その辺のもともとの元にいかないというので、ベストプラクティスなどあるのでしょうかというのがご質問です。 設 楽:University Journalsについてどう考えているかは、担当者に聞いてみます。(掲載論文のカテゴリーは、雑誌毎に位置づけが異なるものだと考えていましたので、私の方ではこうしたベストプラクティスについて考えたことがありませんでした。おそらく日本ではこのような議論は進んでいないと思います。実際、以前、投稿規定を色々調べてみたことがありましたが、カテゴリーの説明に就いて記載のない雑誌もありました。(追記)) 質問者:紀要の名前を一旦捨てて再出発したらどうですか。大学からお金もらおうと思って、紀要で何かやりますよというよりは、別の名前でやったほうがお金取りやすいのではないかと考えます。 原 田:私は、紀要という名前にこだわる必要はないなとは思っております。 髙 橋:何か、名前変えてもすぐ正体が見透かされそうな気がしておりまして(笑)。今の状況を肯定しながら上を目指すほうがいいのかなと思います。特に老舗の大学ですと、第何十何巻というのが、非常に長く刊行し続けていること自体に意味があったりもします。それだけだとどんどん守旧的になっていってしまいますけれども、ただ名前を変える、新しい紀要を立ち上げることだけでも面倒ですし、、結局屋上屋を架すだけでかえって手間が増えますので、今までのものを簡単につぶせないような気もします。 設 楽:紀要には、一連の研究の段階的発表の場という機能もあるといわれています。こうした場合、ひとつの紀要に、掲載された自身の論文を引用しながら、順次、論文を発表してゆくことになります。現在、紀要の引用文献の公開は大手のジャーナルのように進んでいないと思いますが、今後紀要の引用文献の公開が進んでゆき、引用数といった点から紀要の評価が行われるようになると期待しています。こうした未来を考えるとき、名前をかえ新しい紀要を立ち上げることが不利なような気がします。 天 野:そうですね、確かにインパクトファクター的な考え方を前提とするとそうかもしれませんけれども、必ずしもそのジャーナル単位ではなくて論文単位でDOIがついていたら、ジャーナルの名前が変わるというところは必ずしもデメリットはないのかなと思います。 質問者:性格の違う問題を二つで申し訳ないのですが、実際にこの問題に突き当たっておりますので、ご意見を伺えればと思います。 一つは、紀要は部局が直営で出している場合もあるけれども、何々学会という外部団体の体裁を取っていることもあると思いますね。これが現在では組織運営上、労務管理上、財務管理上、問題になる場合もあるように思います。このことをこれから紀要を使っていくうえでどう考えたらいいかというのが一つの問題です。 二つ目は、人文社会系にあることですが、ダブルブラインドの必然性がないとすれば、誰が書いたかわかってもいいわけですよね。つまり、かつて人文系でよくあったように、一人称で論文を書くことが可能であり、例えば先行研究を引くときに、自分の論文は他人の論文と区別して、私はかつてこう書いたとか書いてよくなるわけですよね。そのことの功罪をどんなふうに考えたらいいかというのが人文社会系ではあると思います。 髙 橋:一つ目ですが、学内学会のことですよね。これがどういうかたちで始まったかというのは、私も調べようと思ったのですがよくわからなくて、多分、高等教育の歴史とか、そういうものをひもとく必要があると思います。学内学会が、それこそ学内の研究発表会を主催して、そこで研究報告することが昇格の条件になっているという大学も多々あると聞いております。一番の問題は、おカネだろうと思います。私が助手をしていた大学も「学会費」という名目で学生全員から毎年何千円かお金を徴収していて、それを助手が管理をしていたのですが、凄まじい貯蓄額になっていました。学生自治会費と一緒に徴収していて、自治会のほうは揉めたので、自治会費の自動徴収はなくなったのですが、その学内学会費はたぶんそのまま残ってしまっているのでないかと思います。だから、歴史をさかのぼると、ほとんどの大学で学内学会のかたちを取っていることに何かしらの経緯と理由があるのだと思うので、調べる必要があります。紀要の刊行費用は、本来は学費とかの収入から一括して大学が負担をすべきだと思いますし、今勤めている大学は、学内学会費は学生からはたぶん徴収していないと思いますので、大学によって差が結構あるのではないかと思います。単にばらばらですというだけでは、答えになっていなくて恐縮ですが。例えば、今お勤め先の大学で問題が起こっていることがあれば、差し支えのない範囲で教えていただけると大変助かります。 質問者:手短に申しますと、まず起源としては、私が所属先の場合は、ちゃんとした学会誌の体裁を取ろうと戦前に本当に思って、このようにしたという記録がありました。最初は大手出版社から発売されていたようです。それと二つ目のことですが、いろいろございます。要するに、URAの方の前であまり、言いにくいのですが、これは大学職員が業務としてやっているのか、別団体なのか、報酬は払っているのか、できあがった雑誌の所有権は誰にあり、それを大学が買い取っているとすれば対価は適正かとか、そういうことが当然起こりますし、お金が足りなくなるとまた大変ですし、増えすぎると、こんな任意団体の体制でこんな金額を扱っていいのかと、こうなると思います。 髙 橋:ありがとうございます。 原 田:査読は「業務か、それとも学外活動(ボランティア)か」はどの大学でも判断が難しく、大学経営を考える上でも大きな論点の1つです。 質問者:紀要の可能性は私も感じているところですが、紀要の投稿などを盛り上げてくためにはおそらく、現状どうしても、既存で横行してしまっているコミュニティごとの評価規範、例えば個人的にはあまり良いとは思わないのですが研究ランキングのようなものと、どうしてもバッティングしてくるところがあります。そこの部分をどう乗り越えていくのかというところが、やはり必要だろうと思いますね。もちろん私が今ここに解があるわけではないのですが、もし今回の登壇者の先生方で既にこういう課題にぶち当たっているとか、あるいは研究者側のそういう問題、規範の問題でなかなかそこが理解されないとかの実感のようなものがあれば、改めて追加で教えていただきたいなと思った次第です。よろしくお願いします。 髙 橋:紀要って結構いろいろな分野の教員が書いていますので、体裁からしてなかなか整わない場合もありますよね。法学の先生だけ縦書きなので反対側から開けるとか。質的なことを申せば、確かに自分が投稿した紀要のほかの論文を見たら、同僚の原稿ながら首を傾げるときもないわけではないのですが、そこはある程度寛容に受け止めていくしかなさそうです。それを多様性として面白いと見るのか、あるいは、外から見るとあまりにばらばらと感じられるのかというのは、本来は意識しておくべきことだと思います。先ほどカテゴリーの話も出ましたけれども、例えば「研究ノート」というカテゴリーは、何をもって研究ノートとするかという定義が投稿要領にもあまり書いていなかったり、分野によっても受け止め方が違ったりすることはあるので、その多様性を面白がりつつも、ルールとして整えるべきところあるだろうと思います。何か問題が起こってからではないと話が動きださないのかもしれませんけれども、そういうベストプラクティスみたいなものを共有し合うというのも、紀要編集者ネットワークのような横のつながりが充実してくると、面白くなってくるのかなとも思います。今日みたいな議論がいろいろなかたちで、全国各地でふつふつと起こってくると面白いなと。 原 田:それぞれの専門分野や組織に独自の価値基準があるのでしょうね。専門誌ではないがゆえの課題です。それを魅力と取るか、問題点と取るか。 天 野:私もこれは答えるのが難しいというか、もう永遠の課題だと思います。紀要を大事にしている分野の研究評価の規範と、対極にあるのがトップジャーナル重視で、トップジャーナルに出すことがやはり研究者として評価されてきた規範の中にいる研究者というのは、なかなかその部分ではわかり合えないのかなということを最近実感したことがありました。本当にそれは地道に変えていくという、お互いわかり合えるように、URAだったらURAが媒介していかないといけないのかなと思います。解はないのですが。 原 田:自分の読みたい紀要論文をコピーしていたときに、お目当ての論文の最後頁に隣の論文が写っている経験を皆様もお持ちだと思います。私はそれを読んだら面白かったことがよくありました。そのような経験が積み重なり紀要が好きなっていたと今は思います。専門誌とは違う編集ポリシーというか価値観に基づいたジャーナルがあってもいいのでないかというスタンスで、紀要を応援していきたいです。 原 田:この公開セッションは、数年ぐらい前に髙橋さんと個人的に紀要の話したことを端緒に、その後しばらくして紀要編集者ネットワークの存在知り、こういう活動に自分もかかわりたい、継続したいと思ったことがきっかけです。 今回のセッションが、紀要研究のプラットフォームを提供する活動につながればうれしいです。継続するためには、賛同者を広く集めるなどの課題があるのですが、ぜひ、皆さんのお力を借りながら実現したいと考えております。
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### 【開催案内】研究・イノベーション学会第35回年次学術大会 実行委員企画セッション
- Published: 2020-10-21
- Modified: 2022-02-24
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2020/10/20201031/
- Categories: セミナー情報
「紀要の魅力と大学の役割」
日時:2020年10月31日 18時−19時20分
(オンライン開催)
「紀要の魅力と大学の役割」 日時:2020年10月31日 18時−19時20分 (オンライン開催) 詳細、参加申込 https://bit. ly/2STcr2u 研究・イノベーション学会第35回年次学術大会プログラム https://jsrpim. jp/? p=3922 (共催:紀要編集者ネットワーク)
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### 【報告】第2回 紀要編集者ネットワークセミナー
- Published: 2018-03-16
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/03/report20180226/
- Categories: セミナー報告
第2回 紀要編集者ネットワークセミナー
日時: 2018年2月26日(金)14:30-15:50
会場: 京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
学術情報の国際発信力強化ー学術刊行物・紀要を中心にー 日時:2018年2月26日(月) 14:30-15:50 場所:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室 イベント詳細 >> 発表内容及び資料 趣旨説明(趣旨説明) 第1部 ジョン・ブリーン氏「Japan Review編集長の務め」 (国際日本文化研究センター、Japan Review誌エディター)(発表, 資料) ジョン・ロブレグリオ氏「学術情報の国際発信力の強化」 (オックスフォード・ブルックス大学、大谷大学東方仏教徒協会 The Eastern Buddhist誌エディター)(発表) 冨岡達治氏「広がる機関リポジトリと紀要~つながりと識別子~」 (京都大学附属図書館)(発表,資料) 第2部ディスカッション 司会: ネイサン・バデノック氏(京都大学東南アジア地域研究研究所 Southeast Asian Studies誌エディター) コメント: 鈴木哲也氏「“Journal–driven Research”を越えて――活き活きとした,国際的で「社会的」な学術コミュニケーションに必要なこととは何か? メディア特性から考えてみる――」 (京都大学学術出版会)(コメント, 資料) 質疑・応答/閉会の辞(質疑・応答・閉会の辞)
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### 【報告】紀要編集者ネットワーク キックオフセミナー
- Published: 2018-02-26
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/report20170324/
- Categories: セミナー報告
『紀要』の可能性
日時: 2017年3月24日(金)14:00ー17:00
会場: 京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ (京都市左京区 吉田下阿達町46)
『紀要』の可能性 日時: 2017年3月24日(金)14時ー17時 会場: 京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ (京都市左京区 吉田下阿達町46) イベント詳細 >> 「紀要編集者ネットワーク」は、昨年秋、本学のリサーチアドミニストレーター、研究者、編集実務者有志により、学内・外の紀要編集者を結び、紀要の意義を考え、その活性化に向けた取組みを行うことをめざし立ち上げられました(ここでは紀要を大学の部局や研究機関により刊行され、商業出版社には属さない雑誌と広く定義しています)。 「紀要編集者ネットワーク キックオフセミナー 『紀要』の可能性」は、本ネットワークのキックオフイベントとして、2017年3月24日、京都大学稲盛財団記念館において本学学際融合教育推進センターの支援のもと開催されました。 当日は、投稿資格や刊行形態などの異なる5誌より松林公蔵氏(京都大学『ヒマラヤ学誌』編集長)、立木康介氏(京都大学『ZINBUN』編集委員長)、澤井 努氏(京都大学 『いのちの未来』編集委員長)、 種村 剛氏/川本思心氏 (北海道大学『科学技術コミュニケーション』 編集委員長/副編集委員長)、 近藤信彰氏/浅井万友美氏 (東京外国語大学『アジア・アフリカ言語文化研究』副編集長/編集事務担当)にご登壇頂き、創刊の背景や編集・刊行体制、独自の取組、今後の課題などについてお話頂きました。また、京都大学学術研究支援室(URA室)の神谷俊郎リサーチアドミニストレーターより、URA室の活動事例をご紹介頂いたのち、今後、紀要の編集関係者とともに必要な支援体制を考えていきたいとお話を頂きました。 続いて、参加者とのディスカッションが行われました。参加者には学内・外の紀要関係者、図書館関係者、印刷・出版関係者などが含まれ「紀要の編集関係者を結ぶ」という本ネットワークの趣旨に基づき、参加者全員に自己紹介ののち質問等を自由に述べていただき、登壇者や参加者よりフィードバックを頂きました。 本ネットワークでは、今後もセミナーの開催を通し紀要編集者を結ぶ活動を続けていきたいと考えております。 なお、当日の発表内容及び資料を一部公開しておりますので、下記をご参照ください。 松林公蔵氏(京都大学『ヒマラヤ学誌』編集長) 講演 ・ 発表資料 立木康介氏(京都大学『ZINBUN』編集委員長) 講演 ・ 発表資料 澤井 努氏(京都大学 『いのちの未来』編集委員長) 講演 ・ 発表資料 種村 剛氏/川本思心氏 (北海道大学『科学技術コミュニケーション』 編集委員長/副編集委員長) 講演 ・ 発表資料 近藤信彰氏/浅井万友美氏(東京外国語大学『アジア・アフリカ言語文化研究』副編集長/編集事務担当) 講演 ・ 発表資料 神谷俊郎氏(京都大学学術研究支援室リサーチアドミニストレーター) 講演 ・ 発表資料
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### 【開催案内】第2回 紀要編集者ネットワークセミナー
- Published: 2018-02-24
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/02seminar/
- Categories: セミナー情報
学術情報の国際発信力強化ー学術刊行物・紀要を中心にー
日時:2018年2月26日(月) 14:30-15:50
場所:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
学術情報の国際発信力強化ー学術刊行物・紀要を中心にー 日時:2018年2月26日(月) 14:30-15:50 場所:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室 言語: 日本語 参加受付フォーム: https://goo. gl/seM4tJ 参加対象者: 学術刊行物などの編集関係者、図書館関係者、学術出版関係者、URA、広報担当者など プログラム 14:30 開会 14:35-14:40 趣旨説明 14:40-15:00 話題提供1:ジョン・ブリーン氏(国際日本文化研究センター、Japan Review誌エディター) 15:00-15:20 話題提供2:ジョン・ロブレグリオ氏(オックスフォード・ブルックス大学、大谷大学東方仏教徒協会 The Eastern Buddhist誌エディター) 15:20-15:40 話題提供3:冨岡達治氏(京都大学附属図書館) 15:50-16:40 ディスカッション 司会:ネイサン・バデノック氏(京都大学東南アジア地域研究研究所 Southeast Asian Studies誌エディター) コメンテーター:鈴木哲也氏(京都大学学術出版会) 16:40-16:50 まとめ・閉会 16:50- 交流会 概要 「紀要編集者ネットワーク」では、大学や研究機関の刊行する雑誌を広く紀要と定義し、それらの編集関係者同士を、また編集関係者と図書館関係者、学術出版関係者、リサーチ・アドミニストレーター等を結び、業務上のノウハウの共有や意見交換を通し、雑誌の活性化やその支援体制の充実へとつなげることを目指しています。 今回のセミナーでは、雑誌編集者および機関リポジトリの担当者をお招きし、学術情報の国際発信力強化に向けた取組や今後の展開、課題などについてお話いただきます。またディスカッションでは、参加者とともに学術情報の国際発信のあり方や留意点について考えます。 本セミナーでは、雑誌編集に関わる方々の交流の場となれればと考えております。閉会後、同室で簡単な交流会を予定しておりますので、是非ご参加ください。 主催:紀要編集者ネットワーク/科研費 基盤研究C「紀要を見直す―被引用分析を通じた紀要の重要性の実証と紀要発展のための具体的提言」 協力:研究大学強化促進事業「百家争鳴」プログラム/科研費 萌芽研究「実証的循環型コレクションモデルの創出による研究図書館の危機打開」 お問い合わせ先:京都大学東南アジア地域研究研究所 設楽成実 shitaracseas. kyoto-u. ac. jp
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### 【開催案内】紀要編集者ネットワーク キックオフセミナー
- Published: 2018-02-23
- Modified: 2021-01-21
- URL: https://kiyo.cseas.kyoto-u.ac.jp/2018/02/seminar20170324/
- Categories: セミナー情報
『紀要』の可能性
日時:2017年3月24日(金)14時ー17時
場所:京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ
(京都市左京区 吉田下阿達町46)
『紀要』の可能性 日時:2017年3月24日(金)14時ー17時 場所:京都大学 稲盛財団記念館 小会議室Ⅱ (京都市左京区 吉田下阿達町46) ワークショップ概要 紀要は、若手研究者や院生が研究成果を公表する重要な場です。 紀要は、研究者が独自性の強い研究成果を世に問う貴重な場です。 紀要は、部局や専攻がその研究スタイルを構築、伝承してゆく場です。 しかし、大手商業学術雑誌こそメインストリームとする風潮のなかで、紀要はその活躍の場を失いつつあります。 そうした危機感を一にする本学の研究者・編集実務者有志が、昨秋、「紀要編集者ネットワーク」を立ち上げました。 学内・外の紀要編集者を広く結び、紀要の意義を考え、その活性化に向けた様々な取組みを行うことをめざします。 本ネットワークのキックオフセミナーである今回のセミナーでは、学内・外から分野縦断的に紀要編集者を招き、各誌の取り組みや課題、必要とするサポート体制などについて語っていただきます。またディスカッションでは、スピーカーおよび参加者ともに、紀要の可能性について考えます。 *プログラム 14:00 趣旨説明 14:10 松林公蔵氏(京都大学) 『ヒマラヤ学誌』編集長 14:30 立木康介氏(京都大学) 『ZINBUN』編集委員長 14:50 澤井 努氏(京都大学) 『いのちの未来』編集委員長 15:10 休憩 15:20 種村 剛氏/川本思心氏 (北海道大学)『科学技術コミュニケーション』 編集委員長/副編集委員長 15:40 近藤信彰氏/浅井万友美氏 (東京外国語大学)『アジア・アフリカ言語文化研究』副編集長/編集事務担当 16:00 神谷俊郎氏(京都大学学術研究支援室URA):大学によるサポート事例紹介 16:20 ディスカッション 17:00 閉会の辞 (17:30 懇親会) *参加申込み:https://goo. gl/forms/9apVqK4uvZjmjEss1 申込み締切 3月22日 *お子様連れでの参加をご希望の方は、shitaracseas. kyoto-u. ac. jp までご相談ください は@に変更ください
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